2006年01月31日

官公庁主催の適年移行セミナー

先週から今週にかけて、東京労働局中小企業庁といった官公庁が適格退職年金の移行問題に関するセミナーを相次いで主催した。お役所主催のセミナーに期待する事といえば、レジュメ・資料の完成度の高さである。面白みには欠けるものの、記述や数値は正確でかつ出所が確かなので、場合によっては凡百の書籍よりも有用である。レジュメさえ入手すれば、セミナーに参加した目的の80%は達成されたも同様と当BLOG管理人は思う。では、それぞれのセミナーについて雑感を述べたい。


東京労働局 セミナー「適格退職年金移行問題」 (1/23開催)
何でも昨年11月にも同じテーマで2回ほど開催したそうだが、好評につき追加開催したとのこと。「労働局主催のセミナーは資料が充実している」とかねてより耳にしていたが、確かに噂に違わぬ充実ぶりだった。表や統計の大半は「企業年金に関する基礎資料」からの引用だが、きちんと出典を明らかにしてる点は由。なお前半は某生保の年金数理人氏による制度説明と適年移行の現状、後半は中退共の課長氏による中退共制度の紹介であった。


中小企業庁 経営安定対策室 企業年金セミナー (1/31開催)
主催は中小企業庁とあるが、企画進行は大和総研が受託とのこと。ところが講師はどっかのコンサル事務所の社労士で、これが酷かった。レジュメは誤字脱字だらけだわ、事実誤認は甚だしいわ、アンタ本当に専門家ぁ?っていうレベル。特に「ここ数年の適格退職年金制度の減少は、大企業が率先して移行した事によるもの」と言ってたが、適年は300名未満の制度が全体の9割を占めており、実際には加入者規模の小さい制度の減少が著しいことは専門家であれば周知の事実(下図参照)。

20060131graph1.jpg

聞くだけ時間の無駄なので、とっとと会場を後にした次第。まあ「企業年金制度移行事例集」なる冊子を入手できただけ由としよう。とはいえ、あの程度で官公庁から講師依頼をGETできるとは、もしかして退職金コンサルって気楽な稼業!? ←んな事ァない

─────────────────────────

【2006.6.8追記】
上記で紹介した「企業年金制度移行事例集」が中小企業庁サイトにUPされました。
詳細はコチラ


<関連エントリ>
The企業年金BLOG: 「企業年金制度移行事例集」



 ←気が向いたら是非クリック願います

posted by tonny_管理人 at 19:32 | Comment(3) | TrackBack(0)
| イベント | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年01月28日

企業年金の運用利回り報道に関する留意点

(1)生保の企業年金運用、利回り最高の19.5% (NIKKEI-NET)
生命保険会社の企業年金運用が好調だ。年金が生保に運用委託している特別勘定の昨年4―12月の利回りは、主要生保7社平均で19.49%となり、特別勘定ができた1990年度以来の最高だった2003年度を2.61ポイント上回った。05年度は通期でも過去最高となる公算が大きい。
(2006/1/26 日経朝刊 7面)

株式市況が俗に"ライブドアショック"と呼ばれる混迷の最中にある昨今、企業年金の運用利回りに関する報道がなぜか相次いで為されている。上記以外にも以下のような記事が出ている。


(2)企業年金、利回り15.8% 4-12月 3年連続プラス運用に
企業年金の運用成績の好調が続いている。昨年秋以降の株価高騰で2005年4-12月の運用利回りは15.8%のプラスになったようだ。足元では株式相場の勢いがそがれたが、1-3月の運用が大幅なマイナスに陥らない限り、年度でもプラスを確保できそう。かつて年金運用成績の悪化が業績の足を引っ張っていたが、3年連続のプラス運用が確実で、状況は好転しつつある。
(2006/1/24 日経朝刊 17面)

