2006年02月28日

「図解 どれを選ぶ企業年金」

企業年金の制度移行のシミュレーション

図解 どれを選ぶ企業年金図解 どれを選ぶ企業年金―年金制度改革で増えた選択肢
高原 宣昭

中央経済社 2001-12
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2001年12月の刊行と古くなったものの、企業年金制度の移行を取り扱った書籍としての完成度は高い。架空のゼット社を舞台に@現行制度の継続、A新企業年金への移行、B確定拠出年金の導入、Cキャッシュ・バランス・プランへの設計変更、D制度の廃止を書中でシミュレーションした内容。現在の類書は適年から中退共への移行しか扱ってないものが多いだけに、本書には却って新鮮味を感じるとともに、改めて読むと得られる知見も多いかと。中退共への移行が選択肢にならない中堅企業の担当者などにオススメ。






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2006年02月27日

「退職金制度の現状と課題」

旧労働省が最期に放った上質な解説書

退職金制度の現状と課題退職金制度の現状と課題
労働省労働基準局賃金時間部

労務行政研究所 2000-07-07
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刊行からだいぶ経ったものの、わが国の退職給付制度を俯瞰した書籍としては高い完成度を誇る。旧労働省の刊行だけあって退職一時金に関する記載が豊富で、企業年金についても退職金の側面にスポットを当てて解説している感がある。また、アメリカの退職金制度を扱った第2部は、刊行当時は情報源が乏しかっただけに非常に参考となった。数値は古くなったが統計の出所は確かで、おまけに記述も公正。現在もなお古さを感じさせない仕上がり。

なお本書は、賃金労働時間制度等総合調査(現在の就労条件総合調査)で退職金に関する調査が4・5年おきに行われるたびに改訂版が出ていたものの、厚生省と労働省が合併して厚生労働省となって以降は一切音沙汰なし。せっかく退職給付制度の監督官庁が一元化したというのに、現在のところそのシナジー効果は全く見られない。

頼むから復刻してくれー!
(管理人の心からの叫び)




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2006年02月25日

企業年金の株式投資動向を見るには

日経平均1万6000円台、年金の売り重し
東京証券取引所が同日発表した投資主体別売買動向では、先週(2月13日―17日)の信託銀行の売買は3,543億円の売り越しになった。信託銀として統計を取り始めた1996年9月以降、週間ベースで過去最大の売越額だ。
(2006/2/24 日経金融新聞 3面)

信託銀の売越額、過去最大3,543億円
2月第3週の投資主体別売買動向で信託銀行の売越額は3,543億円となり、前の週に比べ1,582億円増加した。33週連続の売り越しで売越額は過去最大となった。相場の乱高下が続いたことで、3月期末決算を控えた年金資金などが利益を確定する動きを強めた。これまで売越額が最も大きかったのは2005年10月第1週の3,422億円だった。
(2006/2/24 日経朝刊 18面)

株式市況の報道で「外国人買い」や「年金の売り」といった言葉を良く耳にするが、これらのソース(情報源)は何なのか? という質問をたまに受ける。

最もポピュラーなのは、東京証券取引所が発表する「投資部門別売買動向」である。これは東京・大阪・名古屋の国内3証券取引所で売買された株数および金額を、証券会社の自己売買、個人投資家、外国人投資家といった投資主体別に集計したものである。投資主体のうち信託銀行は、年金基金から資産管理を受託していることから年金基金の売買動向を表しているとされている。上記の記事はこの統計を受けての報道である。ただし、信託銀行は企業年金以外からも資産管理を受託している関係上、実際は企業年金だけでなく公的年金・郵貯・簡保の売買動向も混在している。

