2007年06月28日

金融業界は「寄附講座」流行りだが

主要12大学、06年度の寄付講座3割増 日経調査 (NIKKEI-NET)
企業や業界団体からの大学の寄付講座が増えている。全国主要12大学に日本経済新聞社が調査したところ、2006年度の講座数は前年度を約3割上回った。少子化で経営環境が厳しさを増しており、大学側は寄付講座の開設で、資金調達の多様化と学生への授業内容の魅力向上をアピールする狙い。採用難に悩む企業も自社の存在を学生に印象づける機会ととらえているようだ。
(2007/5/2 日経夕刊 1面)

古い記事で恐縮だが、企業や業界団体がスポンサーとなって設置される寄付講座(大学によっては寄附講座とも寄付講義とも称する)が増加しているとのこと。当BLOG管理人も先日全労済&東工大のシンポジウムを観覧したが、保険業界だけでみても、損保ジャパン&東大あいおい損保&早大三井生命&青学大&早大日本興亜損保&中大などなど、枚挙に暇がない。大学サイドは「寄附金の調達」「学生集め」、企業サイドは「優秀な学生の青田刈り」という双方の思惑が見事に相まった企画である。講師の中には、業界人も目を見張る著名人が紛れ込んでいる場合があるので、これまた油断ならない。できれば社会人も来訪し易い時間帯に開講して欲しいものだが。

ところで、リリース当初は気にも留めなかったのだが、あいおい損保&早大の講義一覧のうち7月5日の欄に目をやると、現在まさに渦中の人物の名が↓

waseda-ioi-origuchi.jpg


展望って・・・(汗)

・・・つうか予定通り来訪・講演してくれるのだろうか。
それだけが気懸かりである(汗)。



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2007年06月25日

「世界にひとつしかない「黄金の人生設計」」

本書を鵜呑みにしない判断力が経済的自立への第一歩

世界にひとつしかない「黄金の人生設計」世界にひとつしかない「黄金の人生設計」
橘 玲、海外投資を楽しむ会

講談社 2003-11-21
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世に蔓延するマネーの常識に淡々と異議を唱えるゴミ投資家シリーズから派生した新シリーズ。著者のシニカルかつ冷静ぶった語り口は「悲観論は論者を知的に見せる」の格言通り、読んでいて自分がさも"勝ち組"の側にいるような錯覚を感じてしまうが、ここで鵜呑みは禁物。著者は旧来の持ち家神話・生命保険神話を高度成長(=インフレ期)時代の遺物と切り捨てるが、著者の主張にしたって逆の見方をすればデフレ期を前提とした決め付けと言えなくもない。後半になると、「サラリーマンは搾取される可哀想な人種」とばかりに、年金や保険制度の不備を役人批判を交えつつ断言口調で書いているものの、これも論理の飛躍が随所に散見される。例えば「厚生年金基金は絶対上手く行きっこない」と断言している箇所だが、確かに一昔前は予定利率は5.5%で固定されていたが、現在は(つうか本書の刊行時には既に!)予定利率は自由化されており、本書の批判は当たらない。
思うに、著者は他人よりも秀でているが故に、(富裕層から貧困層への所得移転を伴う)社会保障制度などは自身の所得減少要因としか目に写らないのだろう。でもこれって、強者の論理というか、自分さえ良ければいいという下品な金持ちの発想というか、もっともらしい理由を付けて給食費の支払いを拒むバカ親と同じ思考回路では。そりゃ学級崩壊も増えるわな(汗)。著者は言動こそcoolを装っているものの、そのスタンスというか立ち位置はちっともcoolに非ず。

全般的にマネー勉強のきっかけとしては面白い読み物だとは思うが、本書を鵜呑みにして「公的年金はねずみ講」「法人になって経済的自由をGET」などとしたり顔で語っているようでは、経済的自立など覚束ないことだけは確か。本書の内容すら疑ってかかる判断力・洞察力こそ経済的自立への第一歩である。



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2007年06月20日

「生命保険の法務と実務」

生命保険の教科書兼百科事典

生命保険の法務と実務生命保険の法務と実務
日本生命保険生命保険研究会

金融財政事情研究会 2004-10
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金融財政事情研究会(きんざい)「法務と実務」シリーズといえば、金融業に関するあらゆるトピックをこれでもかと網羅した圧倒的な分量と価格でその存在感を示しているが、その生命保険バージョンが本書。その700ページを超える分厚さに違わず、生命保険に関するあらゆるトピックが網羅されており、まさに生命保険の百科事典といった様相。業界の定番書として名高い「生命保険講座」(生命保険協会)は業界人以外には入手困難なだけに、その代替としても最適。なお百科事典なので通読には不向きである旨付記しておく。

<関連エントリ>
The企業年金BLOG(2006/10/12): 「生命保険講座」
The企業年金BLOG(2011/3/27): 「生命保険の法務と実務」(改訂版)



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2007年06月16日

「新版 退職給付会計入門」

年金制度から会計・税務までを一冊で網羅

新版 退職給付会計入門新版 退職給付会計入門―年金制度から税務処理まで
木原 俊夫

中央経済社 2005-01
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保険会社出身の税理士による退職給付会計の解説書。年金制度に関する解説はかつての著作「年金制度の改善プラン」を土台としているが、初っ端の「税法の視点」からみた年金制度の分類こそ斬新ではあるが、以降は前時代的な記述(例:厚年基金の天下り問題を論じるのに10年も前の新聞記事を引用、etc)が散見される。また、本論の退職給付会計に関する解説はQ&A方式で口当たりは一見良さげだが、いざ読んでみると、図示があるわけでもなく冗長な記述が続く。タイトルには「入門」とあるが、初級者にはやや敷居が高い。
とはいえ、会計士の実務基準のみならずアクチュアリーの実務基準についても言及するなど、ツボを良く押さえた構成であることは確か。中級以上の実務家向け。



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2007年06月12日

他者を嘲笑う前に、我が身を省みては

木村剛氏といえばもはや説明不要の著名金融コンサルタント。3年前の公的年金改正の議論が高まった時期には独自の年金制度分析チームを立ち上げるなど一時期は年金改革に熱意を持っていた御仁だけに、約2年ぶりに年金問題についてコメントし出したと聞いて興味津々。金融コンサルタントらしい考察が見られるかと期待したのだが・・・

[ゴーログ]年金:再び「年金脱退論」を唱える!
(前略)皆さん、こんにちは。木村剛です。それにしても、社会保険庁はヒドイお役所ですねぇ。私はこの際、緑資源機構と同じように、完全に解体すべきだと思います。
「えっ、社会保険庁を解体したら、私たちの年金はどうなるの?」と心配される方は多いのではないか、と思いますが、じつは私、前々から「年金脱退論」を主張し続けてきました。みんなが公的年金から脱退すれば、社会保険庁も要らなくなります。(後略)

・・・もうね、ツッコむ気力すら失せますな(汗)

他のエントリ(ココとかコレとか)を見ても、混乱を極めている現場を大所高所から面白可笑しくコキおろしているだけで、そこには、事態収拾に寄与しようという意思や、金融コンサルタントとしての知慮や知見は微塵も感じられない。

そもそも木村氏は、年金について偉そうに講釈垂れる前に、かつて自身が華々しく打ち上げておきながらその後すっかり廃屋状態の「公的年金タスクフォース」(←注:既に閉鎖)について未だ釈明すらしていない。せめて中間報告もしくはギブアップ宣言ぐらい表明したらどうだ。このまま自身の不作為を棚に上げているようでは、事務完遂能力の低さは木村氏も社会保険庁も五十歩百歩と揶揄されても致し方あるまい。



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2007年06月08日

基礎年金番号に反対してきた連中が年金記録不備を糾弾する矛盾

年金特例法案が衆院通過 社保庁法案も (NIKKEI-NET)
野党、抵抗強める
国会は1日未明、衆院本会議で社会保険庁改革法案と年金支給漏れの時効を撤廃する特例法案を自民、公明両党の賛成多数で可決、参院に送付した。両法案の今国会での成立は確実な情勢で、与党は納付記録漏れ問題で失墜した年金政策への有権者の信頼回復を目指す。ただ、野党は安倍政権の責任追及など抵抗を強めており、会期末に向けて与野党攻防は一段と激化する。
(2007/6/1 日経朝刊 1面)

社会保険庁の年金記録管理の問題については当BLOGでも何度か触れたし、メディアも昨年頃からしばしば取り上げている。とりたてて目新しい話題ではなく、個人的には「何を今更!?」感が強い。しかし、最近「年金 記録」などのキーワード検索で当BLOGを訪れる方も多いので、改めて以下に掲示しておく。

<過去の年金記録に関するエントリ>
The企業年金BLOG(2006/9/5): 朝日新聞の年金記録記事は必見
 (被保険者記録照会回答票の見方を図解)
The企業年金BLOG(2006/8/8): 年金加入記録にミスはつきもの!?
 (記録ミスが年金額にどのような影響を及ぼすか)
The企業年金BLOG(2006/4/25): 年金加入記録の記載ミス・記録漏れにどう対応すべきか
 (当BLOG管理人が実際に直面した記録ミス事例)
The企業年金BLOG(2006/4/1): 「年金生活への第一歩」改訂版
 (年金加入記録をチェックするのに有用な書籍)

思うに、今回の騒動の真の責任は、かつて基礎年金番号に強硬に反対してその導入を遅らせたかつての野党・マスメディア一部の社保庁職員(ひいては自治労)に帰せられるべきである。野党・マスメディアは「国民総背番号制反対」「監視社会反対」を唱え、公務員労組は「労働強化反対」を唱えてきた結果が現在の惨状である。そんな連中が年金記録管理の不備を批判するとは、これをマッチポンプと言わずして何と言う。野党が批判の矛先を(彼らの支持基盤である)社会保険庁ではなく安倍政権に向けていたり、対応策の第一歩である時効撤廃法案に何故か反対するあたりに、連中の本音というか、所詮は年金を政権打倒の道具にしか考えていない事がありありと感じ取れる。

余談だが、年金記録管理の問題を度々取り上げ、当BLOGでも「分かり易い」と評した朝日新聞もまた、基礎年金番号の導入に反対してきたメディアの一つ。何だかねえ。。。



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posted by tonny_管理人 at 22:19 | Comment(11) | TrackBack(44)
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2007年06月04日

「統計数字を疑う」

著者の実体験に裏打ちされた経済統計解説

統計数字を疑う統計数字を疑う なぜ実感とズレるのか?
門倉 貴史

光文社 2006-10-17
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よくある「統計の常識を疑う」系の書籍だが、実際に経済予測等に携わった著者の経験が多分に反映されており、とりわけ第3章でのシンクタンクが試算する経済効果の胡散臭さや、第4章での統計の癖・バイアスに関する解説は白眉。一方で第2章の通説に関するコメントは(人によっては)首を傾げる箇所もあるが、こうした著者の主観が良くも悪くも本書の特徴となっている。仕事で経済統計を扱う向きならば、ほくそ笑みながら読み流せること請け合い。なお第5章は著者がライフワークにしている「地下経済」に関する話であり、若干蛇足な感はある。

ところで、本書のレビューで「目が覚めました」「やはりGDPは信用できないんだ」といった類のコメントが散見されるが、こうした姿勢もまた結局は情報の鵜呑みでしかない。本書の内容に対しても疑ってかかるくらいのリテラシーの高さが求められよう。



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posted by tonny_管理人 at 02:14 | Comment(2) | TrackBack(2)
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