(3)R&I推定・時間加重収益率 2005年度第3四半期は6.26%、年度通算15%超
格付投資情報センター(R&I)の運用評価サービスの対象である、厚生年金基金、企業年金基金、税制適格年金等の2005年度第3四半期(05年10-12月)の運用成績の全体像がまとまった。時間加重収益率の平均は、生保一般勘定を含む資産全体で6.26%となり、過去5四半期続けてプラスだった。
(『年金情報』 2006/1/23 12頁)

(4)05年12月の年金インデックス、2.65%、通算17.43%
年金パフォーマンスインデックス(年金信託の資産配分を基に年金情報が試算した複合ベンチマーク)は2.65%となった。2005年5月以来8ヶ月連続してプラスを確保した。4月からの通算では17.43%に達した。
(『年金情報』 2006/1/23 15頁)

どの記事もおおよそ傾向は同一なのだが、記事によって数値が微妙に違ってたりするため混乱しやすい。(2)と(3)の記事なんて同一ソースなのに受ける印象がまるで違う。また(3)と(4)の記事に至っては、同じ雑誌の同じ号に掲載されてるにも関わらず記事によって見出しの利回りが異なるという事態になっており、混乱にますます拍車がかかる。企業年金の運用利回りに関する記事を読む際は、以下の点について考慮しなければならない。
 
どんな留意点があるの?



 ←気が向いたら是非クリック願います

posted by tonny_管理人 at 17:20 | Comment(2) | TrackBack(0)
| 年金ニュース | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年01月25日

コンサルタント金太郎!?

kintaro.jpg年金業界における正義の味方と言えばITAちゃんマンというのはもはや業界の常識(笑)。だが世界は広い。彼に続くヒーローがまたも登場した! ご紹介しよう、その名は

サラリーマン退職金太郎!

──その正体は、社会経済生産性本部が運営する、退職給付改革を中立的に支援するポータルサイト「退職金太郎」。来たる2月3日にはサイト開設記念シンポジュウム(シンポ"ジ"ウムじゃ無いところがミソですな)が開催されるとの事。興味のある方は是非(当BLOG管理人も参加予定)。

余談だが、彼の今後の展開を予想してみよう。
・たまたま会長の命を救ったことが縁で退職金コンサルファームに入社。
・喧嘩はとにかく強い。「元暴走族ヘッド」の過去があれば尚良し。
・たまたま親切にした老人はいずれも有力企業の社長で、そこからコンサル
 依頼をGET。
・たまたま知り合って惚れられてしまう娘は、いずれも大物財界人の血縁。
・しかもその財界人の企業では退職金制度改革の検討中。もちろんそこから
 も労せずコンサルを受託。
・時には退職金制度廃止を強行するワンマン経営者とタイマン勝負。


・・・ううむ、タイトルと言いどっかのマンガのような展開に(汗)。



 ←気が向いたら是非クリック願います

posted by tonny_管理人 at 22:09 | Comment(0) | TrackBack(0)
| Webサイト | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年01月22日

「年金をとりもどす法」

実用的なアドバイス&余計な提言

年金をとりもどす法年金をとりもどす法
社会保険庁有志

講談社 2004-12-18
売り上げランキング : 32,555
おすすめ平均

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

2004年の年金改正議論から何かと批判の矢面に立たされてる社会保険庁(将来は「ねんきん事業機構」だそうな)の現役職員による「制度・組織への愚痴」と「実用アドバイス集」の2本立てだが、本書のウリはやはり後者。実務に裏打ちされた適格な助言の数々は、繰下げ支給レベルの措置を「裏技でござい」と書いて悦に入ってる自称年金裏技本は裸足で逃げ出すこと必至。

特に「一つの相談窓口で納得できなければ、他の担当者や社会保険事務所にも問い合わせるべき」という助言は、医療分野におけるインフォームドコンセントなどではかねてより提唱されていたものの、それが年金請求の場面でも必要なご時世になったとは・・・(汗)。
専門家や窓口担当者の言を鵜呑みにしてれば良かった古き良き時代の終焉を嘆くべきか、それとも専門家の言であっても鵜呑みにせず自分で検証できる能力を磨ける時代の到来を喜ぶべきか、人によって判断の別れるところである。

