2008年02月26日

DCファンド教育アカデミーを観覧

本日開催されたNPO法人確定拠出年金教育協会主催のDCファンド教育アカデミーを観覧した。プログラムは、経済財政動向に関する基調講演を皮切りに、企業の実務担当者によるパネルディスカッションおよびDC制度の生みの親こと尾崎俊雄氏(現在は准教授として三重大学に出向中)による講演というラインナップ。
冒頭の基調講演「最近の経済財政政策の動向」は、「DC関連のテーマばかりでは何だからアクセントを付けよう」という主催者サイドの配慮が完全に裏目に出たgdgdな内容(汗)。パネルディスカッションでは、企業の実務担当者2名および野村資本市場研究所の野村亜紀子氏がそれぞれ持ちネタを披露するという形式。それにしても、野村氏の主張は「これからのDC運用のキーワードは自動化!」相変わらず。単にライフサイクルファンドやらターゲットイヤーファンドやらを野村グループから売り出すための布石だろ。まあそういう意味では職務に忠実な御仁である(毒)。最後の尾崎氏の講演は、全般的には内容に目新しさはなかったものの、政策担当者は自己責任原則と投資教育に依然こだわりを示していることが覗え、前述の野村氏との対比が個人的には興味深かった。

なお本日の唯一の収穫は、パネルディスカッションで某年金基金の常務理事氏が披露していた投資教育用の手作り資料。担当者の経験と個性に裏打ちされた逸品。



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2008年02月25日

「労働組合のための退職金・企業年金制度移行対応ハンドブック」2008年版

もはや年金資料集の定番 労働組合の視点による解説書

ikou-taiou2008労働組合のための退職金・企業年金制度移行対応ハンドブック(2008年版)

日本労働組合総連合会
NPO法人 金融・年金問題教育普及ネットワーク 共編
2007-11

労組系団体やその出身者が書く年金本というと、殆どは「負担は低く、給付は高く」を唱えるだけの他力本願クレクレ本ばかりで、読むに堪えない。しかしこのハンドブックは、イデオロギー色を排除して情報を整理することに注力しており、使い勝手の良い資料集としての地位を年々確立しつつある。これで1,000円はお買い得。

なお、本書と並行して「働く人のためのライフプランニングと企業年金の活用ハンドブック」なるシリーズ本も刊行されているが、こちらは、一色刷りな上に記述がいまいち整理されていない。セミナー資料としては、有能な講師による解説が伴わないと理解は難しいのではないか。これが前述の移行対応ハンドブックより価格が高い(1,500円)というのは、正直理解に苦しむ。まあ関心があればどうぞ。

life-planning2008働く人のためのライフプランニングと企業年金の活用ハンドブック(改訂版)

日本労働組合総連合会
NPO法人 金融・年金問題教育普及ネットワーク 共編
2007-08


<関連エントリ>
The企業年金BLOG(2006/12/25): 「労働組合のための退職金・企業年金制度移行対応ハンドブック」2007年版
The企業年金BLOG(2005/12/22): 「労働組合のための退職金・企業年金制度移行対応ハンドブック」2006年版



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2008年02月19日

「企業年金に関する基礎資料」平成19年12月

最強の企業年金データベース レイアウトも幾分改善

企業年金に関する基礎資料(平成19年12月)企業年金に関する基礎資料(平成19年12月)

企業年金連合会 2007-12

私がもし「企業年金について最も情報量の多い一冊は?」と聞かれたら、真っ先に名を挙げるのが本書。企業年金制度に関するあらゆるトピックを網羅しているだけでなく、公的年金、税制、会計、海外制度などについて豊富な解説と統計データを集約している。その充実ぶりは、かの名著「図解年金のしくみ」の図表の大半が本書からの引用であることからも窺える。
今回の平成19年版では、近年崩れ気味であってレイアウトも改善されるなど、ここ数年の中では高い完成度を誇る。ただし、厚生年金基金の業務委託費1998年までの特別法人税の課税状況といった貴重な統計が今回削除されたのはいささか残念。この手の資料集は、掲載トピックが毎年同じように見えて実は入れ替わりが激しいため、毎年継続的に購入しておかないと、イザという時に必要なデータを参照できないという憂き目に会うので、その旨ご注意を。


<関連エントリ>
The企業年金BLOG(2006/12/17): 「企業年金に関する基礎資料」平成18年10月
The企業年金BLOG(2005/11/8): 「企業年金に関する基礎資料」



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2008年02月13日

「キーワード解説 保険・年金・ファイナンス」

ただのキーワード集に非ず、検討経緯など情報満載

キーワード解説 保険・年金・ファイナンスキーワード解説 保険・年金・ファイナンス
石田 重森

東洋経済新報社 2004-03-26
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一見すると「リスクマネジメントの観点から保険・年金・ファイナンスに関するトピックを並べただけのお手軽用語集」かと思いきや、さに非ず。「流行りのトピックを手早く押えておこう」的なお気楽さで本書に挑むと、その重厚かつ骨太な解説に胸焼け・胃もたれすること必至。
本書は、タイトルとは裏腹に、各分野の第一線にて活躍している研究者・実務家が一堂に会しただけあって、重厚かつ骨太な解説書に仕上がっている。例えば、2003年の生保予定利率引下げ問題については、『政府による生保会社救済だ、ケシカラン!』というありきたりな警鐘を鳴らして満足しているだけの書籍が大多数だが、「旧保険業法では契約変更権が認められていた」「しかし新保険業法の制定時に大した議論もなく削除された」といった点にまで踏み込んでいる書籍はごく希少。本書は、そうした検討経緯に関する解説がふんだんに盛り込まれており、資料的価値は高い。2004年の刊行だが、続編の刊行を切に望む。



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2008年02月07日

山崎元氏の「企業年金無用論」に釣られてみる

山崎元のマネー経済の歩き方(連載238号):企業年金無用論
企業年金無用論とは、いささか刺激的に過ぎるタイトルかもしれない。だが、特に将来の給付金額を加入者に約束して企業が運用リスクを取る、確定給付の企業年金は「ないほうがいい」。また、確定拠出年金についても、企業単位で制度を用意するのは非効率的だ。
(週刊ダイヤモンド 2008年1月28日号)

山崎元氏といえば、理知的だが歯に衣着せぬ物言いで資産運用業界に名を馳せている御仁。現在でこそワイドショーのコメンテーターなどもこなすマルトタレント的な地位に居るが、かつては金融機関および独立系コンサルファームで企業年金の資産運用業務に携わっていた時期もあり、企業年金業界との関わりは深い。
そんな山崎氏が突如ブチ上げた「企業年金無用論」。いや、突如というのは正確ではない。山崎氏の連載記事での一連のコメントを辿っている向きなら、氏のスタンスが「合理的な個人が合理的な判断を行えば由」という徹底した個人主義に根ざしており、合同運用を旨とする給付建て年金制度よりも確定拠出年金を志向していることは容易に察しがつくところ。個人的には、今回の山崎氏の宣言は唐突というよりむしろ「ようやく来たか」という感が強い。今回の記事で気になった点は以下の通り。


1.企業単位・職域単位は非効率か
公的年金については確かに徒な職域区分は不要だが、企業年金を「退職金の分割払い」ひいては「給与の後払い」と捉えるならば、企業単位・職域単位で制度を運営すること自体はさほど不自然ではない。それに、企業単位・職域単位を細切れと評するならば、個人単位こそ究極の細切れということになりやしないか?

2.勤務形態・所属組織によって条件が異なるのは不公平か
上記の「条件」というのが「税制優遇」を指すのか「企業の待遇」を指すのかがいまいち読み取り難いが、企業年金は任意の制度だという視点を忘れているように思う。給付設計と掛金拠出額が同一の制度を採用するのであれば、企業によって税制優遇に差が生じることはない。ただし、「どの制度(厚年基金・DB・DC)を採用するか」「どれだけ掛金を拠出するか」は企業が任意に選択するものであり、選択によって生ずる差異はアンフェアとは呼ばない。給与や福利厚生だって企業によって差があるじゃん。

3.企業が長生きリスクを引き受ける必要性
かつての厚生年金基金は、代行部分および上乗せ部分の1/2以上を終身給付とすることが義務付けられており、企業にとって長寿化リスクは決して軽いものではなかった。しかし、現在主流となっているDB・DCは、終身給付は義務付けられておらず、有期年金が主体である。実は、代行返上は企業を長寿化リスクから解放したという側面を持つ。

4.確定拠出年金は「個人型」こそあるべき姿
当BLOGでも以前に同様の見解を述べたことがあり、これには大いに賛同する。もっとも、山崎氏が記事で提唱している一時払い終身年金保険だが、現行の類似商品には課題が山積していることは他ならぬ山崎氏自身が指摘している通り。


──とまあ、山崎氏の記事に脊髄反射してしまったわけだが、企業年金というものの存在意義について幾つか興味深い示唆を得られたのは思わぬ収穫だった。それにしても、山崎氏がかつての顧客層を敵に回す(であろう)発言をするに至ったことは、思考が到達したのも然ることながら、そうした振る舞いに出ても潰されないだけの強固な地位を築いた証左でもある。敬服するが、羨ましくはない(汗)。



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2008年02月01日

対案なき批判は単なる罵詈雑言

松浦晋也:年金、これで国を信じろと言うのか (nikkei BPnet)
一言、"怒"である。
今回の2冊を読み終えて、怒ることなく笑っていられる人は、よほどの人格者か極度の鈍感かのどちらかだ。そろそろ確定申告の時期だが、読み終えて、なおかつ気持ちよく税金を支払える人は聖人君子か、または認知症が始まっているかのどちらかである。
(2008/1/30 SAFETY JAPAN 書評)

宇宙開発に造詣の深い科学ジャーナリストによる記事(正確には長妻昭著「消えた年金を追って」および岩瀬達哉著「年金大崩壊」の書評)だが、伝わってくるのは「政府も社会保険庁もケシカラン、年金制度なんて潰してしまえ!」という素朴な怒りのみ。長妻氏や岩瀬氏が既に掘り起こした内容をオウム返しするだけで、年金制度のあり方について何の示唆も得られない。締めくくりも「選挙に行こう」程度のしょーもない提言。

社会保険庁のこれまでのデタラメぶりは批判されてしかるべきだし、それに対する筆者の怒りは至極ご尤もだが、いくら書評とはいえ、こんな中身のない文章をプロの名を冠してよくも臆面もなくupできたものだ。今回の2冊を読み終えて怒りに猛るだけとは、ジャーナリストとしては致命的な鈍感さである(汗)。



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posted by tonny_管理人 at 19:26 | Comment(0) | TrackBack(0)
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