2006年06月29日

企業年金・退職金に関する統計調査(総論)

人事院、民間企業の退職金実態調査 (NIKKEI-NET)
人事院は22日、国家公務員の新たな退職給付制度を検討するため、民間企業の年金や退職金の実態を調査すると発表した。2010年に国家公務員共済年金の上乗せ給付(職域加算)を廃止することに伴う措置。7月3日―9月8日に調査し、年内に結果をまとめる。対象は常勤従業員数が50人以上の事業所約6200社とする。
これまで民間企業の退職金調査は5、6年ごとに実施してきたが、共済年金の職域部分も含めた比較調査は今回が初めてとなる。
(2006/6/23)

人事院では毎年「民間企業の勤務条件制度等調査」を実施しているが、今年は退職給付(企業年金・退職一時金)の調査も併せて行うとのこと。公的年金一元化に伴う共済年金の職域部分廃止の絡みで、検討のための基礎資料にするんだと。

なお、退職金・企業年金を統一的に扱った既存の統計調査は、他にも下記のものがある。特に退職金の官民比較と言えば総務省の調査が先行しているだけに、人事院が既存の統計調査とどのように差別化を図るのか俄然注目が集まる。全国の退職金統計マニアは要チェキラ!(←居ねーよそんな奴)


<企業年金・退職金に関する統計調査一覧> ※直近の調査年次にリンク
  就労条件総合調査 (厚生労働省)
  民間企業における退職給付制度の実態に関する調査 (総務省)
  退職金・年金に関する実態調査 (日本経団連)
  退職金・年金及び定年制事情調査 (中央労働委員会)
  中小企業の賃金・退職金事情 (東京都)
  民間企業退職給付調査の結果 (人事院)
  モデル退職金・年金制度調査 (産労総合研究所)
  退職金・年金制度調査 (労務行政研究所)


<関連エントリ>
The企業年金BLOG(2006/7/4): 企業年金・退職金に関する統計調査(各論)
The企業年金BLOG(2006/11/19): 退職金・企業年金は民高官低!?
The企業年金BLOG(2007/1/10): 追加調査に非ず、単なる帳尻合わせ



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2006年06月26日

「企業年金のリスク管理術」

「リスク管理」という切り口で語る企業年金の現在(いま)

企業年金のリスク管理術年金基金・財務担当者のための
企業年金のリスク管理術

岡本 卓万

中央経済社 2005-12
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これまで企業年金におけるリスク管理といえば、資産運用など資産(Asset)サイドに関するものしか議論の俎上に載らなかった。しかし本書では、退職給付会計など負債(Liability)サイドに関するリスク管理や、企業年金そのものの運営管理(いわゆる年金ガバナンス)にも言及しており、タイトル通り「企業年金のリスク管理」全般を扱った内容。「これ(本書)以上の混み入ったお話は、是非当行のコンサルティングをご利用下さい♪」といった営業的な意図が垣間見えなくもないが、そうした目論見を差し引いても上質な一冊に仕上がっている。章ごとにトピックが簡潔にまとめられているため、気になるトピックを拾い読みする使い方もアリ。



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2006年06月24日

「年金運用の実際知識」

骨太な年金運用の実務書

年金運用の実際知識年金運用の実際知識
山崎 元

東洋経済新報社 1997-11
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理論的かつ歯に衣着せぬ論調で運用業界に名を馳せている山崎元氏による、年金運用のスポンサーを対象とした実務書。全般的には、前著「ファンドマネジメント」を年金運用向けに再構築した内容。「年金運用だからといって他の運用と異なる点は無い」「長期投資=リスク軽減なんて嘘っぱち」などなど、世に広く蔓延する年金運用の常識に理知的に異議を唱えるものの、著者の論理的に妥協を許せない性格ゆえか、ややもすると「あれもダメ、これもダメ」と全否定の袋小路に陥りがち。この生真面目さが著者の長所でもあり短所でもあり、一読者としては惜しみなく賞賛するものの、会社の同僚としてはつい敬遠してしまいそう(汗)。

