2006年10月26日

「知っておきたい証券投資の基礎知識」

証券業界のお膝元から出たとは思えない公正さ

知っておきたい証券投資の基礎知識知っておきたい証券投資の基礎知識

東証アカデミー 2004-04

東京証券取引所が一般の投資家向けに開講している「東証アカデミー」の基礎コース用テキスト。業界団体が作成した当り障りの無いパンフレットと侮るなかれ、なんと監修者はかの山崎元氏。「手数料は確実なマイナス要因だ!」「仕組みを理解できない商品は買うな!」等々、証券業界を敵に回して憚らない山崎イズム全開の内容。業界のいわばお膝元である証券取引所からよくぞリリース出来たものだと感心してしまうくらい、投資家本位の公正な内容に仕上がっている。
それだけに作成時は事務局サイドとかなりスッタモンダがあったらしく、2005年度以降はカリキュラムから除外され、本テキストも現在入手困難となっている。当BLOG管理人は、たまたま山崎氏が講師を勤めた某セミナーで入手することが出来たが、どうしても入手したい向きは、東証に直接尋ねる他ない。それでも駄目な場合は山崎氏の他の著作でも理論背景はある程度カバーできる。とはいえ、本書をこのまま絶版にするのは投資家にとっては手痛い損失。是非復刻を要請する。

余談だが、東証アカデミーの講座は、受講料(2,000〜4,000円)の割に高品質でオススメ。19:00開講のコースもあり、社会人でも会社帰りに利用可能なのは嬉しいところ。是非一度受講してみては如何だろうか。



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2006年10月23日

LTCM破綻から学ぶアクティブ運用の留意点

先日紹介した「マンガ LTCM」は、目的や手法こそ違えど、企業年金や公的年金の資産運用においても示唆に富む内容の連続であった。
LTCM破綻までの顛末を当BLOG管理人がまとめたのが以下のフローチャート。彼らが得意とする裁定理論の世界は、「市場は効率的」「市場参加者は合理的」「原資産価格のボラティリティ(変動性)は常に一定」──などなど様々な前提の元に立脚しており、それら前提条件が崩れると、当然ながら理論は機能しなくなる。LTCMの場合、下記Bがまさに前提条件崩壊の引き金となった。LTCMの手法を真似る投資家が増えたために裁定機会が減少し(下記C)、裁定機会が減少したために他の収益機会(=彼らの投資理論が及び難い分野)に手を出さざるを探さざるを得なくなり(下記D)、未知の分野のリスクが許容範囲以上に膨らんだ(下記E)ところで、通貨危機による100年に1度あるかないかの価格変動(下記F)に見舞われて、万事休す(下記G)

 @運用が絶好調!
    ↓
 A他者の注目を嫌でも集める
    ↓
 B他の市場参加者が運用手法を真似する
    ↓
 C収益を得るチャンス(裁定機会)が減少
    ↓
 D得意分野以外の分野にも手を出さざるを得なくなる
    ↓
 E資産規模の膨張・流動性の低下により許容範囲以上のリスクを抱える
    ↓
 Fそこへロシアの通貨危機
    ↓
 Gあぼーん (+д+)ウワー



結局、いくら画期的な勝ちパターンを確立したところで、資産規模がデカくなったり運用手法を真似されたりすると、途端に運用効率は落ち、理論は陳腐化してしまう。これはヘッジファンドに限った話ではなく、年金運用や個人投資にも言える。つまり、ヘッジファンドを含めたアクティブ戦略で長期にわたり収益を得ようと思ったら、

 目立たず・騒がず・ひっそりと

──つまり、資産規模はそこそこに抑え、運用手法等は秘密厳守。これに尽きる。ただし、年金などの巨大な機関投資家は隠密行動しようにもどうしても目立ってしまうため、自ずと銘柄選択以外の手法(ポートフォリオ運用・パッシブ運用etc)の比率を高めざるを得ない。そうした事情を考慮せずに「わが国の年金基金は銘柄選定能力ゼロ」と一刀両断する大前研一氏には、かつてのLTCMのような天才特有の独善性を感じる。銘柄選択の判断が正しいからといって、必ずしも市場に勝てるとは限らないのだよ、大前君。


天才たちの誤算―ドキュメントLTCM破綻天才たちの誤算―ドキュメントLTCM破綻
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LTCM伝説LTCM伝説―怪物ヘッジファンドの栄光と挫折
ニコラス ダンバー 寺沢 芳男