ところで、著者の執筆動機は「矛盾に満ちた年金制度と、不勉強で無責任な年金官僚への憤り」だとあるが、その割には、悪いのは全てキャリア官僚や労働組合であって自分らノンキャリア官僚には無関係と言わんばかりの態度が文中に滲み出ており、執筆者自身の当事者意識が希薄なのが鼻につく。だいいち、本当に義憤とやらに駆られてるのであれば、本書を刊行して印税を手にするよりも、自庁のWebサイトにこれら事例集を広く公開する方が先では? ともあれ、世直し人を気取った戯言は無視して、アドバイスだけを取捨選択するのが本書の賢明な使用法。



 ←気が向いたら是非クリック願います

posted by tonny_管理人 at 23:58 | Comment(0) | TrackBack(1)
| 書評:公的年金 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年01月20日

「退職金、黙っていてはもらえない!」

実録! 退職金コンサルタントの事件簿

退職金、黙っていてはもらえない!退職金、黙っていてはもらえない!
萩原 京二

PHP研究所 2005-12-20
売り上げランキング : 6,650
おすすめ平均

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

退職金コンサルを生業とする社会保険労務士による、いわば「退職金コンサルタントの事件簿」といった様相。中小企業の世界ではさもありなんと思われる退職金トラブルの実態が赤裸々に綴られている第1章がやはり一番の読みどころ。本来はシリアスな案件なのだろうが、著者のどこかコミカルめいた文体がその深刻さを絶妙に和らげており、面白く読み進むことができる。それでいて、退職金で損をしないためのポイント解説もきちんと論拠に基づいており、読み物としての娯楽性と解説書としての実用性が上手く両立している。中小企業における退職金制度改革のイロハを知るための"一冊目"としては最適この上ない。社員にも社長にもオススメの一冊。労使双方に推奨できる書籍はそうザラにはない。



 ←気が向いたら是非クリック願います

posted by tonny_管理人 at 20:13 | Comment(2) | TrackBack(4)
| 書評:個人年金・退職金 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年01月17日

落語と年金資産運用のコラボレーション

FundManagement「広八亭 分散」 師匠が落語で語る年金資産運用
増井 克行

季刊「FundManagement」連載
野村アセットマネジメント

新年早々、一部で話題沸騰となった会計と落語のコラボレーション。当BLOG管理人も是非見に行きたかったのだが、所用のため泣く泣く諦めた次第 _| ̄|●

しかし嘆くことなかれ、我が年金業界にも落語との融合に果敢に挑む猛者がいた。
それが広八亭分散(こうやってぇ ぶんさん)師匠だ!

野村アセットマネジメントの季刊誌「FundManagement」にて2005年夏季号よりスタートしたこの企画。息子の商店が奉公人のための年金制度を作ることになったご隠居が、店子の熊さんに年金資産運用のイロハを伝授するという構成。そもそもズブの素人の熊さんに運用を任せようとする時点で出だしから受託者責任お構いなしな展開だが(汗)、年金資産運用の基礎を身近なモノに例えて解説するご隠居の語り口は自身の背任行為を補って余りある。なにぶん季刊(年4回刊行)なため更新頻度が低いのがネックだが、今後も長い目で見守って行きたい。


え、肝心の"オチ"はどうなのかって?こんな感じ



 ←気が向いたら是非クリック願います

posted by tonny_管理人 at 11:54 | Comment(0) | TrackBack(1)
| 書評:雑誌・連載記事 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年01月16日

「年金制度設計ハンドブック」

秀逸な図解テンプレート集!?

