2008年03月25日

ガソリン値下げの代わりに特別法人税が復活!?

暫定税率:期限切れ目前(1) 暮らし混乱必至 (毎日jp)
租税特別措置法改正案に盛り込まれた揮発油(ガソリン)税など暫定税率の期限切れまで残り1週間に迫った。与党は24日も打開を模索したが、民主党に修正協議を突っぱねられ、年度内成立の見通しは立たない。このまま「ガソリン値下げ」に追い込まれれば、国や地方財政への波及は必至だ。4月末に可能となる衆院での再可決も容易ではなく、政府・与党は苦しい立場に追い込まれつつある。与野党協議の行方や、国民生活への影響を探った。
(2008/3/25 毎日朝刊)

「ガソリン25円値下げ」だの「ガソリン値下げ隊」だのという民主党のポピュリズム溢れるフレーズが虚しく響く昨今の暫定税率問題。ガソリン税ばかりが注目されているが、全ての暫定税率が切られた場合、ガソリン以外にも国民生活に影響が及ぶものが多い(下図参照)。

zantei-zeiritsu.jpg (出典:毎日新聞Webサイト)


ところでこの暫定税率問題だが、実は企業年金にとっても対岸の火事では済まされない。国会での審議が現在ストップしている租税特別措置法改正案だが、実はこの法案には、2008年度の税制改正大綱で決定された特別法人税(退職年金等積立金に対する法人税)の課税停止措置の延長規定もひっそりと盛り込まれている。つまり、当該法案が年度末までに可決されないと、法律上は特別法人税が復活(正確には「凍結解除」)することとなる。まあ、法案成立が次年度に持ち越しとなったとしても遡及適用で凌ぐとは思うが、少なくとも、企業年金関係者は「ガソリン値下げだワーイ」などと浮かれている場合ではないことは確か。


<関連資料>
所得税法等の一部を改正する法律案要綱(財務省) (pdfファイル)
 (↑上記8.(9)B(18ページ下段)参照)

<関連エントリ>
The企業年金BLOG(2010/6/28): 特別法人税に関するQ&A
The企業年金BLOG(2007/9/3): 財形給付金・財形基金にも課税される特別法人税



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2008年03月15日

「個人型確定拠出年金Q&A」

個人型に特化しているわけではないが、入門書としては良質

個人型確定拠出年金Q&A(制度編)個人型確定拠出年金Q&A 50問50答(制度編)

商工会議所年金教育センター 2008-01

個人型確定拠出年金Q&A(運用編)個人型確定拠出年金Q&A 50問50答(運用編)

商工会議所年金教育センター 2008-01

DCプランナー(当BLOGでは「企業年金総合プランナー」とは称しないので悪しからず)資格の胴元である商工会議所年金教育センターから発刊された解説書。「過去に商工会議所が出してきた書籍や参考書の内容をQ&A形式に焼き直しただけ」「運用編なんて個人型に特化してないし」といった批判はあるが、記述自体はオーソドックスで、良質な入門書に仕上がっている。まあ、個人型DCに特化した書籍は珍しい(かつてはこんな駄本もあったが)だけに、マニアなら押さえておいて損はない。

また本書は、DCプランナーの力量を判断する試金石としても重宝する。本書と同程度かそれ以下のレベルの知識の披露で「エキスパートでござい」と嘯く自称プランナー氏には、速やかに三行半を叩きつけるべし。



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2008年03月11日

2008年度の企業年金の予定利率

厚生労働省は3月5日、厚生年金基金および確定給付企業年金の財政検証に用いる2008年度の利率を告示した(厚生労働省告示第54〜56号、年企発第0305001号)。継続基準に用いる予定利率の下限は1.4%、非継続基準に用いる利率は2.27%となった。

