2008年04月30日

「図説 日本の税制」

ビジネスユースにも耐えうる税制の入門書

図説日本の税制 平成19年度版 (2007)図説日本の税制 平成19年度版 (2007)
星野 次彦

財経詳報社 2007-08
売り上げランキング : 119,658
おすすめ平均

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

1990年の刊行以来毎年版を重ねている、わが国の税制に関する最も基本的な解説書兼データ集。毎年現役の財務省主税局調査課長が編著者を務めるだけあって、国税・地方税の各税目ごとの解説は勿論のこと、税のしくみや意義、国民経済との関係、租税制度の変遷、果ては国際比較等についてまで体系的に解説しており、外見はコンパクトだが中身は高密度。税制に関する入門書というと、物語調で読ませる書籍はそれこそ枚挙に暇がないが、調査・研究・論文執筆などのビジネスユースにも耐えうる入門書は本書くらいのものである。



 ←気が向いたら是非クリック願います

posted by tonny_管理人 at 17:53 | Comment(0) | TrackBack(0)
| 書評:租税・税制 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年04月25日

「保険の数理」

一冊で生保・損保・年金数理の基礎をカバー

保険の数理(改訂第3版)保険の数理 ─損保・生保・年金─ (改訂第3版)
小暮 雅一

(財)損害保険事業総合研究所 1998-01

アクチュアリー試験で求められる生保数理・損保数理・年金数理の基礎を網羅した、知る人ぞ知る名著。そもそもアクチュアリー会の指定教科書は、ただでさえ解説が難解なうえに、読者にある程度の知識があることを前提に端折っている箇所が多く、初学者には不親切この上ない。本書は、そんな指定教科書のスキマを埋める解説が秀逸。とりわけ、難解・複雑とされる保険・年金現価の計算を、価格×評価×確率(p.29)と単純化する手法はお見事。試験対策書としての完成度は高く、独学で試験に挑む文系出身者にとっては、指定教科書よりもまず本書を押さえておきたい。

なお、著者の小暮氏は同じ版元からアクチュアリー試験対策用の書籍を何冊か刊行しているが、いずれも秀作揃い。当BLOGでも追って取り上げることとしたい。


<関連エントリ>
The企業年金BLOG(2010/5/9): 「保険の数学」



 ←気が向いたら是非クリック願います

posted by tonny_管理人 at 15:33 | Comment(8) | TrackBack(3)
| 書評:年金数理 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年04月23日

「投稿論文でキャリアを売り込め」

ツール(道具)としての論文執筆

投稿論文でキャリアを売り込め投稿論文でキャリアを売り込め
中野 雅至

日経BP社 2004-05
売り上げランキング : 114,776
おすすめ平均

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

先日のエントリに便乗して書籍の紹介をば。

論文執筆をテーマにした書籍というと、従来は書き方・作法に関するものが殆どであったが、キャリアアップのためのツールとして論文執筆を捉えたのはおそらく本書が初。論文執筆は、専門職大学院への通学や資格取得と同等かそれ以上の効果があるだけでなく、「名刺代わり」「履歴書代わり」果ては「遺言書代わり」にもなるという。名刺代わりというと一般的には出版をイメージしがちだが、サラリーマンが業務で培った実務知識を披露するための手段としては、出版よりも投稿論文の方が敷居が低くて効率的なのは言うまでもない。一見素っ頓狂な主張でいて実は確かな計算に裏打ちされており、しかも著者の実体験を伴っているだけに説得力大。一部には「著者の元キャリア官僚という特性に依る所が大きく、民間サラリーマンには応用不可能」との批判があるが、そんな事はない。

なお内容としては、前半が論文執筆の効用を説く精神論、後半は「大人のための勉強法」のダイジェスト版といった内容で、技術論にはあまり言及していない(汗)。書き方・作法については、他の書籍で補うか、もしくは習うより慣れろが得策。



 ←気が向いたら是非クリック願います

posted by tonny_管理人 at 01:42 | Comment(0) | TrackBack(1)
| 書評:その他ジャンル | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年04月14日

隣の芝生(講義)は青い・・・?