年金制度設計ハンドブック年金制度設計ハンドブック
日本生命 企業保険数理室

東洋経済新報社 2005-04-22
売り上げランキング : 70,477
おすすめ平均

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

確定拠出年金(DC)およびキャッシュ・バランス・プラン(CB)の制度導入に特化した書籍としてはとっつき易い。それもそのはず、これでもかと言わんばかりの図解のオンパレードで、おそらく「マッキンゼー流 図解の技術」久恒啓一氏の図解本の影響を受けたものと思われる。ここまで図表を並べておけば、頭の古いお偉方や代議員をわかった気にさせてサクサクと制度導入を進めるのも容易い!? とはいえ、内容は結構ハイレベルなのでご注意を。

なお、本書を執筆した日本生命が作成する年金基金向け資料は、どれも図解が分かり易くて秀逸。その上Webサイトで惜しげも無く公開するなどまさに太っ腹。受託機関のサイトとしては住友生命と双璧を成す充実ぶり。そんなノウハウが本書にも反映されている。制度導入時は勿論、図解テンプレート集として脇に置いておくのも悪くない。



 ←気が向いたら是非クリック願います

posted by tonny_管理人 at 11:58 | Comment(2) | TrackBack(0)
| 書評:企業年金 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年01月13日

RIETI政策シンポジウム「日本の年金制度改革」を観覧

昨年12月15・16日に開催されたRIETI政策シンポジウム「日本の年金制度改革」に出席した件については過去の記事(2005年12月14日2005年12月16日)でも触れたが、こちらも配布資料の公開と動画配信が始まったので紹介しておこう。

「日本の年金制度改革:16年度改正の評価と新たな改革の方向性」
 ・配付資料を掲載
 ・動画配信を開始

海外から高名な学者を招聘するわ、同時通訳付きだわ、おまけに動画配信。さすがは政府系シンクタンク。金のかけ方が半端でない。ともあれ、当シンポジウムについては資料も動画も全面公開されてることだし、私の無粋なコメントよりも自身で原典に当たった方が宜しいかと(←逃げを打ってますハイ)お世辞にも分かり易いとは言えないものの、それはそれで新たな知見を得られること必至。



 ←気が向いたら是非クリック願います

posted by tonny_管理人 at 12:54 | Comment(0) | TrackBack(0)
| イベント | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年01月12日

商工会議所年金フォーラム2005を観覧

昨年12月7日に開催された「商工会議所年金フォーラム2005」の実施報告が商工会議所年金教育センターのサイトにいつの間にかupされていたので紹介しておこう。

12月7日の商工会議所年金フォーラムの資料を掲載しました。
(商工会議所年金教育センター)

私も当フォーラムに出席したのだが、大半の講演は「労使のコミュニケーションが大事」という一般論に終始していた。労使協議の重要性は至極ごもっともなのだが、当フォーラムに足を運ぶくらい意識の高い参加者ならば、それは前提の上で来ていると思うのだが(汗)。一参加者としてはやや不満の残る部分もあったが、上記の報告サイトでは、各講演で使用されたレジュメ等もpdfファイルで公開されており、わざわざ会場に足を運ばずともレジュメだけチェックすれば十分 資料的価値はなかなかのもの。

なお当BLOG管理人が注目したのは中小企業への確定拠出年金制度の普及割合。パネルディスカッションでは、厚労省の課長氏は「企業型DC実施企業の78%は300人未満の企業である」として中小企業への普及ぶりをアピールしていた(パネルディスカッション資料3ページ下段参照)。一方、基調講演を行ったニッセイ基礎研究所の臼杵氏は「全国の中小企業数で比べると、中小企業のDC導入割合は1%にも満たない」と述べていた(基調講演資料7ページ下段参照)
このように、人によって捉え方が異なる部分も比較できて興味深い。



 ←気が向いたら是非クリック願います

posted by tonny_管理人 at 22:21 | Comment(0) | TrackBack(0)
| イベント | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年01月09日

「企業年金マネジメント・ハンドブック」

企業年金版「今さら人には聞けない辞典」

企業年金マネジメント・ハンドブック―新企業年金法の重要テーマ解説企業年金マネジメント・ハンドブック―新企業年金法の重要テーマ解説
日本年金数理人会

東洋経済新報社 2003-02
売り上げランキング : 95,764
おすすめ平均

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

企業年金にまつわる専門用語はどれもとっつき難いものばかり(汗)。しかしいずれも重要事項であり、理解せずには先に進めないのが悩ましいところ。そんな企業年金を理解するためには避けて通れない必須事項を、豊富な図表を用いて解説しているのが本書。個人的には、34ページ「数理的評価の3方式の比較」や、36ページ「数理債務と責任準備金」の債務計算の流れが非常に参考になった。難解な事項をわかりやすく説明することがコンサルタントの生命線だとしたら、本書の出現により下手な年金コンサルタントはその存在意義を失いかねない。日本年金数理人会の狙いがそこにあるかは不明だが。

ただし本書の刊行から早3年、企業年金制度は更に変貌を遂げており、税制など古くなったトピックも少なくない。一日も早い改訂版の刊行が待たれるところだが、企業年金制度を学ぶ際の基本書としてはまだまだ現役。初心者には勿論オススメだが、いまいち意味を解しないまま「PSLがさあ」なんて口にして悦に入っている業界関係者にこそ強くオススメしたい。



 ←気が向いたら是非クリック願います

posted by tonny_管理人 at 22:25 | Comment(0) | TrackBack(0)
| 書評:企業年金 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年01月06日

「厚生年金基金 資産運用の基礎」第2版

資産運用の定番書のエッセンスを凝縮!?

厚生年金基金 資産運用の基礎(第2版)厚生年金基金 資産運用の基礎(第2版)

企業年金連合会 2002-12

企業年金の新任担当者向けの入門書。文字通り「年金運用」について一通りのトピックを網羅している。また、政策アセット・ミクスの策定や運用機関の評価についての記述は、生意気にも名著「敗者のゲーム」を多分に意識している感がある。まあ「敗者のゲーム」は長期投資家にとって都合の良い内容のオンパレード神聖不可侵の経典だしね。巻末ではExcelを用いて効率的フロンティア(有効フロンティア)の描き方を紹介しているが、こちらも良書「Excelで学ぶファイナンス」をインスパイアしたような感じ。

なんか定番書の良いとこ取りが過ぎるように思うが(汗)、ともあれ、一介の業界団体の書物にしては良くまとまっている。



 ←気が向いたら是非クリック願います

posted by tonny_管理人 at 23:26 | Comment(0) | TrackBack(0)
| 書評:年金資産運用 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年01月03日

「会社の年金が危ない!」

タイトルに騙されるな! ホンネで語る企業年金

会社の年金が危ない―厚生年金基金・適格退職年金はこうして減らされるそして会社は行き詰まる会社の年金が危ない―厚生年金基金・適格退職年金はこうして減らされるそして会社は行き詰まる
奥村 佳史

生活情報センター 2004-05
売り上げランキング : 7,233
おすすめ平均

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

煽動的なタイトルに騙されてはいけない(最近多いねえ、この手の仰々しい題名)。中身は企業年金の加入員・受給者に向けた真っ当な解説書で、入門書としての分かり易さはかなりのもの。
本書の魅力は何と言っても部外者(公認会計士)ならではの歯に衣着せぬ本音トーク。まず前文からしてぶっ飛んでいる。
この本により、企業年金の給付減額から逃れることはできませんが、企業年金の仕組みと現状を理解することで給付減額にあきらめがつくかもしれません。企業年金に対して漠然とした不安や不信感を抱いているよりも、事情を理解して年金を減らされたけど仕方がないと考えたほうが楽しい毎日を過ごせることだけは間違いありません。
(以上、本書まえがきより抜粋)

こんな台詞、仕事ではとてもじゃないが言えねえ!

その他にも「代議員会の形骸ぶり」「相場の後追いになりがちな資産運用」といった業界の実情を本音ベースで構わずぶっちゃけており、業界人ならば顔をしかめつつもウンウンと頷ずかざるを得まい。全般的に給付削減や掛金引上げといった「後ろ向き」なトピックてんこ盛りにも関わらずワクワクしながら読み進められるのは、この種の書籍では異色である。知識をただ羅列しただけで悦に入ってるようでは、書籍としてもコンサルタントとしてもまだまだ半人前ということか(大いに反省)。

強いて本書に苦言を呈するならば、やはりタイトルの羊頭狗肉さか。コイツコイツみたいに危機やら不安やらを煽らないと本って売れないものなのだろうか?



