2009年03月27日

「道具としてのファイナンス」

Excelを操作させ「理解できた気」にさせる手法が秀逸

道具としてのファイナンス道具としてのファイナンス
石野 雄一

日本実業出版社 2005-08
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MBA教養課程あるいは証券アナリスト試験レベルのファイナンス理論を押さえた入門書。解説そのものは意外と堅い文体なのだが、文章や数式だけでは説明し難いファイナンスの基本概念を、Excelで作業させることにより実感させる構成になっている。この手法がまた白眉で、読者を「何だか理解できちゃったかも!?」とソノ気にさせ、学習意欲の向上および心理的ハードルの低下に効果を発揮している。ファイナンスや数学といった単語にアレルギー反応を起こす向きには、第一冊目として文句無くオススメ。
ただし、本書の範疇はファイナンス理論の基礎事項であり、タイトルのように「道具として」使うには学術的にも実務的にも不十分。本書攻略後は、速やかに他の定評ある基本書に移行するが賢明である。

http://soilfield.blog10.fc2.com/blog-entry-11.html



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2009年03月25日

マネジメントを知らないMBA、ここに誕生す!?

本日、2年間にわたる某大学の夜間MBA課程を修了し、学位授与式にて経営管理修士(専門職)(英語表記:Master of Business Administration)の学位を授与した。当BLOG管理人は保険・年金に特化したコースに属していたこともあり、「ファイナンス」や「会計」は苦にしないものの、本来のMBAの専売特許である「マネジメント」「マーケティング」「組織論」は正直心許ない(汗)。
とはいえ、学位論文の執筆等を通じて、年金という研究領域で専門家として身を立てる自信がある程度得られたのは大きな収穫であった。修了を機にマネジメントには弱いが年金に強いMBAを売りにするのも一興か・・・とも考えたが、やはりまずは年金の専門家としての(良い意味での)こだわりを優先したい。


<関連エントリ>
The企業年金BLOG(2008/9/4): 年金MBAはもはや風前の灯火!?
The企業年金BLOG(2008/4/21): 投稿論文が最優秀賞を受賞




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2009年03月23日

2009年度の企業年金の予定利率

厚生労働省は3月23日、厚生年金基金および確定給付企業年金の財政検証に用いる2009年度の利率を告示した(厚生労働省告示第96〜98号、年企発第0323001号)。継続基準に用いる予定利率の下限は1.5%、非継続基準に用いる利率は2.44%となった。企業年金の予定利率は1997年以降ほぼ自由化されており、上記の利率は例年3月頃に告示または通知される。当該利率の根拠となる国債の応募者平均利回りは、財務省Webサイトの「国債入札カレンダー」から入手できる。
なお、継続基準・非継続基準とも前年より若干上昇しているが、2009年3月時点の国債の応募者平均利回りは10年利付債で1.296%、30年利付債で1.941%となっており、足元の金利水準は低下傾向にあることがわかる。各制度における下限予定利率の推移は以下のとおり。

◆継続基準の予定利率
 <年度> <厚年> <DB>   <算定根拠>
 1997年  4.0%   ──  10年国債応募者平均利回りの5年平均
 1998年  3.4%   ──        
 1999年  2.9%   ──        
 2000年  2.4%   ──        
 2001年  2.0%   ──        
 2002年  1.2%  1.2%  5年平均または1年平均のいずれか小さい率
 2003年  1.2%  1.2%       
 2004年  0.9%  0.9%       
 2005年  1.3%  1.3%       
 2006年  1.2%  1.2%       
 2007年  1.3%  1.3%       
 2008年  1.4%  1.4%       
 2009年  1.5%  1.5%       

 <年度> <適年>   <算定根拠>
 1997年  3.1%  10年国債応募者平均利回りの1年平均
 1998年  2.3%        
 1999年  1.5%        
 2000年  1.7%        
 2001年  1.7%        
 2002年  1.2%        
 2003年  1.2%        
 2004年  0.9%        
 2005年  1.4%        
 2006年  1.3%        
 2007年  1.7%        
 2008年  1.6%        
 2009年  1.5%        



非継続基準については、利率そのものは告示等で定められているものの、2003年以降は、当該利率に0.8〜1.2の調整率を乗ずることが可能となっている。非継続利率の推移は以下のとおり。

◆非継続基準の予定利率
 <年度> <厚年> <DB>   <算定根拠>
 1997年  4.75%   ──  20年国債応募者平均利回りの5年平均
 1998年  4.00%   ──  (小数点以下0.25揃え)
 1999年  3.50%   ──        
 2000年  3.00%   ──        
 2001年  2.75%   ──        
 2002年  2.50%  2.50%       
 2003年  2.23%  2.23%  (小数点以下0.25揃えを廃止)
 2004年  2.29%  2.29%  30年国債応募者平均利回りの5年平均
 2005年  2.20%  2.20%       
 2006年  2.17%  2.17%       
 2007年  2.20%  2.20%       
 2008年  2.27%  2.27%       
 2009年  2.44%  2.44%       



※参考資料
企業年金制度における各利率の設定基準(日本年金数理人会) (pdfファイル)
○10年国債応募者平均利回り (当BLOG作成)
 keizoku-rate2009.jpg
○20年・30年国債応募者平均利回り (当BLOG作成)
 hikeizoku-rate2009.jpg


<関連エントリ>
The企業年金BLOG(2008/3/11): 2008年度の企業年金の予定利率
The企業年金BLOG(2007/3/16): 企業年金の予定利率の算出根拠とは



─────────────────────────

【2009.4.6追記】
適年の下限予定利率も3月31日付で公布されました(財務省令第18号)。




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2009年03月21日

マッチング拠出の支持率はたった6割弱!?

確定拠出年金 マッチング拠出導入 企業の59%が積極的 (NIKKEI-NET)
企業が拠出する確定拠出年金(日本版401k)の掛け金に従業員個人が資金を上乗せする「マッチング拠出」を導入したい企業の割合が59%に上ることが、確定拠出年金教育協会(東京・中央)の調査でわかった。
(2009/3/21 日経朝刊 3面)

マッチング拠出なんて企業が身銭を切るわけではないのだから、企業サイドの支持が多くって当たり前だと常々思っていただけに、今回の59%という数字は正直物足りなさを感じた。(だから日経の扱いも小さめ?)。むしろ、支持しない理由として「事務局の手間がかかる」が47.8%(大企業では83.3%)が挙げられていることの方が興味深い。企業拠出と加入者拠出を混在させるとなると、区分管理のための何らかのコストがかかることは必定だけに、企業、加入者、そして運営管理機関の今後の動向が気になるところ。
なお、今回の調査の実施元であるNPO法人確定拠出年金教育協会のwebサイトを参照したところ、当該調査結果はまだ公表されていない(2009年3月21日午前10時現在)。


<関連エントリ>
The企業年金BLOG(2009/2/10): マッチング拠出など砂上の楼閣!?



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2009年03月17日

企業年金政策研究会は要注目かもわからんね

先月厚生労働省にひっそりと設置された企業年金政策研究会をご存知だろうか。かつて鳴り物入りで開催された企業年金研究会に比べると注目度はいま一つだが、先日ようやく公表された第1回資料に目を通したところ、公的年金と私的年金の役割分担について綿密に綴られるなどテーマの骨太さに興味を惹かれた(詳細は議事録の開示を待って言及したい)。第2回以降も、企業年金を調査・研究対象とする者にとっては興味深いトピックが目白押しである。かつての企業年金研究会では、税制優遇獲得のための論法作りに拘るあまり本質論を半ば避けてきた節がある。それだけに、今回の研究トピックおよび新たに加わった委員の陣容からは、現在の担当課長の本気度が垣間見えるのは気のせいだろうか。ともあれ、当BLOGとしても格好のネタ元として注目せずにはおれない。

ところで、当BLOG管理人は第1回会合の開催を知った頃には、既に傍聴申込は締め切られていた(公表から僅か24時間)。せっかくこのような本質的な議論の場を設けているのだから、傍聴申込期間にゆとりを持たせるか、あるいは資料等は即日公開するなど努めるべきではないだろうか(汗)。



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2009年03月15日

「退職給付制度再編における企業行動」

退職給付会計に係る実証研究の新約聖書

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退職給付会計の実証研究を生業とする研究者による博士論文。同時期に刊行された吉田和生著「退職給付会計情報の分析」に比べると、前半では各種退職給付制度の概要、給付債務の構成要素および退職給付会計基準そのものの検証等にページを割いており、実証分析は後半以降で扱うという構成をとっている。この手の研究者にしては珍しく、企業年金・退職金分野における定番の専門書にもつぶさに目を通しており、前半の制度論については年金基金役職員や金融機関担当者など業界人の目にも耐えうる内容となっている。



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2009年03月13日

「退職給付会計情報の分析」

退職給付会計に係る実証研究の旧約聖書

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20年近く退職給付に関する会計情報の実証研究に携わってきた著者の集大成的な一冊。検証している内容は「年金積立と企業業績」「年金積立と税制・労働組合」「年金積立と株価」「米国基準による分析」など、当該研究領域における基礎的な研究対象および研究手法が一通り網羅されている。同テーマで論文を一丁仕上げようという大学院生・学部学生のファースト・チョイスに最適。




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2009年03月09日

「保険と年金の動向」2008

社会保険の「現状」「歴史」「海外動向」を網羅

保険と年金の動向 2008保険と年金の動向 2008
(厚生の指標 臨時増刊)


厚生統計協会
2008-11

もともとは厚生統計協会の月刊誌「厚生の指標」の臨時増刊として1963(昭和38)年に発刊されたものだが、その後毎年コンスタントに刊行を重ね、2008年で46冊目を数えるという知る人ぞ知るロングセラー。目次を参照すれば分かるとおり、医療保険から介護保険、年金保険、はては労災・雇用保険まで、わが国のあらゆる社会保険制度の「現状」「歴史」「海外動向」を隈なく網羅している。とりわけ、公的医療・年金の海外動向は充実の一言。インターネットが未発達だった10年ほど前までは、海外情報の収集は本誌に負うところが大きかった(もちろん現代においても精度は高いが)。
なお本誌の姉妹編として「国民衛生の動向」「国民の福祉の動向」も刊行されている。いずれもロングセラーを誇っており、もしかしたら母体の月刊誌よりも知名度が大きいかもしれない(汗)。