ともあれ、お世辞にも分かり易いとは言い難いものの、企業年金の資産運用でメシを喰おうと志す者ならば、是非傍らに置いて繰り返し読むべき一冊。1997年の刊行にもかかわらず些かも陳腐化していないのは、本書の完成度の高い証左。



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2006年06月22日

「ファンドマネジメント」

ファンドマネージャーを「目指す」&「選ぶ」ための実践書

ファンドマネジメントファンドマネジメント―マーケットの本質と運用の実際
山崎 元

金融財政事情研究会 1995-12
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理論的かつ歯に衣着せぬ言動で業界に確固たる地位を築いている山崎元氏の初の単行本。「ファンドマネージャー(FM)のための教科書」を標榜しているだけあって、とっつき難く骨太な内容だが高品質。資産運用の理論・技術・管理やパフォーマンス評価の具体的な手順等についてファンドマネージャーの視点から解説されており、プロが投資理論を実践の場でどう活用(あるいは取捨選択)しているのかといったノウハウめいたものが垣間見えて参考になる。また、ファンドマネージャーの選び方・評価についても詳細に触れられており、ファンドマネージャーを志す者は勿論、年金基金など資産を委託する側にとっても有益な一冊。1995年の刊行にも関わらず、本書を凌駕する類書が未だ現れないことからも、その完成度の高さが伺い知れよう。

山崎氏といえば、資産運用業界に蔓延する「常識」に理詰めで異を唱える姿勢が好評を博しているが、そのスタイルは既にこの頃より健在。『「何故この銘柄を買ったのか」には雄弁に答えられても、「この銘柄のウエイトが●%である理由」を説明できないようではFM失格』と平然と言い切ってしまう妥協の無さは、一読者としては拍手喝采モノではあるものの、いざ職場の上司・同僚として対峙すると、手強いというかヤな奴と感じるかもしれない(汗)。


※著者の山崎氏のBLOGはこちら
※楽天証券経済研究所の山崎氏のレポートはこちら



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2006年06月20日

「年金運用ガイドブック」

高品質な資料集 もっと宣伝を!

年金運用ガイドブック年金運用ガイドブック

第一生命保険相互会社 2005-04

第一生命による法人顧客向けガイドブック(非売品)。ポートフォリオ理論から各資産クラス(株式・債券など)の各論、更に年金ALMやオルタナティブ投資に至るまで、年金運用に関する直近のトピックが一冊に凝縮されている。お世辞にも初心者向けとは言い難いものの、中級者以上にとっては使い勝手の良い資料集となっている。第一生命に運用を委託している企業年金の担当者ならばぜひ請求しておきたい。

なお、当BLOG管理人は本書の存在を日経金融新聞の記事で知ったわけだが、新聞や業界誌で宣伝してる割には、第一生命のHPのどこを探しても本書に関する言及が皆無であった(汗)。結局、保険加入者用のコールセンターを介するなどして何とか入手に成功したわけだが、せっかく良い冊子なのだから、もっとアピールしても良いと思うのだが。。。



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2006年06月18日

機関投資家の株式売買動向(2006年1-3月期)

去る6月15日に資金循環統計日本銀行)の2006年1-3月期の数値が公表された。

20060618kabu_torihiki.jpg

さて2006年1-3月期の主な機関投資家(年金・生保・郵貯・簡保)の株式売買動向を見ると(上表)、全部門が見事に売り越している。特に企業年金と公的年金はいずれも1兆円近くを売り越しており、結果的には、当時喧伝されていた「年金のリバランス売り」を実証した格好となった。とはいえ、同時期の日経平均株価は16111.43円(12/30)から17059.66円(3/31)と堅調に上昇していることから、「年金の売り」が株価にマイナス寄与したとまでは断言できない。

