2008/07/17

日本年金学会の研究会に初参加


本日は、日本年金学会主催の第3回研究会に初参加した。発表者は日本大学の宮里准教授と三菱総研の白石研究員。いずれも興味深い発表内容だったが、それ以上に面白かったのは発表後の質疑応答で、参加者同士が侃侃諤諤の議論を戦わせる光景(しかも発表者は半ばそっちのけ)は、この手の発表会にしては新鮮であった。もっとも、議論の中心を形成していたのは殆ど我が師匠であったが(汗)。

なお師匠は、研究発表の場でただ聞いているだけの人間は「情報泥棒」「情報乞食」だと断罪する御仁なので、当BLOG管理人もそんな汚名を着せられてはたまらないと、本日は必死にかぶりついて質問した次第。さて来週は、当BLOG管理人もいよいよ研究発表デビューを飾るわけだが・・・質問なんて要りませんから(汗)。



 ←気が向いたら是非クリック願います
posted by tonny_管理人 at 23:58 | Comment(0) | TrackBack(0)
Category | イベント

2008/07/15

「想定利回りは大丈夫」との甘い誘いに気をつけよ


「早期退職は大丈夫」との甘い誘いに気をつけよ (日経ビジネスONLINE)
老後の蓄えを狙われて、米国“団塊世代”にトラブル続出
スタン・モリルさんは、これまでの蓄えによって退職後は妻と2人で不自由なく生活を送れるものと信じていた。31年間工員として働いた米イーストマン・コダック(EK)で、同僚が太鼓判を押す無料の資産運用セミナーに出席していたからだ。モリルさんは、講師を務めた米モルガン・スタンレー(MS)のトップ証券営業マン、マイケル・J・カザコス氏の提案する"49歳で悠々自適の退職"という夢のようなプランに魅了された。
─中略─
だが、最高で年14%という破格の投資利回りを想定したこのプランは、"夢物語"にすぎなかった。今やモリルさんの貯蓄残高はわずか5万7559ドル。ほかに目ぼしい蓄えもなく、生活費の捻出に苦労している。
(2008/7/14 BusinessWeek誌カバーストーリー)

もはや「アメリカの投資教育は先進的!」「アメリカ人は401kでハッピーリタイヤメント!」などという戯言を信じているようなナイーブな向きは少数派だろうが(まだ多数派か?)、当の米国では、資産運用セミナーで営業マンの口車に乗せられて虎の子をつぎ込んだ結果、大損こいた401k加入者が続出しているとの事。アメリカ人にとっては、「悠々自適の退職」というのがこの上ない殺し文句のようで(汗)。気の毒だとは思うが同情は一切しない。所詮、投資は自己責任つうことで。
ところで、日本の確定拠出年金(DC)もまた自己責任を旗印に導入された筈だが、にも関わらず、最近は「リスク性資産のウエイトを増やせ」と口を挟むお節介な輩が後を絶たない↓

 ○懸念される確定拠出年金加入者の運用収益率(野村総研)
 ○DCにおける投資教育の重要性(野村総研)
 ○わが国の確定拠出年金(DC)における加入者の資産配分(ニッセイ基礎研)
 ○確定拠出年金の運用割合を見直せ(三菱総研)

・・・つうかさ、自己責任ならほっとけタコ(汗)

この手の連中の発言を読み解くには、「リスク性資産」を「自社の投資信託」に読み替えると一目瞭然。結局、連中が問題にしているのは自社の投資信託が売れるか否かであって、冒頭の記事に出てくる営業マンと同様、加入者の老後などおそらく屁とも思っているまい。重要なのは、投資教育よりも、こうした甘言に騙されない消費者教育ではないのか?



 ←気が向いたら是非クリック願います
posted by tonny_管理人 at 21:35 | Comment(0) | TrackBack(0)
Category | 管理人の近況・雑感

2008/07/13

適年からの移行は進んでいるか


先日公開された第13回企業年金研究会配布資料のなかに、興味深いデータが収録されていた。

適格退職年金について (←pdfファイル)

 20080712tekinen_ikou.jpg

上記資料の2ページ目には、適格退職年金(適年)の直近の移行状況が掲載されている。他制度への移行が解禁される直前(2002年3月31日)で73,582件あった適年は、2008年3月末で32,826件と、この6年間で40,756件減少した計算になる。一方、同時期に他の制度へ移行した件数は、集計時点(08年3〜6月)が一致していないため厳密性にはやや欠けるものの、単純合計すると、厚年基金、DB、DCおよび中退共の4制度で23,577件であった(注:原典では23,977件となってるが、計算ミスだと思われ)。残り17,179件、すなわち減少件数の40%強が移行を行わず解約したものと推察される。



 ←気が向いたら是非クリック願います
posted by tonny_管理人 at 01:40 | Comment(0) | TrackBack(0)
Category | データで見る企業年金

2008/07/07

成績不振を逆手にSWF阻止!?