当BLOG管理人は昨春より某社会人大学院に通学しているが、長い春休みを経て、先週より2年目が本格始動した。2年目は修士論文作成がメインとなるため、あまり講義を履修する必要はないのだが、最近、自分が所属している研究科よりも隣の研究科の方が年金・社会保障系の科目が充実している事に気が付いた。租税・財政学の権威M氏、社会保障法で著名なK氏、更には、現役厚生官僚による医療・年金制度論etc ── よって春学期は、他研究科の講義を4科目ほど聴講することとした次第。その一方で、所属研究科の講義はゼミ以外は未履修ということに(汗)。



 ←気が向いたら是非クリック願います

posted by tonny_管理人 at 23:58 | Comment(0) | TrackBack(0)
| 管理人の近況・雑感 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年04月11日

運用基本方針の非開示は進化か退行か

企業年金連合会、ヘッジファンドに投資 まず500億円 (NIKKEI-NET)
国内最大の民間年金基金である企業年金連合会は、金融技術を駆使して相場の下落局面でも利益を狙うヘッジファンドへの投資を始めた。投資額はまず運用資産の約0.4%の500億円程度とし、将来は1000億円以上に増やす見通し。米国の信用力の低い個人向け住宅融資(サブプライムローン)問題で金融市場の混乱が続くなか、運用益の確保を目指した投資先の多様化が企業年金の間で広がってきた。
(2008/3/1 日経朝刊 5面)

1月前の記事をいまさら持ち出して恐縮だが、これは別に「また後追いの高値掴みか」などとしたり顔で批判するためではない(笑)。分散投資を旨とする年金運用においては、資産規模の増大とともに分散先を新たに模索する必要に迫られる。投資対象の拡大は年金制度のいわば宿命である。

閑話休題。たまたま記事を読み返していると、企業年金連合会(PFA)の資産割合が示されたグラフが目に留まった。確かPFAの政策アセット・ミクスは「円債37%:円株33%:外債7%:外株23%」だと記憶していたが、図をみると、外債の割合が増えている一方、国内株などは割合が縮小している。

pfa_asset_FY2006.jpg


そこで、PFAのサイトから「年金資産運用の基本方針」を参照したのだが・・・なんと、以前はpdfファイルで全文掲載していた運用基本方針が、要約版のみの掲載に変わっていた。また、資産構成割合や期待収益率・標準偏差等に関する項目も、いつの間にか非開示に。更に、会員専用コーナーに掲載されている職員名簿も、年金運用部のみ職員名が記載されていない。これって何て隠密同心?(笑)
まあ、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)みたいに何から何まで開けっぴろげにしていたら、機動的な運用はやりにくいものだ。そういう意味では、秘密主義というのも一つの見識ではある。しかし、会員基金・中途脱退者ならびに年金受給者への情報開示という観点からは、本来情報開示を推進する役割を担うべき業界団体(ナショナルセンター)が非開示へと向かう姿は、果たして世間からの賛同を得られるだろうか。。。


─────────────────────────

【2009.3.19追記】
サイトのリニューアルに伴い、再度開示した模様。
http://www.pfa.or.jp/jigyo/shisan/shisan01.html




 ←気が向いたら是非クリック願います

posted by tonny_管理人 at 17:10 | Comment(2) | TrackBack(0)
| 管理人の近況・雑感 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年04月02日

「期間の短縮」は「給付の縮減」と同義なのだが

確定拠出年金 加入期間短縮 提言へ (NIKKEI-NET)
諮問会議民間議員 株式市場活性化狙う
政府の経済財政諮問会議の民間議員は1日の会合で、株式市場の活性化策を提言する。個人による投資を活発にするため、確定拠出年金(日本版401k)で60歳から年金をもらうのに必要な10年間の加入期間を撤廃か短縮するよう求める。株式を長期保有する場合に適用する税制の優遇措置など、国内の株式市場に家計の資金が流れる仕組み作りを要望する。
(2008/4/1 日経朝刊 5面)

新年度早々、エイプリル・フールかと見紛うトホホな記事を目にしてしまった。確定拠出年金の加入期間の撤廃・短縮が個人投資を活性化させるというロジックは、つまるところ短期売買の推奨でしかない。その一方で、舌の根も乾かぬうちに「長期保有する場合は税制優遇」とくるのだから恐れ入る。短期売買か長期保有かどっちやねん。こんな相反する矛盾した内容を孕んだ提言など、相手にするだけ時間の無駄。良い子は決して相手にしてはいけません(笑)。
なお、私的年金においては、加入期間と年金額は比例するのが常識。株価が上がったところで、老後の所得原資が枯渇するのでは本末転倒もいいところ。また、このような低レベルの提言を諌めるどころか、株価上昇・401k普及の抜本策とばかりに持ち上げる日経新聞の程度もたかが知れ(汗)。



 ←気が向いたら是非クリック願います

posted by tonny_管理人 at 01:00 | Comment(4) | TrackBack(0)
| 年金ニュース | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする