2007年03月27日

兵(つはもの)どもが夢のあと 年金編

栄枯盛衰は世の理(ことわり)。年金業界においてもまた然り。そんな、かつて威容を誇った兵(つはもの)どもの在りし日の様を、年度末のこの時期にこそ回顧せんとす。


日本マンパワー「年金コンサルタント養成講座」

日本マンパワーと言えば、社労士受験予備校の老舗であると同時に、合格後の有資格者向けの開業者・実務講座もまた講評を博していた。とりわけ「年金コンサルタント養成講座」は、資格称号を商標登録するほどの力の入れよう。テキストも微に入り細に入る充実の内容なだけに、当BLOG管理人もゆくゆくは受講しようと画策していたのだが・・・
ところが、日本マンパワーは伝統ある社労士通学講座を休止(通信は継続)、その煽りを受けたのか、年金コンサルタント養成講座も2007年度より敢えなく休止の憂き目に(涙)。嗚呼後悔先に立たず。時のうつるまで泪を落し侍(はべ)りぬ。_| ̄|●

  いつまでも あると思うな 親と講座 (字余り)


退職金太郎

「退職給付改革を中立的に支援する双方向のビジネスプラットフォーム」というフレコミのもと、(財)社会経済生産性本部が2005年10月に開設した企業年金・退職金改革サイト。翌06年2月には虎ノ門パストラルで開設記念シンポジュウムを開催したことは当BLOGでも取り上げたが、その後の活動は風の便りにも聞こえず(汗)。絶賛執筆中である筈の年金コンサルタントリレーエッセイは05年10月(つまりサイト開設時)から更新されずじまい。また、サイト随所に表示されている「ただいま準備中です」の文字が寂寥感を一層際立たせている。サイト運営元の「生産性」の3文字はもはや頽廃空虚の叢か。

  夏草や 金太郎(キンタロ)どもが 夢のあと


公的年金タスクフォース (←注:既に閉鎖)

そもそもの発端は、かの木村剛氏が自身のBLOGで公的年金の2004年改正に異を唱えたことから始まった。ちょうどブログが脚光を浴びはじめた頃と時期が重なったこともあり、木村氏を発起人に一般市民のブロガーが終結、一部の学者や国会議員を巻き込んで発足したのが件の「公的年金タスクフォース」。
烏合の衆と侮るなかれ、噂が噂を呼び、トラバがトラバを呼び、新聞記事にも取り上げられ、ついには厚生労働省への情報開示請求、年金局数理課とのミーティングにまで漕ぎつけたのだから大したもの。まさに、設立から絶頂まで一気に駆け上がった新興プロレス団体(例えるなら第一次UWFか)のムーブメントを髣髴とさせた。「ブログによる情報発信」「新たな社会参加のモデル」──これらの謳い文句が単なる美辞麗句や絵空事ではなく、まさに手に届かんばかりの現実味を帯びていた。
ところがその勢いもいつの間にやら沈静化。フェードアウトぶりまでプロレスばりとは予想外。メンバーと思しき者のブログを拝見しても、2005年夏頃を最後に、年金のネの字にも触れていない。肝心の木村氏も、今や年金への興味はすっかり失せた模様(汗)。せめてこれまでの検討経緯を俯瞰せんとするも、公式BLOGはとっくに閉鎖。現在ではトラックバック・ピープル(TBP)のみが、かつての栄耀を現世に伝えている。暫時千歳の記念とはなれり、か。

  五月雨の 降り残してや TBP






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2007年03月20日

「証券アナリストのための数学再入門」

古風な数学教師の趣(おもむき)

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金子 誠一

ときわ総合サービス 2004-04
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証券アナリスト試験を主催している日本証券アナリスト協会の幹部が書き下ろしただけあって、演習問題などは試験に特化した無駄のない作りとなっている。しかし本書の白眉は、一見無骨だがウィットに富んだ語り口にあると言えよう。まさに古風な数学教師の趣き。解説も、これまでの協会指定テキストの難解さ&とっつき難さに泣かされた身としては、信じられない親切丁寧さ。一介の天下り団体(失礼)が随分と思い切ったものだ。もっとも実は、近年の受験生減少(に伴う会費収入減)に泣かされているアナリスト協会による、合格率アップ(による会費収入増)策の一環だったりして!?

なお、「解説が丁寧=易しい」とは必ずしも限らないので、どうしても分からない箇所はとっとと飛ばし読みするが吉。念のため申し添えておく。



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2007年03月16日

企業年金の予定利率の算出根拠とは

厚生労働省は3月13日、厚生年金基金および確定給付企業年金の財政検証に用いる2007年度の利率を告示した。継続基準に用いる予定利率の下限は1.3%、非継続基準に用いる利率は2.20%となった。

ところで、企業年金の予定利率を語るにあたって「5.5%で固定されている硬直的な予定利率・・・」といった論調を未だに見かけるが、1996年以前ならともかく、現在も同じことを言っているようではお里が知れるというもの。1997年以降、継続基準の予定利率については、下限が設けられているほかは自由化されている。仮に2007年度にDB制度を立ち上げたいのならば、予定利率は1.3%以上で設定すればOK。ただしその分掛金は高目となるが。各制度における下限予定利率の推移は以下のとおり。

◆継続基準の予定利率
 <年度> <厚年> <DB>   <算定根拠>
 1997年  4.0%   ──  10年国債応募者平均利回りの5年平均
 1998年  3.4%   ──        
 1999年  2.9%   ──        
 2000年  2.4%   ──        
 2001年  2.0%   ──        
 2002年  1.2%  1.2%  5年平均または1年平均のいずれか小さい率
 2003年  1.2%  1.2%       
 2004年  0.9%  0.9%       
 2005年  1.3%  1.3%       
 2006年  1.2%  1.2%       
 2007年  1.3%  1.3%       

 <年度> <適年>   <算定根拠>
 1997年  3.1%  10年国債応募者平均利回りの1年平均
 1998年  2.3%        
 1999年  1.5%        
 2000年  1.7%        
 2001年  1.7%        
 2002年  1.2%        
 2003年  1.2%        
 2004年  0.9%        
 2005年  1.4%        
 2006年  1.3%        
 2007年  1.7%        



また非継続基準については、利率そのものは告示等で定められているものの、2003年以降は、当該利率に0.8〜1.2の調整率を乗ずることが可能となっている。非継続利率の推移は以下のとおり。

◆非継続基準の予定利率
 <年度> <厚年> <DB>   <算定根拠>
 1997年  4.75%   ──  20年国債応募者平均利回りの5年平均
 1998年  4.00%   ──  (小数点以下0.25揃え)
 1999年  3.50%   ──        
 2000年  3.00%   ──        
 2001年  2.75%   ──        
 2002年  2.50%  2.50%       
 2003年  2.23%  2.23%  (小数点以下0.25揃えを廃止)
 2004年  2.29%  2.29%  30年国債応募者平均利回りの5年平均
 2005年  2.20%  2.20%       
 2006年  2.17%  2.17%       
 2007年  2.20%  2.20%       



なお、上記の利回りは例年3月頃に告示または通知されるが、その根拠となる国債の応募者平均利回りは財務省Webサイトで発表されている。ただし、毎月手作業で拾わねばならないのがチト辛い(汗)。


※参考資料
企業年金制度における各利率の設定基準(日本年金数理人会) (pdfファイル)
○10年国債応募者平均利回り (当BLOG作成)
 keizoku-rate.jpg
○20年・30年国債応募者平均利回り (当BLOG作成)
 hikeizoku-rate.jpg


<関連エントリ>
The企業年金BLOG(2006/11/3): 財政検証における継続基準・非継続基準とは
The企業年金BLOG(2006/12/14): 代行部分の予定利率は5.5%に非ず



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2007年03月13日

「平成18年度 年金制度のポイント」

かつての年金白書の末裔!? セミナー資料に最適

nenkin_point_h18.jpg平成18年度 年金制度のポイント (pdfファイル)

厚生労働省年金局 2007-03

今週に入って厚生労働省のWebサイトにひっそりと掲載された約40ページにわたるパンフレット。容量の関係で1ページ単位でしか閲覧できないのがネックだが、公的年金および企業年金の制度概要が良くまとまっており、かつて厚生省年金局より刊行された「年金白書」を髣髴とさせる出来。社内でのセミナーや勉強会資料に是非。なお、企業年金に係る記述は「企業年金に関する基礎資料」からの転載が多い。



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2007年03月11日

入学前だが修論発表会に潜入

土曜日は、4月から通う大学院の指導教官のご厚意により、今春修了の先輩方の修論発表会に招かれた。自身の研究テーマの方向性を固める上で、先発組の研究動向を無視するわけにはい神崎。

通常、この手の発表会はどちらかというと「お披露目会」的な要素が強く、質疑応答など予定調和的に終了するのが慣例だが、今回は質疑応答タイムがスリリングであった。観客(業界では名うての論客が勢揃い)からのコメントも手厳しかったが、発表者が回答になっていない回答をした時の指導教官のツッコミは更に手厳しいものであった。私も2年後はこの場で恥をかかないよう精進せねば。それにしても、先輩方には目ぼしい研究テーマはあらかた探求し尽くされた模様(汗)。難儀やなぁ〜。



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2007年03月09日

「国内MBA 無敵の合格戦略」

受験対策としては前著より実践的

国内MBA 無敵の合格戦略ウインドミル飯野の国内MBA無敵の合格戦略
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前著「国内MBA 研究計画書の書き方」から2年後の刊行だけあって、収録されている大学院は直近のものとなっており、また小論文対策や面接対策の記述が手厚くなっている。「ウインドミル飯野の」とか「国内MBA受験予備校業界の反逆児」とかいう自己主張が鼻につくものの、試験対策・情報提供という目的においては本書の方が実践的。


<関連エントリ>
The企業年金BLOG(2007/3/6): 「国内MBA 研究計画書の書き方」



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2007年03月06日

「国内MBA 研究計画書の書き方」

ただの文例集に非ず 参考文献紹介が充実

国内MBA 研究計画書の書き方国内MBA 研究計画書の書き方―大学院別対策と合格実例集
飯野 一、佐々木 信吾

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この4月より某社会人向け大学院(名目上はMBAだが実際は企業年金中心)に通うことになったのだが、その出願時に必須であった研究計画書作成のため急遽購入したのが本書。
タイトルどおり国内MBA各校の研究計画書の記載例だけで本書全体の8割を占める構成なのだが、意外にも残りの2割「MBAとは何か」「伝達効果の高い文章の書き方」が大変参考になった。また、組織論・ファイナンス・アカウンティングといった分野毎に参考文献が詳細に掲載されており、これらを完全読破すれば大学院など通学不要では!?(知識習得という面においては)とすら思わせる充実ぶり。対策本というよりもむしろMBA理論の入門書として有用。

なお、本書の刊行後、国内MBAを称する大学院の数が更に増殖したため、近年は大学院の網羅性に欠けつつある感がある。私が受験した大学院も、本書では扱われていなかった。設立間もない新しめの大学院を受験するならば、同じ著者による「国内MBA無敵の合格戦略」にて補足されたし。


<関連エントリ>
The企業年金BLOG(2007/3/9): 「国内MBA 無敵の合格戦略」



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