公的年金 運用マイナス6.41%に (NIKKEI-NET)
2007年度の公的年金の積立金の市場運用利回りがマイナス6.41%と5年ぶりにマイナスになったことが3日分かった。米国の信用力の低い個人向け住宅融資(サブプライムローン)問題を背景に、国内外の株安が直撃。運用損失は5兆8,000億円に達した。運用低迷が長引けば、将来の国民負担につながりかねない。年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が4日午後に発表する。
(2008/7/4 日経朝刊 5面)

本件については、相場なんて上下して当然なんだからいちいち騒ぐな!」「累積黒字はまだ7兆4,000億円以上もありますが何か?」「市場ベンチマークを上回っているかどうかで判断しろ」等々、マスメディアやブロガー諸氏に対して言いたいことは山ほどあるが、連中にはおそらく何を言っても馬の耳に念仏。特にブロガー諸氏は、普段は「マスコミに振り回されない自律したオレ様」を自負しているくせに、こういうときはマスコミ報道を鵜呑みに騒ぐ始末(当BLOGにもこんな的外れなコメントが寄せられた)。こうした手合いは、おそらく今回の業務概況書には目すら通していまい。自身を賢者と思い込んでいる馬鹿ほど始末が悪いものはない(苦笑)。

さて当BLOG管理人が今回の報道でむしろ気になったのは、年度業務概況の公表時期。例年だと毎年7月下旬頃に公表されるのだが(2007年は31日発表、2006年は20日発表)、今回は7月第1週に公表という手際の良さ。しかも、5年ぶりかつ過去最高の大赤字というネガティブな内容なだけに、尚更不可解・・・と思いきや、前日にこんなニュースが↓


日本版政府系ファンド 自民チーム、中間報告まとめる (NIKKEI-NET)
日本版の政府系ファンド(SWF)創設を目指す自民党国家戦略本部の「SWF検討プロジェクトチーム」(座長・山本有二前金融担当相)は3日午前の会合で中間報告をまとめた。公的年金基金の一部にあたる約10兆円を運用の原資として切り離し、外国人を含む運用のプロが高い利回りの確保を目指すという内容を確認した。
(2008/7/3 日経夕刊 2面)

・・・もしかして、大赤字を逆手にとって「やはり積極投資はリスクが大きい→SWFなぞ100年早いわ!」という世論形成を狙ったSWF撲滅作戦だったりして!?(汗)


※参考資料:2007年度業務概況所(GPIF) (←pdfファイル)

※見識のあるサイト一覧
http://taki.air-nifty.com/fukumenkamen/2008/07/post_a848.html
http://otsu.seesaa.net/article/102326117.html
http://fund.jugem.jp/?eid=720

<関連エントリ>
The企業年金BLOG(2008/5/29): プロは「雇う」ものではなく「委託」するもの
The企業年金BLOG(2007/12/9): 赤字のときだけ大騒ぎ2
The企業年金BLOG(2007/8/1): これぞ分散投資の威力!?
The企業年金BLOG(2006/9/6): 赤字のときだけ大騒ぎ



 ←気が向いたら是非クリック願います
posted by tonny_管理人 at 23:27 | Comment(0) | TrackBack(1)
Category | 年金ニュース

2008/06/29

「年金財政シリーズ14 企業年金の財政運営」


むしろアクチュアリー試験の2次対策に有用

zaisei14_2006年金財政シリーズ14 「企業年金の財政運営」

企業年金連合会 編
2006-03

年金数理にまつわるあらゆるトピックを扱った年金財政シリーズの第14巻。厚生年金基金および確定給付企業年金の財政運営(財政決算財政計算など)に関する内容で、読破するのにはやや骨が折れるが、直近の財政運営基準についてここまで詳細に解説した類書は他にない。とりわけ巻末の参考資料は、財政運営基準改正の経緯や、決算・再計算の根拠条文が政省令レベルから掲載されており、資料的価値は高い。実は、アクチュアリー試験の専門科目(2次試験)対策用の隠れた名著でもある。ただし、厚生年金基金と確定給付企業年金で記述がタブり過ぎなのが唯一の難点(汗)。



 ←気が向いたら是非クリック願います
posted by tonny_管理人 at 22:55 | Comment(2) | TrackBack(0)
Category | 書評:年金数理

2008/06/24

日米のシンクタンクの能力差はあまりにも大きい!?