そこで、上記の投資主体を細分化してより緻密な動向を見るのならば、日本銀行が発表している「資金循環統計」が便利だ。資金循環統計は、ある期間の資金の流れを表わした「金融取引表」(フロー表)と、ある一時点の資産・負債の残高を表わした「金融資産・負債残高表」(ストック表)から成る。いずれの表も、横軸には家計・企業・政府・金融機関なといった46の経済部門が、縦軸には現金・預金、株式、債券といった51の取引項目が配置されている。経済部門には、公的年金や生命保険とは別に、私的年金を司る年金基金という部門が独自にあり、年金基金は更に企業年金その他年金に細分化される。これら部門のフロー表を見れば、企業年金のより綿密な売買行動(株式以外も参照可)を把握することが可能である。

資金循環統計で2005年1月から9月までの株式売買動向を見ると、公的年金は8,853億円売り越している一方、企業年金は7,256億円の買い越しとなっている。つまり東証の投資部門別売買動向による信託銀行の売り越しは、企業年金以外の公的年金・郵貯・簡保といった公的セクターによるものであることが見えてくる。

しかし、資金循環統計も必ずしも完璧ではない。各部門の動きが綿密に記録されている反面、四半期ベース単位でしか状況を把握できず、公表時期も遅い(直近の四半期末の約2ヶ月後)という難点がある。この点は、週単位のデータを翌週木曜には公表している東証の投資部門別売買動向の方に分がある。要は、こうした各種統計の特徴を事前に認識した上で利用することが肝要である。

最後に、資金循環統計における「企業年金」と「その他年金」の分類は以下の通りである。詳しくはコチラを参照されたし。

<企業年金>
 ・厚生年金基金(代行部分含む)  ・適格退職年金
 ・確定給付企業年金          ・確定拠出年金(企業型)

<その他年金>
 ・国民年金基金          ・確定拠出年金(個人型)
 ・小規模企業共済         ・石炭鉱業年金基金
 ・勤労者退職金共済機構(中退共、建退共・酒退共・林退共)
 ・農業者年金基金(特例付加年金勘定、農業者老齢年金等勘定)



<関連エントリ>
The企業年金BLOG: 資金循環統計で見る機関投資家の株式売買動向
The企業年金BLOG: 機関投資家の株式売買動向(2005年9-12月期)



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2006年02月23日

NTTの年金減額、厚労省認めず

NTTの年金減額、厚労省認めず「経営悪化といえぬ」 (Sankei Web)
厚生労働省は11日までに、NTTが経営悪化などを理由に、NTTグループの退職者約14万人の企業年金の給付減額を求めた申請を認めないことを決めた。NTTは2002年度以降黒字が続いていることから、厚労省は「著しく経営が悪化しているとはいえない」と判断した。
厚労省が退職者の年金減額の申請を認めなかったのは初めて。NTTは「年金の安定運用に向けた企業の自主努力を否定する」と反発、行政訴訟も検討するとしている。

当BLOG管理人が仕事に追われてヒーコラ言ってた折に飛び込んできた上記のニュース。この手の問題は、結局「受給者保護」か「経営の自由度拡大」かをケースバイケースで判断・対応せざるを得ないため、当事者同士でケリをつけとくれとしかコメントのしようがない(汗)。

ただ今回のNTTの件がこれまでの事例と大きく違うのは、OB(年金受給者)のただならぬ抵抗姿勢である。試しに「企業年金 NTT」でググってみると、「改悪反対」「減額反対」の文字が出るわ出るわ。さらに一部の受給者が給付減額反対の訴訟を起こしたところ、請求自体は棄却されたものの「規約変更が承認された時点で行政訴訟などを起こせば足りる」との判断が昨年9月に下された(記事)「給付減額を認めたら訴訟の矛先がコチラに・・・!?」と厚労省サイドがビビったかどうかはともかく、今回の給付減額不承認の決定に何らかのプレッシャーを与えたのではないか。既得権にしがみつくことの是非はさておき、声を挙げること&挙げ続けることの威力はまざまざと感じた次第。まあ、しがない弱小コンサルタントの身としては、この手の争議の場とは一生無縁な生活を送りたいものだ(汗)。←またも逃げを打つ不肖な管理人

最後に繰り返すが、この手の議論に関する見解はまさに十人十色。
なので、本件について参考となるサイトを以下に付記しておく。
 参考サイト一覧



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2006年02月16日

「非常識会計学!」

会計理論をサラッと体系的に掴める秀作!

非常識会計学!非常識会計学!―世界一シンプルな会計理論
石井 和人 山田 真哉

中央経済社 2005-05
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タイトルの仰々しさに騙されてはいけない。内容は非常識どころかガチガチの正統派で、奇をてらったタイトルに頼らずとも会計理論の入門書として普通に通用する硬派な一冊である。それでいてこの分かり易さはスゲエ、すご過ぎる、つうかまさに反則モノ。およそ会計の世界に足を踏み入れようとする者にとっては、今後は必読の定番書になること必至。専門知識や最新用語の羅列だけで悦に浸っている他の凡百の類書には、本書のインク染みでも煎じて飲ませるべし!

・・・とまあ、会計理論の書籍としては秀逸この上ない訳だが、それ故に、感じずにいられない事がある。ハッキリ言って「女子大生会計士の事件簿」とのタイアップは必要だったのか? 章末ごとに小説が挿入される構成は、お世辞にも読み易いとは言い難い。章毎ごとに読書の流れが中断されてしまうため、人によっては読んでてイライラしてくること必至。また、本書の章構成と小説の内容が全く噛み合っていない事もイライラに拍車を掛ける。まだ本論がイマイチな内容であったならば、小説とのタイアップで体裁を保つという相乗効果を活用できたものを、なまじ本論も小説も内容が秀逸なだけに「両雄並び立たず」的な統一感の無さを感じてしまう。例えるなら、世界ランク1位と2位のテニスプレイヤーのペアが必ずしもダブルス世界最強とは限らないようなものか。

とはいえ、本書の「骨太さ」と「分かり易さ」の絶妙な調和はそれでもなお魅力的であり、また小説も読み応えがあることから、アマゾンでは迷わず五つ星の評価を付けた。



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2006年02月13日

今更「常識のウソ」と言われても・・・

【社会保障ミステリー】 「年金破綻」常識のウソ
「少子化が止まらない」→「年金制度の担い手が減る」→「制度は破綻する」。ちまたにあふれる論法だが、本当だろうか。
(2006/2/6 日経夕刊 12面)

普段は社会の木鐸(もはや死語)として年金制度の欠陥をあげつらう指摘してくれる日経新聞だが、なぜか10回に1回は物分かりの良い記事を書いたりするからアラ不思議。今回の記事はまさにその10回に1回ってやつ。執筆したのは名著「年金これだけ心得帖」の著者でもある山口聡編集委員。先の2004年改正における議論では、法案成立後に公表された合計特殊出生率が1.29と前提条件(1.39)を早くも下回るなど「厚労省の推計は信用ならん」との批判も大きかった。しかしコラム氏は続ける。
実は厚労省は出生率が回復せず、長期的に1.1となる場合も推計している。この場合、保険料が今の計画のままだと、年金は最終的に20%以上のカットになる。確かに削減幅は拡大する。それでも8割近くはもらえるのだから、いわゆる破綻とは異なる。

至極ごもっともである。同様の指摘は以前のエントリ(2004年公的年金改正は画期的な改革だった?)でも触れてるので、そちらを参照されたし。

しかし、普段ならば良質記事マンセーと手放しで賞賛する当BLOG管理人であるが、本件についてはひとつ腹に据えかねる事がある。
本記事のタイトルは「常識のウソ」と題しており、つまり「君たち、ウソに踊らされてはいけないよ♪」と言いたいらしい。だが、かくいう日経新聞もエセ常識を広めた一翼を担ってなかったっけ!? それを今更「常識のウソ」と嘯いて読者を愚民視とは、「どの口がそれを言う!?」というトホホ感しか漂わない。

