日本の年金水準、G7では6番目 OECDまとめ (NIKKEI-NET)
【パリ=野見山祐史】日本の公的年金の支給水準は現役時代の所得の3割強にとどまり、先進主要7カ国(G7)では英国に次いで低いことが、経済協力開発機構(OECD)が23日公表した「図表で見る年金2009」で分かった。年金水準の低さは高齢者の貧困の一因にもなっている。
OECDは加盟30カ国の男性の単身世帯について、現役時の所得のどの程度を公的年金で老後に受け取るかを示す「所得代替率」を集計。平均的な所得水準の場合、日本の税・保険料控除前の所得代替率は33.9%で、OECD平均(59.0%)を下回った。
(2009/6/24 日経朝刊 5面)
日本の公的年金における
所得代替率(=年金額/現役時代の所得)はモデル世帯で現在59%であり、2004年の財政再計算では所得代替率50%を確保するよう手当てしたとされている(一応)。ところが、OECDの調査では日本の所得代替率は50%どころか30%台と加盟国中最下位グループに位置している──とするのが上記の記事。この報道を受けて
「小泉改革のせいで50%から30%に低下した!」などと早合点するトホホなBLOGも散見されるが、では、OECDの所得代替率は厚生労働省のそれとどう異なるのだろうか?
OECDの
「Pension at a Glance」シリーズは、世界各国の公的年金制度を横断比較している興味深い資料だが、制度も歴史風土も異なる各国の制度を統一的な基準に置き換えているため、
数値の解釈には慎重に挑む必要がある。今回の出典元である「Pensions at a Glance 2009」だが、当BLOG管理人は現時点では原本を入手していないため、
各国別ハイライトや
前版「Pensions at a Glance 2007」(pdf全文は
コチラ)を基に解説したい。
<要因その1> 国民皆年金体制日本はご存じのとおり
「国民皆年金」を掲げている唯一の国だが、これは、被用者制度に属さない
低・中所得者層も加入者として計上されることを意味する。一方欧州では、社会保障制度は軍人や鉱工業従事者など職域制度から発達した歴史的経緯から、未だに職域単位で制度が分立している国も少なくない。これらの国々では低所得者層を公的年金の適用対象としていない場合も多く、その結果、OECD統計における
日本の所得代替率は欧州よりも低めに算出される可能性が高い。
予断だが、未納・未加入問題も国民皆年金体制を敷いているが故に生じるものであり、欧州みたいに公的年金を一部被用者のみの制度にすれば、これらの問題は表向きは解消される。なお、このことと皆年金体制の是非とは別問題である(汗)。
<要因その2> 単身世帯か夫婦世帯か厚生労働省が提唱する「所得代替率50%」はいわゆるモデル世帯(夫が平均的収入で40年間就業し、妻は専業主婦という世帯)だが、OECDの統計は単身男性世帯を対象としている。日本のように専業主婦(ここでは被扶養配偶者)の年金原資を制度全体で肩代わりする仕組みを採用している場合、単身男性世帯の所得代替率はそのぶん低くならざるを得ない。ちなみに、
諸外国における被扶養配偶者の取り扱い(20ページ:表1)をみると、日本の第3号被保険者は保険料拠出を求められないうえに年金額の水準も高いことから、
単身世帯の所得代替率は諸外国よりもますます低くなることは想像に難くない。なお、このことと第3号被保険者制度の是非とは別問題である(汗)。
<要因その3> 給付だけでなく負担の水準も低いOECDの統計は、所得代替率という給付面での比較に力点を置いているが、給付だけでなく負担とのバランスを考慮しないと本質を見誤る恐れがある。
前版「Pensions at a Glance 2007」63ページ(表II.1.2)によると、日本の厚生年金の保険料率は2004年時点で13.9%と
加盟国中5番目の低さであった。日本の保険料率は最終的に18.3%まで引き上げられる予定だが、それでも04年のOECD平均(20%)よりも低い。つまり、
日本の所得代替率が低いのは保険料負担が低いゆえの帰結であり、所得代替率を手っ取り早く引上げたければ保険料を引上げれば済むだけの話である。なお、このことと「低福祉低負担か・高福祉高負担か」の選択とは別問題である(汗)。
<関連エントリ>
The企業年金BLOG(2008/5/15): 「図表でみる世界の年金」
posted by tonny_管理人 at 02:40
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データで見る企業年金