 ←気が向いたら是非クリック願います

posted by tonny_管理人 at 17:27 | Comment(0) | TrackBack(0)
| 書評:年金おすすめ入門書 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年01月02日

「企業年金の教室 実践編」

受給権を守るための実践書+企業年金版「悪魔の辞典」

企業年金の教室 実践編企業年金の教室 実践編
河村 健吉

中央公論新社 2003-01
売り上げランキング : 201,199
おすすめ平均

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

タイトルから単なる制度紹介本を連想すると、その期待は裏切られるだろう。「給付削減に唯々諾々と従うべからず」が本書のテーマ。信託銀行で企業年金のセールスに長年携わってきた著者が、一般の社員や労働組合を対象に、企業年金の受給権を守るため(泣き寝入りしないため)のチェックポイントを解説している。

中でも興味深かったのは、筆者の年金行政(厚生労働省)に対する見解。前著「企業年金危機」では「箸の上げ下ろしまで規制してきた事が基金の自主性を阻害した」と苦言を呈していたが、今回は「労使の自主性を尊重するため、格差の解消には介入して来ない」と述べている。一見すると正反対だが、要は(企業年金2法が制定されて以降)これまで以上に労使合意の重要性が増しており、労使交渉での中途半端な妥協は将来に禍根を残すという著者の警鐘であろう。

また、巻末の"企業年金用語集"は、いわば企業年金版「悪魔の辞典」。定年退職して業界とのしがらみが無くなったが故の毒づいたコメントの数々は業界人必見。話のわかる大人向けの秀作に仕上がっている。以下にその一部を抜粋してみる。

運用ガイドライン
厚生年金基金などが、受託機関に指示する具体的な資産の運用方法を書いた文書。個別資産の比率、運用方法、運用評価等が書いてある。運用機関はこれを守れば成績が良いか悪いかを気にしなくてもよいありがたい文書。

過去勤務期間
年金制度ができる前に入社した従業員の、発足前の勤務年数を加入期間に含めることを「過去勤務期間の通算」という。過去とは制度ができる前の意味。この言葉を自由に使えるようになると、企業年金をわかった気になる初心者向けの専門語。

代議員会
厚生年金基金と基金型企業年金の運営方法などを決める会合。(中略)厚生省は「労使参加の民主的運営が行われ基金に対する信頼が得られてきた」と自賛したが、実は翼賛会である。

日本版401(k)
日本の確定拠出年金制度の俗称。法令にない用語だが新聞記者などが使いたがる。401(k)とは、アメリカの内国歳入法第401条k項のこと。(以下略)

ともあれ、企業年金関連の書籍で加入員・受給者向けに書かれたものは滅多に無いため、実際に制度改正(改悪?)に晒されている向きは勿論、そうでない向きにも是非オススメしたい。


余談だが、その後同じ著書により「やさしい企業年金用語事典」が刊行されたが、中身は毒気がすっかり抜かれた普通の用語集と化していた(汗)。

※普通の用語集でイイやという方はコチラ↓
やさしい企業年金用語事典やさしい企業年金用語事典
河村 健吉

社会保険広報社 2004-02
売り上げランキング :
おすすめ平均

Amazonで詳しく見る
by G-Tools




 ←気が向いたら是非クリック願います

posted by tonny_管理人 at 23:30 | Comment(0) | TrackBack(1)
| 書評:企業年金 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年01月01日

謹賀新年

あけましておめでとうございます。

当BLOGを開設してはや2ヶ月。
おかげさまで一部の企業年金ヲタク関係者には高評価をいただいております。
今後ともご愛顧のほど宜しくお願い致します。




 ←気が向いたら是非クリック願います

posted by tonny_管理人 at 00:36 | Comment(1) | TrackBack(1)
| 管理人の近況・雑感 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする