前回に引き続き、特別法人税に絡む制度ネタ。
特別法人税の課税対象となるのは、厚生年金基金、確定給付企業年金、確定拠出年金、財形給付金、財形基金の5制度だが、何事にも例外があるもので、
積立金額が努力目標水準(代行部分の3.23倍)に満たない厚生年金基金および
一定要件を満たした適格退職年金については、特別法人税の減免措置が講じられている。うち後者は、俗に
特例適格退職年金と呼ばれているのをご存知だろうか。
特例適格退職年金とは、加入者(適年では「使用人」)が少ない適格退職年金契約のうち
年金としての実質が確保されるなど一定の要件を満たしている契約をいい、租税特別措置法(第68条の5)の規定に基づき1993年4月より導入された。つまり、加入者数が少なくて単独で厚生年金基金を設立できない企業であっても、
厚生年金基金に準じた年金給付を行うならば、同じく厚生年金基金に準じた特別法人税の減免措置を認めるというものである。なお、人数要件が一定未満に抑えられているのは、「大企業は厚生年金基金を使え」という政策的な意味合いだろうか。主な要件は以下の通り(租税特別措置法施行令第39条の36第4項より)。
<加入者数> 単独契約:500人未満
結合契約:800人未満(ただし1企業500人未満)
<給付水準> 老齢厚生年金の報酬比例部分の10%相当額以上
<支給期間> 退職年金の現価総額の2分の1以上は終身給付
<選択一時金の限度額> 「年金現価総額の90%」または「保証期間部分現価」のいずれか少ない額
上記のうち、人数要件が500名未満とあるのは、かつて厚生年金基金の人数要件が500人以上(単独型の場合)だったことによる。2005年4月より厚生年金基金の人数要件は1000人以上に引上げられたが、適年の新規設立が2002年4月より停止されていることもあり、当該人数要件も500名のまま変更されていない。
なお特例適年の実施状況だが、直近では2005年度末で356件と、
適年契約全体のうち1%にも満たない。制度創設時こそ
「年金らしさ(終身給付etc)を全面に出せば特別法人税が非課税に!?」ということで鳴り物入りで迎えられたものの、中小企業にとって終身年金は荷が重かったのか、企業年金の表舞台に立つことなく、2012年3月の適年廃止とともに消え行く運命(さだめ)にある。特例適年のこの有様を
元中日の藤王の姿と重ねてしまうのは私だけだろうか・・・(汗)。
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posted by tonny_管理人 at 18:37
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