3兆円(日本)と900兆円(アメリカ)の差 (大和総研コラム)
(中略)国民が将来も生活の豊かさを維持するためには、年金制度の整備が不可欠であるが、公的年金が多くの困難を抱えている中にあっては、我が国においても、アメリカのようにIRAの創設と確定拠出年金の拡充が喫緊の課題である。
3兆円と900兆円(9.2兆ドル)。その差はあまりにも大きい。
(2008/6/23 大和総研Webサイト)

ハイ、またも出ました。証券業界関係者による無定見な米国金融市場礼賛記事。日米の経済規模や歴史的経緯などの差異を一切無視して「金額が巨額だから凄いんだぞ!」とのたまう様子は、真におめでたい(汗)。本論のツッコミ所は枚挙に暇がないが、整理すると以下の3点に要約される。


1.日米の経済規模の差を無視!
2006年末の名目GDPをみると、米国が約13兆ドルなのに対して、日本は約4兆ドル。米国は日本の3倍以上の経済規模を誇る。そもそもの土俵の大きさが違うのに、人口一人当たりに換算するでもなく、同じDC(確定拠出年金)資産だからと単純比較することに何の意味があろうか。柔道で言えば、48kg級の谷亮子と78kg超級の塚田真希を比較するようなもの。
※資料:OECD諸国の名目GDPの国際比較(pdfファイル)p.8

2.DC制度の歴史の深浅を無視!
米国でDCとりわけ401(k)が本格導入されたのは1980年代初頭からであり、四半世紀以上の経験を有している。対して日本で確定拠出年金法が制定・施行されたのは2001年で、ようやく5年経ったところ。5歳のガキに20歳代後半の大人と同程度の素養を求めてどうする!?

3.老後所得保障の実態を無視!
いくら401(k)プランだのIRAだので資産を一時的に積み上げたところで、それが老後資金に用いられないのでは制度の作った意味がない。現にアメリカでは、DCプランが老後所得の柱としてはちっとも機能していない事はもはや周知の事実だというのに。。。


──とまあ、これがわが国を代表するシンクタンク(苦笑)の、しかも理事クラスの手による解説なのだから、脱力モノである。それにしても、単純に金額が大きければ由という理論は、預かり資産規模を以って「大和は野村以下だ」と断罪する結論に繋がりかねない。木村浩一理事よ、親会社に弓を引いてどうする(汗)。


<関連エントリ>
The企業年金BLOG(2006/11/14): 『米国人は投資上手』なんて幻想?
The企業年金BLOG(2008/5/23): 金融のプロ(苦笑)ですら自身の老後準備には無頓着


統計数字を疑う統計数字を疑う なぜ実感とズレるのか?
門倉 貴史

光文社 2006-10-17
売り上げランキング : 9,687
おすすめ平均

Amazonで詳しく見る
by G-Tools



 ←気が向いたら是非クリック願います
posted by tonny_管理人 at 23:55 | Comment(0) | TrackBack(0)
Category | 管理人の近況・雑感

2008/06/21

「厚生年金基金基礎講座(全99回)」


足掛け2年 当時の基金制度の全てを網羅

厚生年金基金基礎講座(全99回)厚生年金基金基礎講座 【全99回】

「週刊社会保障」(法研)
1991.9.2[1653号]〜 1993.10.4[1759号]

1991年から2年間にわたって連載された、厚生年金基金に関する解説記事。執筆者は不明だが、おそらく行政担当官の手によるものであろう。内容は、制度の役割から始まり、認可基準、数理基準、事務処理体制、資産運用、果ては福祉施設に至るまで、幅広いトピックを網羅している。とりわけ、設立認可基準と数理基準の解説にそれぞれ25回ずつ割くなど両トピックで連載の半数を占めるあたりに、90年代初頭の基金設立ブームが偲ばれる。現在となっては陳腐化した記述も幾分見受けられるが、厚生年金基金の給付設計についてここまで平易に解説した記事は他にはない。是非この現代版を誰かに手がけてもらいたいものだ(他力本願でスマソ)。

なお本連載は、連載番号こそNo.1からNo.100までとなっているが、途中で連載番号の振り間違いが発生したため、実際の連載記事数は99本である。収集の際は注意されたし。
・間違い1: No.57が欠番、No.58が2本存在する。
・間違い2: No.62が欠番(目次表記はNo.62だったが、記事ではNo.63と表記)



 ←気が向いたら是非クリック願います
posted by tonny_管理人 at 14:05 | Comment(0) | TrackBack(0)
Category | 書評:雑誌・連載記事

2008/06/12

「企業年金改革(全20回)」


DB法・DC法制定当時の貴重な解説記事

企業年金改革(全20回)企業年金改革 【全20回】
 (シリーズ・21世紀の社会保障 第77〜96回)


厚生労働省年金局企業年金国民年金基金課

「週刊社会保障」(法研)
2002.1.14[2168号]〜 2002.6.10[2188号]

2002年初頭から20回にわたって連載された、確定給付企業年金法(DB法)、確定拠出年金法(DC法)および厚生年金基金の制度改正に関する解説記事。
2002年といえば、前年6月にDB法・DC法のいわゆる「企業年金ニ法」が成立、10月にはDC法がいち早く施行し、あとは4月のDB法施行を待つばかり──という、まさに企業年金の改革真っ只中の時期であった。本連載は、ニ法に関する政令・省令・通達等が出揃った段階で所轄課が満を持して執筆しただけあって、ニ法およびそれに伴う制度改正の経緯・概要が分かり易く解説されている。本連載をたたき台に制度解説資料をしたためた関連団体・受託金融機関はおそらく数知れず(汗)。なお、市販本で本連載を凌駕する解説書の登場は、同年6月刊行の「図説すべてがわかる確定給付企業年金法」まで待つこととなる。

なお本連載は、「シリーズ・21世紀の社会保障」という全121回のシリーズ中第77〜96回の枠内で連載された、劇中劇ならぬいわば連載中連載。この「シリーズ・21世紀の社会保障」は、当初は学者による持ち回り寄稿がメインだったが、そのうち連載内で短期特集を取り扱うという変遷を辿って行った。今回紹介した「企業年金改革」の他にも、「公的年金制度の基本的考え方」「雇用・社会保障政策と税制改革」など興味を引く特集が少なくない。興味と時間のある向きは是非トライしてみては如何。


図説すべてがわかる確定給付企業年金法図説すべてがわかる確定給付企業年金法
久保 知行

ぎょうせい 2002-06
売り上げランキング : 232,734

Amazonで詳しく見る
by G-Tools



 ←気が向いたら是非クリック願います
posted by tonny_管理人 at 23:21 | Comment(0) | TrackBack(0)
Category | 書評:雑誌・連載記事

2008/06/09

「講座 企業年金の『基礎知識』」


企業年金の基礎知識講座 企業年金の「基礎知識」

厚生労働省年金局企業年金国民年金基金課

「週刊社会保障」(法研)
2008.3.24[2474号]〜【連載中】

「週刊社会保障」2008年3月24日号(2474号)から連載開始したシリーズ記事。執筆は厚生労働省年金局企業年金国民年金基金課が担当。官公庁の執筆物に期待することといえば、中立的な記述と数値の出所の確かさである。人によっては「文体が無味乾燥で面白みに欠ける」と批判する向きがあるが、それは歴史の教科書にドラマティックを要求するくらい的外れというもの。本連載もそのご多分に漏れず、安定感のある記述が売りで、今後の展開が楽しみである。これら連載記事は、刊行の都度パッと読み流すのもいとをかしだが、連載終了後に一気に読通するのもまた言ふべきにあらず(by枕草子)。連載記事をストックしておくと、時として良質な一冊に化けることがあるので、マニアなら要チェキラ。しかも連載が終わった頃には入手困難になるという罠。
なお同誌では、これまでにも役所サイドが執筆したと思われる良質な連載記事を幾つか掲載していた。当BLOG管理人はそのうち数本をコピー保存して手元に置いているが、機会があれば当BLOGにて取り上げたいと思う。



 ←気が向いたら是非クリック願います
posted by tonny_管理人 at 19:36 | Comment(0) | TrackBack(0)
Category | 書評:雑誌・連載記事

2008/06/04

論文のパワポ化は案外難しい!?


本日午後は、某所にて開催された某ビジネススクール修了生による年金研究発表を傍聴してきた。内容は、退職給付会計と確定拠出年金制度に関するテーマ3題。担当教授が「ウチは実証分析を売りにしてまして云々」と自負するだけあって、いずれのお題も論旨の軸は明快で、かつ堅牢な仕上がりであった。

しかし、それと同時に感じたのは、学位論文をパワーポイントで概略化することの難しさ。発表者は、当然ながら研究過程において試行錯誤を繰り返してきた(であろう)から、多岐に渡る前提条件はもはや自明の理だったのだろうが、初めて耳目に触れるギャラリーにとっては、「ここはキチンと説明して貰わないと分からんよ」といった箇所が幾つも散見された。とりわけ実証論文は前提条件の置き方が命であるため、いくら「有意でござい」とばかりにアスタリスク(***)を並べられた図表を示されても、前提条件の説明を伴わないものは説得力ゼロ。発表後に仔細について質問したかったのだが、主催団体のサイトに論文自体が後日upされるとの事なので、そちらを参照することにして会場を後にした。実証論文は原文に当たらないと何とも言えない。

ところで、論文を概略化する過程において重要な論点が抜け落ちてしまう危険性は、何も実証論文に限った話ではない。当BLOG管理人も来月に執筆論文のプレゼンを控えているだけに、肝に銘じなければ(汗)。ともあれ収穫の多い一日であった。



 ←気が向いたら是非クリック願います
posted by tonny_管理人 at 20:13 | Comment(0) | TrackBack(0)
Category | 管理人の近況・雑感