なお6月16日現在の日経平均は14,879.34円と3月末から約12%も下落しており、現時点ではリバランスを行う必要の無い水準に落ち着いているものと思われる。


<関連エントリ>
The企業年金BLOG: 機関投資家の株式売買動向(2005年9-12月期)



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2006年06月16日

「やさしい企業年金教室」

新入社員の頃に戻って年金数理を学ぶ

やさしい企業年金教室やさしい企業年金教室
日本生命保険相互会社

ぎょうせい 1997-07
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それまで年金数理のスの字も知らなかった当BLOG管理人を、一転して年金コンサルタントの魅力に目覚めさせてくれた一冊。某生命保険会社の年金数理部門を舞台に、新入社員の英子さんが日々の業務の中で感じた疑問を、職場の先輩・上司との会話形式で解説するという構成。確かに、「何だか分からない」ものを「何とか分かる」ようにさせる手法として、OJT(職場での実地訓練)に勝るものはない。ここに目を付けた著者の着眼点はお見事。また、脱退率や昇給率の変動が保険料率に与える影響を「制度の加入者が2人だけだったら」と仮定して解説する手法も秀逸。当BLOG管理人はこれを「世界がもし100人の村だったら」方式と命名する。

ともあれ、年金数理の入門書としては、解説の秀逸さと分かり易さが両立した最強の一冊。本書と出会わなければ、現在の私は無かったと言っても過言ではない。そもそも当BLOGを立ち上げた目的の一つは本書を紹介するがためである。とうとうこの日が来たかと思うと感無量である、ううう(←嘘泣き)。

しかし、このような名著が絶版となっているのは残念無念。ただし心配する事なかれ。現在はamazonマーケットプレイスにていとも簡単に入手可能(しかも安値で!)。当BLOG管理人は本書の入手にひどく苦労したものだが(結局古本屋では見つけられず、職場の先輩を拝み倒して入手)、便利な世の中になったものよ・・・(遠い目)


<関連エントリ>
The企業年金BLOG(2010/7/20): 「続・新企業年金教室(全27回)」



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2006年06月14日

村上ファンドと企業年金

村上世彰代表の逮捕により、昨今はマスコミから扱き下ろされない日は無い村上ファンド(正式名称:M&Aコンサルティング)。企業年金業界にとっては対岸の火事と思いきや、一部の年金基金も村上ファンドに運用委託していたとか。そういえば、業界誌「年金情報」3月6日号でこんな特集記事が組まれていたっけ。
頭角現すアクティビストファンド
基金が経営提案に参画 村上ファンドに出資も

(要約)
機関投資家の一角を占める年金基金が、ファンドを通じて企業経営に積極的に関与する動きが目立ち始めた。アクティビストファンドと呼ばれる、新しい運用商品が年金資金を吸収し、その規模を次第に膨らませている。「村上ファンド」を含めた内外の専門運用会社が、年金運用の手法を大きく変えつつある。
(『年金情報』 2006/3/6 1-7頁)

上記の記事は、投資先企業への経営提案などを通じて企業価値向上(=ファンド利回り向上)を目指す「アクティビストファンド」を提供する運用機関が増えており、年金基金からの受託を増やしている──との内容。件の村上ファンドも、そんなアクティビストファンドの一つとして取り上げられていた。それによると、村上ファンドの国内年金基金からの受託状況は、2005年12月末時点で3基金から140億円を受託。1件は2001年から、04年と05年に1件ずつ加わったとのこと。件数や金額よりも、5年も前から運用委託した基金が居たというのはオドロキ。担当者に先見の明があったのかそれとも単なる●●なのかはともかく(汗)、よくぞまあ理事会や代議員会で了承を得られたものだ。

ところで、今から3ヶ月前に書かれたこの記事では、村上ファンドは市場を撹乱する悪徳商人どころか、アクティビストファンドとしては「敵対的だが先進的」と肯定的に捉えられていた。しかも同社社長・FMのインタビューにまるまる1ページの誌面を割くあたり、まあ結構な持ち上げぶりであった(苦笑)。それから程無くして現在のような四面楚歌状態に陥るとは、この時誰が予想出来ただろうか・・・



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2006年06月10日

「物言う株主」の次は「物言う社債権者」?