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<関連エントリ>
The企業年金BLOG(2006/10/22): 「マンガ LTCM」



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2006年10月22日

「マンガ LTCM」

金融工学の可能性と限界をサラッと描写

マンガ LTCMマンガ LTCM
清水アキラ 狩谷ゆきひで

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LTCM(Long-Term Capital Management)と言えば、ノーベル経済学賞を受賞した大学教授や伝説的敏腕トレーダーらを擁したヘッジファンドのドリームチーム。94年の設立から当初4年間こそ年平均40%ものリターンを叩き出し名声を得ていたが、東南アジアやロシアでの相次ぐ通貨危機の煽りを受けて98年に破綻したことはつとに有名。LTCMの興隆から破綻までを綴った書としては、これまでにも「天才たちの誤算―ドキュメントLTCM破綻」「LTCM伝説―怪物ヘッジファンドの栄光と挫折」等があったが、これらのエッセンスを一冊にまとめたのが本書。マンガだけあって人間ドラマの描写が秀逸なのは勿論だが、トレードに関する解説も、読書の流れを妨げないよう難解な部分はあえて端折って基本事項のみに留めているあたり心憎い。一連の顛末をサラッと俯瞰するのに最適なだけでなく、企業年金の運用においても示唆に富む内容。本件に更に興味を持ったら、前述の2冊を読むと理解が更に深まること必至。

余談だが、LTCMの破綻については「ロシアの通貨危機」「図体がデカくなり過ぎた」「不得意な分野に手を拡げた」などが主な原因として良く挙げられるが、当BLOG管理人は、図らずも本書のとある一コマから破綻の兆候を見出してしまった↓


汚名を挽回するチャンスが欲しいと思っています」

「汚名?」


LTCM_omei.jpg

(以上、本書37ページより引用)

・・・なるほど、「名誉」ではなく「汚名」を挽回した故の顛末だったのか(汗)。


<関連エントリ>
The企業年金BLOG(2006/10/23): LTCM破綻から学ぶアクティブ運用の留意点



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2006年10月19日

適年から特定退職金共済への移行は解禁されるのか

特定退職金共済(特退共)とは、所得税法施行令第73条に基づき、市町村・商工会・商工会議所等が税務署長の承認を受けて特定退職金共済団体となり、中小企業退職金共済(中退共)に準じた退職金給付を行う制度である。確かな統計は存在しないが、一説には900を超える団体が実施していると言われている。制度の概要については、以下のサイトに詳しい。
 ・商工会議所年金教育センター
 ・IICパートナーズ
 ・東京商工会議所

中退共との違いは、
  @運営主体は商工会議所・商工会など
  A企業規模による加入制限が無い(中小企業でなくとも加入可)
  B掛金は最低1,000円から可(中退共は一般労働者の場合で5,000円から)
  C事務費負担がある(掛金から控除)

──などが挙げられる。なお中退共との併用は可能だが、特退共同士の併用は不可能である。近年は、特にA中小企業でなくとも加入OKな点が好感されてか、特退共を適格退職年金(適年)からの移行先に加えるべきとの声も商工会議所を中心に根強くある。

しかし特退共は「税法(しかも政令レベル)を根拠としており法規範性が弱い」「受給権保護の仕組みが皆無」等の理由により、適年からの移行先に含まれなかった経緯がある。これはまさに適格退職年金が廃止に追い込まれた要因そのものであり、今後特退共が移行先として認められるためには、とりわけ受給権保護(積立水準検証・受託者責任・情報開示)に関する規定を中退共と同等レベルに整える必要があろう。あと個人的には、特退共に関する統計をもっと整備して欲しいところ。



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2006年10月17日

「年金数理概論」

年金数理を用いた企業年金の解説書

年金数理概論年金数理概論
日本年金数理人会

朝倉書店 2003-06
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年金数理人の職能団体である日本年金数理人会が大学院での寄付講座の内容をベースに作成した年金数理の解説書──と聞くと、つい院生向けの難解なテキストを連想しがちだが、本書はそもそも年金数理(ひいては年金数理人制度)の普及啓蒙を目的に作成されたこともあり、意外や意外、文章自体は予備知識が無くともそれなりについて行ける。もちろん難解めいた数式もたびたび出てくるものの、アクチュアリー試験の受験者ならともかく、実務家レベルの身が読む分には数式なんて文章を簡略化したものと割り切って読み飛ばすが賢明。
なお内容的には、年金数理そのものの解説書というよりは、むしろ企業年金制度の解説書といった色合いが強い。



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2006年10月14日

「生命保険入門」

体系的・学術的に生命保険を学べる入門書

生命保険入門生命保険入門
出口 治明

岩波書店 2004-06
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生命保険に関する入門用教科書というと「生命保険新実務講座」(有斐閣)「生命保険講座」(生命保険協会)がまず思い浮かぶが、前者は刊行からかなりの年数が経っており、後者は業界人向けで入手が困難であるなど、ファーストチョイスとしてはいまいち決め手に欠ける。一方で、消費者向けのムック本の類は雨後のタケノコの如く出回っているものの、生命保険を体系的かつ真面目に学ぼうとする向きには物足りないことこの上ない。
そんな中刊行されたのが本書。業界のオピニオンリーダー(の1人)による著作だけに、生命保険に関する一連のトピックをつぶさに押さえており、教科書としての完成度は高い。それでいて、決して業界寄りの姿勢ではなく時には苦言を呈するあたりに、著者の保険に対する想いと公正さが感じられる。もっとも(生保と競合関係にある)簡保に対する弁舌はやや荒いけど(笑)。巻末の参考文献紹介も初学者にとっては有用。



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2006年10月12日

「生命保険講座」

業界御用達 生命保険の基本テキスト集

生命保険講座生命保険講座(全8冊)

生命保険協会

生命保険の業界団体である生命保険協会が業界人向けに開催している「生命保険講座」のテキスト(8分冊)。およそ生保業界に携わる者ならば必ずや一度は目を通した事があるはず。研修用テキストだけあって、生命保険に関する全てのトピックが体系的に網羅されており、生命保険を実務的・学術的に学ぶには最適な構成。惜しむらくは、業界向けであるため一般人が入手するのは非常に困難なのが玉に瑕。一般にも販売すればいいのに。
なお全8冊のラインナップと当BLOG管理人の雑感は以下の通り。

「生命保険総論」
 以下7冊のダイジェスト版。業界の概要を一掴みするのに最適。
「生命保険計理」
 保険料・責任準備金の算出方法など保険数理に関する解説。
「危険選択」
 危険回避のための統計的・制度的手法について解説。
「約款と法律」
 民法・商法から保険業法・約款まで法律的なトピック中心。
「生命保険会計」
 一般の会計原則と生保特有の会計原則の2本立て。
「生命保険と営業」
 定期・終身など商品解説がメイン。営業に関する解説はただの飾り(汗)。
「生命保険と税法」
 前半3分の2は単なる税制の解説。残り3分の1だけ読んどけ。
「資産の運用」
 生保運用の歴史や諸外国の状況に関する記述が手厚い。


<関連エントリ>
The企業年金BLOG(2007/6/20): 「生命保険の法務と実務」
(↑市販本だが「生命保険講座」の代替に最適)



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2006年10月10日

企業年金に関するイベント2連発

10月10日といえば、古くは「体育の日」、最近では「マグロの日」やら「萌えの日」やら色々あるようだが、企業年金業界では注目すべきイベントが立て続けて催された。


厚生労働省 「企業年金研究会(第1回)」
厚生労働省が今更ながら急遽設置した有識者懇談会。7日付の日経新聞記事ではさも確定拠出年金がメインの如き書きぶりだったが、それならば昨年まで開催していた「確定拠出年金連絡会議」で事足りるはず。さて実際はどうなのだろうか。。。
会場に足を踏み入れると、傍聴者数は約30名ほど。発表から開催までの周知期間が短かったせいか、鳴り物入りで導入された割にはいまいちの人数。本日は第1回ということもありさほど活発な議論は交わされなかったものの、やはり議論の大半は確定拠出年金に集中していた。確定給付がらみの論点は支払保証制度の導入是非くらい。これでは日経新聞の見出しを笑えませんなあ(汗)。とはいえ、行政主催の会議だけにレジュメ・資料の完成度の高さはピカイチ。データ収集には有用な機会となった。なお資料等は順次Webで公開予定とのこと。


企業年金連合会 年金フォーラム「確定拠出年金 さらなる発展に向けて」
一方こちらは、昨年改名してから確定拠出年金制度へのアピールが著しい企業年金連合会によるイベント。今回の売りは、何と言っても先日公表されたばかりの「確定拠出年金に関する実態調査」。前述の企業年金研究会でも結果概要が発表されていたが、興味深いデータが目白押しなので、詳しくは企年連サイトを参照されたし。
こちらのフォーラムは、事前の広報活動が功を奏してか300名を超える盛況ぶり。もっとも、件の実態調査の結果発表以外は、テーマといいパネリストの顔ぶれといい代わり映えしない毎度お馴染みの内容だったが(確定拠出年金連絡会議商工会議所年金フォーラムに参加したことのある向きなら解かって貰えるはず)。なお個人的には、サンデン秦氏の(DB制度の運営コストに比べれば)投資教育コストなんて大した事ない」との発言が妙に印象に残った。



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2006年10月06日

特定業種退職金共済の概要とその運用方針

(独)勤労者退職金共済機構は、中小企業退職金共済(中退共)の他に特定業種退職金共済なる制度を運営している。
特定業種退職金共済とは、中退共と同様の退職金給付を行う制度で、現在、建設業・清酒製造業・林業の3業種で実施されており、それぞれ建退共清退共(酒退共)林退共と呼ばれている。当該業種に属してさえいれば企業規模(人数・資本金)は問われないものの、被共済者(加入対象者)となれるのは期間雇用者のみである。
さて、そんな建退共・酒退共・林退共の基本ポートフォリオを中退共も併せて比較したのが以下の表である↓

      国内債券 国内株式 外国債券 外国株式 その他
 建退共  86.2%   5.3%   2.6%   2.6%  3.3%
 清退共  91.9%   4.1%   2.0%   2.0%  0.0%
 林退共  95.6%   2.6%   1.8%   0.0%  0.0%
 中退共  79.0%  10.0%   5.0%   6.0%  0.0%


以前当BLOGで「中退共の資産運用は公的年金よりも保守的」と書いたが、中退共の弟分である建退共・酒退共・林退共はそれを上回る保守っぷりであることがわかる。安全重視と言えば聞こえは良いが、ところが(基本ポートフォリオから導出される)期待収益率と予定利率とを比較すると、思わぬ姿が見えてくる↓

     @期待収益率 A予定利率  @−A
 建退共   1.62%   2.70%  ▲1.08%
 清退共   2.04%   2.30%  ▲0.26%
 林退共   1.67%   0.70%   0.97%
 中退共   2.60%   1.00%   1.60%


中退共・林退共は期待収益率が予定利率を上回っている一方、建退共・清退共は期待収益率が予定利率を下回っているという姿に二分している。中退共・林退共は累積損失を抱えているため、現在「累積欠損金解消計画」に基づきその解消に努めている。予定利率を低い水準に抑えているのもその一環だと思われる。
一方、理解できないのは建退共・清退共。いくら現在は累積欠損金が存在しないとはいえ、この状態(期待収益率<予定利率)では「逆ざやをどんどん出します!」と宣言しているようなもの。給付建て(確定給付型)ならまだしも、掛金建て(確定拠出型)制度でこの運用方針は果たしていかがなものかと。よく監督官庁(厚生労働省)が認めたものだ。

※中退共・建退共・清退共・林退共各制度の運用基本方針はこちら
※中退共・林退共の累積欠損金解消計画はこちら


<関連エントリ>
The企業年金BLOG(2006/9/29): 給付費からみる中退共と企年連の運用スタンスの違い



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2006年10月04日

「年金基金のための資産運用入門」

つかみはOK!なのだが・・・90年代初頭の名著

年金基金のための資産運用入門年金基金のための資産運用入門
山田 正次

東洋経済新報社 1992-11
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序章「ある運用委員会での議論」における、とある年金基金の運用委員会でのやりとりを綴った描写が圧巻。

「(運用機関は)プロなんだから下落局面でも何とかしろ!」
「年金は老後目的資金。元本保証・安全確実が第一だ。」
「年金は長期運用なんだから、リスクを取るべし!」


↑といった理事の面々がぶつける疑問は、運用初心者ならば誰もが「そうだそうだ」と思うものばかり。これに対して基金の常務理事は、上記の質問に親切丁寧かつ熱心に答えて一同納得、詳細は次章以降で──という"つかみ"で、読者はグッと本書の世界に引き寄せられるのだが・・・

ところが、その甘言に期待して次章以降をめくると、期待ハズレもいいところ。前述の生々しいやりとりとは裏腹に、教科書的な通り一遍の解説が羅列するのみで、これでは前出の理事たち(=運用初心者)を納得させるのは至難の業ではないか(教科書的な解説としては及第点の出来だが)。とはいえ、1990年代初頭に刊行された書籍にしては整理されており、また年金基金の役職員向けに書かれたおそらく最初の「運用入門本」という先駆者的な役割に敬意を表して★3つを献上する次第。



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