ところで、企業年金の予定利率を語るにあたって「5.5%で固定されている硬直的な予定利率・・・」といった論調を未だに見かけるが、1996年以前ならともかく、現在も同じことを言っているようではお里が知れるというもの。1997年以降、継続基準の予定利率については、下限が設けられているほかは自由化されている。仮に2008年4月以降にDB制度を立ち上げたいのならば、予定利率は1.4%以上で設定すればOK。ただしその分掛金は高目となるが(汗)。各制度における下限予定利率の推移は以下のとおり。

◆継続基準の予定利率
 <年度> <厚年> <DB>   <算定根拠>
 1997年  4.0%   ──  10年国債応募者平均利回りの5年平均
 1998年  3.4%   ──        
 1999年  2.9%   ──        
 2000年  2.4%   ──        
 2001年  2.0%   ──        
 2002年  1.2%  1.2%  5年平均または1年平均のいずれか小さい率
 2003年  1.2%  1.2%       
 2004年  0.9%  0.9%       
 2005年  1.3%  1.3%       
 2006年  1.2%  1.2%       
 2007年  1.3%  1.3%       
 2008年  1.4%  1.4%       

 <年度> <適年>   <算定根拠>
 1997年  3.1%  10年国債応募者平均利回りの1年平均
 1998年  2.3%        
 1999年  1.5%        
 2000年  1.7%        
 2001年  1.7%        
 2002年  1.2%        
 2003年  1.2%        
 2004年  0.9%        
 2005年  1.4%        
 2006年  1.3%        
 2007年  1.7%        
 2008年  1.6%        



また非継続基準については、利率そのものは告示等で定められているものの、2003年以降は、当該利率に0.8〜1.2の調整率を乗ずることが可能となっている。非継続利率の推移は以下のとおり。

◆非継続基準の予定利率
 <年度> <厚年> <DB>   <算定根拠>
 1997年  4.75%   ──  20年国債応募者平均利回りの5年平均
 1998年  4.00%   ──  (小数点以下0.25揃え)
 1999年  3.50%   ──        
 2000年  3.00%   ──        
 2001年  2.75%   ──        
 2002年  2.50%  2.50%       
 2003年  2.23%  2.23%  (小数点以下0.25揃えを廃止)
 2004年  2.29%  2.29%  30年国債応募者平均利回りの5年平均
 2005年  2.20%  2.20%       
 2006年  2.17%  2.17%       
 2007年  2.20%  2.20%       
 2008年  2.27%  2.27%       



なお、上記の利回りは例年3月頃に告示または通知されるが、その根拠となる国債の応募者平均利回りは財務省Webサイトで発表されている。ただし毎月手作業で拾わねばならないのがチト辛い(汗)。


※参考資料
企業年金制度における各利率の設定基準(日本年金数理人会) (pdfファイル)

<関連エントリ>
The企業年金BLOG(2007/3/16): 企業年金の予定利率の算出根拠とは



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2008年03月09日

勤務社労士と開業社労士の世界を概観

この土日は、勤務社労士と開業社労士の集いにそれぞれ顔を出して来た。ちなみに当BLOG管理人は、社労士試験には合格しているが開業登録も勤務登録も未だしていない有資格者という身分。これをペーパー社労士と言うらしい(汗)。

まず土曜日は、四半期毎に開催されている勤務社会保険労務士の私的な集いに馳せ参じた。一口に勤務社労士と言っても、所属企業の業態によってその業務内容は千差万別。また、社労士だからといって必ずしも人事・総務の部署に属しているとは限らない(当BLOG管理人もその一人)。自分の専門領域外の分野で活躍している方の話は、業態を問わず非常に参考になるし、刺激にもなる。もっとも、端から見たらただの飲み会だが(笑)。

日付が変わって本日は、開業社労士および開業予定者を対象としたセミナーに参加した。当BLOG管理人は独立開業など考えるべくもないヘタレな身だが、今回はテーマが「退職金コンサルティング」で、しかも講師が以前お世話になった瀧本透氏蒲島竜也氏だったので、半ば野次馬根性で申し込んだ次第。退職金コンサル話も然ることながら、竹内睦氏による開業よもやま話が大変興味深かった。「始末の悪い客とは付き合わない」「値下げには一切応じない」といったやや傲慢に徹したスタイルは、神田昌典氏のそれに近い印象を受けた。どうやら成功する起業家の思考は、結果的に似通ってくるものらしい。

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2008年03月06日

「企業年金総合プランナー」は虚偽表示!?

昨晩は、首都圏某所にて行われたDCプランナーの勉強会に参加した。内容は適格退職年金(適年)移行のコンサルティングに関する模範的なものだったが、厚生年金基金に関する解説が滅茶苦茶。曰く、「総合型基金の人数ベース成熟度(受給者数/加入者数)は70%以上」「給付体系は短期勤務者に不利」などなど。不確かな事項には触れないというのもコンサルの見識ではあるが、したり顔でご高説を唱えた以上は、批判は免れまい。
まず総合型厚生年金基金の成熟度だが、直近の統計を見た限りでは、まだ40%台前半。こんなのちょっと調べれば直ぐ確認できるだろうに(汗)。また、短期勤務者に不利な給付体系というのは、おそらくS字カーブの事を指しているのだろう。DC(確定拠出年金)への移行を勧める際に良く用いられるのが「S字カーブを解消しましょう」というセールストークだが、給付建て制度(厚年基金・DB)であれば、べつに制度移行を伴わずとも給付設計をS字カーブから直線状に変えることは設計上自由なのである。むしろDCの方が、制度の性格上直線状な設計にならざるを得ない。つまりDCはDBよりも給付設計が硬直的なのである。ここんとこ分かってるつもりで分かってないコンサルは意外と数多いので、要チェキラ。

 ◆S字カーブ
 いわゆるS字カーブ

──とまあ細かい所に苦言を呈してしまったが(汗)、百歩譲って、これが中小零細企業相手の中退共移行お手軽コンサルの話であれば、ここまでとやかく言うつもりは無かった。問題なのは、これが企業年金総合プランナー(笑)という肩書きを有する自称専門家が発したことである。いつの頃からか、日本商工会議所はDCプランナー資格の名称を企業年金総合プランナー(DCプランナー)という表記に変更した。いかにも「確定拠出だけでなく何でもござれ」的なアピールを狙ったのだろうが、前述の勉強会のような体たらくを目の当たりにすると、とてもじゃないが「企業年金」だの「総合」だのは名前負けどころか虚偽表示もいいところ。DCプランナーのままの方が、身の丈に合って専門的っぽいけどねえ。まあ背伸びは程々に(汗)。



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2008年03月02日

「「超」税金学講座」

消費税を通じて日本の税制を考える

「超」税金学講座 (新潮文庫)知っているようで知らない消費税―「超」税金学講座 (新潮文庫)
野口 悠紀雄

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「超」整理法シリーズの著者にして高名な経済学者による税金論で、前著「超」税金学の文庫本化。前半は消費税への言及にスペースを割き、そこから土地税制など全般的な税制の話に拡がり、最後は「包括的所得税」「支出税」といった課税ベースにまで言及している。野口氏が語る日本経済論(「資本開国論」など)は、秀逸なものとトンデモなものが玉石混合であるため、トピックによって内容の吟味を読み手に強いるが、本書は、著者の本来の専門分野である公共経済学・租税論の範疇だけに、安心して読める。やはり「餅は餅屋」といったところか。

昨今は、年金未納問題や消えた年金問題を受けて、「消費税にすれば未納がなくなる」「消費税なら高齢者からも負担を求められる」とばかりに公的年金制度の税方式化(福祉目的消費税など)がまたぞろ叫ばれているが、現行の消費税が抱える数々の課題(益税問題、インボイスの欠如etc)を手当てせず単純に税方式に移行したところで、真の公平性・中立性の達成には程遠い。いやしくも税方式推進論者を騙るならば、せめて本書の第1〜3章だけでも目を通しておくべき。



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posted by tonny_管理人 at 13:59 | Comment(0) | TrackBack(0)
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