ボーダフォン債下落の波紋 立ち上がるか「物言わぬ」社債権者
国内最大LBOに異議あり

(要約)
ソフトバンクによるボーダフォン買収が発表されたが、巨額のLBOによる負債増加が嫌気され、両社の社債は大きく値下がりした。「巨額の借入・社債発行は当面避けたい」(孫ソフトバンク社長)との発言から程なくしての今回の買収劇。これには「社債投資家に対する背任行為だ」と、損失を被った社債投資家は怒り心頭。一部の機関投資家は「社債権者集会」を開いて責任を問う構えを見せている。社債投資家も声を上げなければ、企業の経営陣は株主利益ばかりに気を取られて社債権者の権利は置き去りにされてしまう。
(『日経公社債情報』 2006/6/5 コラム「放電塔」)

今週の日経公社債情報の巻末コラムは非常に興味深い内容だった。近年「株主価値の向上」「物言う株主」が喧伝されているが、その一方で社債投資家が置き去りにされているのではないか──という小論であった。確かに、企業においてIR(投資家向け広報活動)といえば対株主がメインで、社債権者に対するそれはついぞ目にしない。株式だろうと債券だろうと企業への投資に変わりはないのだから、社債投資家も声を大にするべきだという意見そのものには説得力がある。

では、株式・債券両方を保有する投資家はどう動くべきなのだろうか?
株式投資家と債券投資家は、企業の利益を配分する際は競合関係となる。殊に企業年金は、分散投資の観点から株式・債券を幅広く保有しており、当然ながら同一企業の株式と社債を同時に保有しているというケースも少なくない筈。現在企業年金の世界では、企業年金連合会に代表される「物言う株主」としての活動が脚光を浴びているが、果たして将来、企業年金が「物言う社債権者」を標榜する時代は到来するのだろうか・・・?



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2006年06月08日

「企業年金制度移行事例集」

無料の割には内容充実

企業年金制度移行事例集(平成18年1月)移行企業の担当者が語る
企業年金制度移行事例集(平成18年1月)


中小企業庁(受託:大和総研)
2006-01

以前当BLOGで中小企業庁主催の企業年金セミナーに参加した所感を記したが、セミナー会場で配布され好評を博していた「企業年金制度移行事例集」が、いつの間にか中小企業庁のサイトにUPされていた。刊行は中小企業庁とあるが実際の企画・製作は大和総研が受託しており、さすがに基本情報の整理はバッチリ為されている。本書と同程度かそれ以下のレベルの駄本や駄コンサルに金を払うくらいなら、これを利用しない手は無い。



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2006年06月06日

「一家に一冊!! 年金お助けBOOK」

むしろ社保事務所・年金基金の職員にこそオススメ

年金お助けBOOK一家に一冊!! 年金お助けBOOK
〈2006‐2007年版〉

企業年金研究所LPCチーム編


企業年金研究所 2006-05
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昨今の公的年金不安を受けてか、「年金解説本」を名乗る書籍は枚挙に暇がないが、本書は、
 (1)直近の改正状況を網羅している
 (2)そこそこ分かり易く書かれている
 (3)生年月日別乗率表など資料が充実している
──などの点が類書に比べると秀でている。それでいてコンパクトなサイズに収まっており、使い勝手は良い。タイトルには「一家に一冊」とあるが、むしろ社会保険事務所や年金基金の新任職員にこそオススメしたい。あとは飽きずに毎年改訂版を出してくれれば、この分野でNo.1になれるだけの可能性を秘めている。毎年毎年改訂されている割には単なる法令集のコピペな駄本が書店の書棚で幅を利かせているのを見るにつけ、深く思う。

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【2006.11.1追記】
初版の記述に一部誤りがあったとの事。初版の正誤表はこちら




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