まあ、本記事で厚労省のお役人が「わかってんじゃん」と喜んでくれて、厚労省の記者クラブでの情報収集が円滑になるのであれば、新聞社としては記事を出す意義があるのだろう。情報入手源とスポンサーには勝てないマスメディアの無節操ぶり苦労が窺える(棒読み)。

※ 関連エントリ:2004年公的年金改正は画期的な改革だった?
 「年金破綻」常識のウソ (記事全文)



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2006年02月10日

プロスポーツ選手の年金基金構想

人材サービス大手、スポーツ選手の引退後を支援 (NIKKEI-NET)
人材紹介・派遣大手が、スポーツ選手の引退後の就職などを支援する事業に相次ぎ乗り出している。リクルートエイブリック(東京・千代田)はプロ野球選手向けに求人誌を発行、アデコ(東京・港)はスポーツ選手向けの就職支援プログラムを導入した。選手の「第2の人生」を後押しする新サービスの事業化を通じて、企業イメージの向上にもつなげる。
(2006/2/8 日経夕刊)

この記事を目にして、かつて読んだ「年金の誤算」という本の一節を思い出した。本書は日本経済新聞の年金関連記事をまとめた単行本で、バブル崩壊とともに運用環境が低迷し始めた10年前の1996年に刊行された。いわゆる「年金危機」が声高に叫ばれ出したのもこの頃からだったと思う。

で本題に入るが、本書に「プロ選手の模索」という一節があった。プロスポーツ選手の現役生活は、サラリーマンに比べると大幅に短い。現役引退から年金受給開始年齢に達するまでの長い待期期間への対処が求められる。しかし現役生活が短いということは、掛金を拠出できる期間も限られることを意味し、制約も多い。多様化する個人のライフスタイルにどこまで対応させるべきか──といった論調であった。

その中で当BLOG管理人の目を引いたのは、かつてプロスポーツ界全体を対象とした国民年金基金を設立する構想があったというくだり。何でも、財団法人日本プロスポーツ協会がプロスポーツ選手国民年金基金設立の音頭を取っていたという。選手人口は当時で1万5千人と、職能型基金としては堂々のトップクラス。

ところが選手の関心は思ったよりも低かった。国民年金基金に加入するには、まず国民年金に加入している事が大前提だが、そもそも国民年金の未納・未加入が少なくなかった(現在ならスキャンダルもの)。推進担当者は公的年金の説明から始めなければならなかった。また、ある有力野球選手は年報の高い現役期間中に掛金を一括で払えないかと聞いてきたが、当然ながら国民年金では1年分の前納しか認められていない。結局申請時の仮加入者数は千人程度に留まり、基金設立は頓挫したという。

この他にも、規制緩和が徐々に解かれはじめた時代の企業年金業界の様子が生々しく描かれており、制度改正の歴史を振りかえりたい向きは読んでおいて損は無い。

─────────────────────────

余談だが、現在国民年金基金のCMに好評出演中の宮里藍は、若い上に稼ぎも莫大とリスク許容度の大きさはわが国でも5本の指に入るかと。むしろ個人型確定拠出年金で運用するべきだと思うのは私だけでしょうか?(byだいたひかる)


年金の誤算―企業を脅かす巨大債務の危機年金の誤算―企業を脅かす巨大債務の危機
日本経済新聞社

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2006年02月08日

「中小企業の退職金・適年制度改革実践マニュアル」

計算ソフトと台本の豪華2本建て 適年改革のスターターキット

中小企業の退職金・適年制度改革実践マニュアル中小企業の退職金・適年制度改革実践マニュアル
大津 章敬

日本法令 2005-10
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名古屋を基盤としたコンサルファーム「名南経営」のマネージャーを務める気鋭の社労士による適年移行本。とある印刷会社を舞台に、適年移行における導入の流れや検討ポイントが会話形式で分かり易く書かれている。

この会話形式というのがまた秀逸で、臨場感も然ることながら「とりあえず本書を台本代わりにすれば何とかなるかも?」と思わせる点が効果大。そのうえ付属の計算ソフトも秀逸と来たら、およそ同業者であれば「ここまで手の内を晒されると仕事が減っちゃうYO!」と嘆くこと必至。しかし著者はノウハウ(勿論ほんの一部なのだろうが)を惜しげも無く公開する事により、却ってコンサル依頼を増加させていると見た。制度改正の必要に迫られている経営者・人事担当者のみならず、退職金コンサルを手がける同業者も密かに買い求めてるというのも納得。

・・・・

つうか私も買い求めましたが何か? ←開き直り




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2006年02月05日

「総解説 新企業年金」第2版

包括的かつ高密度な企業年金の「教科書」

総解説 新企業年金―制度選択と移行の実際総解説 新企業年金―制度選択と移行の実際
坪野 剛司

日本経済新聞社 2005-04
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年金行政に長年携わってきた著者が、子飼いの手下?らを総動員してまとめ上げた、企業年金制度全体を余さず網羅した解説書&資料集。刊行当初は、政省令・通達レベルまで掘り下げた詳細な解説も然ることながら、制度設立時の論点・根拠や検討経緯といった行政担当者ならではの情報テンコモリだったのが好評を博した。新版では、2004年公的年金改正法や、それに伴う厚生年金基金および確定拠出年金の制度改正についてもキッチリ手当てされており、その完成度および資料的価値は益々高まっている。企業年金に携わる者は勿論、企業年金を専攻しようとする大学院生も必携すべき一冊。

余談だが、旧版刊行時は連続マイナス利回り代行返上の開始といった制度存亡の時期だっただけに、編者の「長期的視点で考えるべし」という正論に耳を貸す者は(業界の大御所ですら)極稀であったが、そんな最悪の状況から脱却・改善しつつある現在(2005年)に改訂版が出たのは、まさに時宜に適ったものと言える。特に、巻末の「代行返上を行った基金から反省の声が聞こえてくるのも長期的な見通しの欠如の表れかもしれない」という編者の弁に耳の痛い思いをせぬよう、一業界人としては研鑚を積まねばなるまいて。



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2006年02月02日

「年金生活への第一歩」

「請求もれ年金」をなくすための指南書

年金生活への第一歩ちょっと待った! これから年金の50代の方
年金生活への第一歩

高野 義博

2004-07

当BLOGとリンクしている「@年金」の高野氏による、これから年金が気になりだす50代のための「請求もれ年金」をなくすための指南書。「請求もれだなんて、俺はそんなヘマしねーし、だいいちチマチマした真似は嫌いなんだよねー」とか抜かしてるオッサン!
そう、そこのアンタ!

侮るなかれ、年金実務25年のキャリアを誇る著者に言わせれば、月額はわずか数千円の違いでも、生涯受取額に換算するとウン十万円違ってくるとのこと。特に基礎年金番号導入前の世代(現在の50代も当然含まれる)は、年金の加入記録がかなりバラバラになっており、すべて統合されている人は10人に一人だそうな。

これでもチマチマした真似は嫌いと申されるか!?

肝心の中身はというと、年金請求の手続きがテンポよく書かれていて分かり易く、また「年金お調べ」「あなたの成功報酬」「年金履歴書」といった著者独自のチェックシートも充実。読者を心なしか前向きにさせる著者の語り口も手伝ってか、これなら自分でも出来そうだとソノ気にさせる構成が秀逸。50代への指南書としては勿論、むしろ年金相談を生業とする社労士・FP・金融機関職員の教科書としてもオススメしたい。さあ、これで貴方も年金カウンセラーの仲間入り!?

なお購入時はpdfや冊子など何通りかの方法がある。当BLOG管理人は値段の安いpdfファイルで購入したが、いかんせんプロテクトが掛けられていて印字が出来ないのが最大のネック。これでは折角のチェックシートを使おうにも書き込み不可能ではないか。なので冊子での購入を薦めざるを得ないものの、どうにも釈然としないものがある。その後の改良を期待したい。

※ 著者の高野氏のサイトはコチラ



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