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2009年03月07日

日本大学文理学部「年金制度講演会」を観覧

本日は、以前当BLOGでも告知した日本大学文理学部数学科アクチュアリーコース主催「年金制度講演会」を観覧した。演題は、年金数理人の久保知行氏による「日本の公的年金の現状と課題」、元厚生省年金数理課長の田村正雄氏による「年金数理から見た公的年金制度」、および楠岡成雄東京大学教授による「大学におけるアクチュアリー教育」の3本。
とりわけ田村氏の講演は、戦前の労働者年金保険(厚生年金保険の前身)の時代から財政再計算の過程および保険料率の推移を解説した資料的・歴史的価値の高い内容で、声が小さくて聞き難ったものの目から鱗の連続であった。公的年金の保険料や給付水準の歴史って、つまるところ、制度の持続性を重視する行政サイド一般大衆受けを重視する政治サイドとの対立あるいは妥協の歴史でもあるのだった。こうした当時の経緯を踏まえずに、現在の常識のみで公的年金を語るのは本質を大きく見誤る危険があると改めて感じた(なにも年金に限った話ではないが)。なお、経済学者は何かというと賦課方式を目の敵にするが、そもそもわが国で賦課方式を主張し始めたのは当時の高名な経済学者だったらしい(苦笑)。

それにしても本日の講演会、収容人数300名を誇る最新鋭の会場にも関わらず、観覧者数は50〜60人と空席が目立った。これは明らかに周知宣伝不足であろう。せっかく内容の濃い講演会だっただけに、実に勿体無かった。


◆久保知行氏の著作  ※当BLOGのレビューはコチラ
年金改革の原点―「年金の鬼」からのメッセージ年金改革の原点―「年金の鬼」からのメッセージ
久保 知行

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◆田村正雄氏の著作  ※当BLOGのレビューはコチラ
やさしい年金財政やさしい年金財政
田村 正雄

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2009年03月05日

「だまされないための年金・医療・介護入門」

政治家に、官僚に、そして経済学者に騙されないために

だまされないための年金・医療・介護入門だまされないための年金・医療・介護入門―社会保障改革の正しい見方・考え方
鈴木 亘

東洋経済新報社 2009-01
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要は「現行の賦課方式を清算して積立方式へ再移行せよ」という、世代間の不公平および経済的効率性に重点をおいた社会保障改革論。著者の社会保障財政への危機意識は真っ当なものであり、政府・役所・社会保障の専門家(=御用学者)の作為・不作為に対する怒りには共感する部分も多い。
しかし、自身の推計結果の優位性を強調するあまり、積立方式のデメリットを過小評価している感がある。例えば、

 「人口構成の変化には中立的でも運用リスクはモロに被るのでは?」
 「そもそも運用収益率だって人口構成の影響は免れないのでは?」
 「社会保険と民間保険を"保険"というだけで同一視するのはどうよ?」
 「チリなどでは積立方式へ移行して失敗に終わったが、その総括は?」  etc


・・・など、積立方式にも数々の疑問が指摘されているのだが、本書では「過去10年はデフレだったから問題ない」「官僚や御用学者による屁理屈」等と切り捨てるか無視を決め込むかしており、こうした反論に真摯に対処しようとしない姿勢は誠に残念である。(著者に限らず)経済学者はただでさえ自身の推計結果の有意性のみを振りかざす独善的傾向があるだけに、これでは経済学者は官僚以上に一面的で視野が狭いとの印象を与えてしまいかねない。

とはいえ、経済学者による典型的な年金議論を俯瞰できるという意味では、とっつき難いが有用な一冊である。政府や官僚だけでなく経済学者に騙されないためにも、彼らが弄する数字のマジックの手口は心得ておきたい。少なくとも、著名なブロガーココとかココとか)が評価しているというだけで本書を鵜呑みにするような愚は避けたいものだ(汗)。



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2009年03月04日

「リスク資産割合」に代わる尺度は誕生するか

本日開催されたNPO法人確定拠出年金教育協会主催のDCファンド教育アカデミーを観覧した。プログラムは、講演2題および企業の実務担当者によるパネルディスカッションというラインナップ。個人的に興味を引いたのは、野村総研の金子久上級研究員による確定拠出年金(DC)の実証分析。今回の分析では某運営管理機関から提供された詳細なデータを用いたため、従来にない精緻な分析が可能になったとの触れ込みであった。

現在DCの投資教育の世界では、「元本確保型商品偏重を解消してリスク性資産(≒投資信託)の割合を高めよう」という一大お節介キャンペーンが展開されている。リスク資産割合の高い投資家=賢明な投資家(苦笑)と言わんばかりの風潮は、手数料が稼げる投資信託の販売促進を図る勢力にとっては好都合なのだろう。しかし、今後DC運用のデータの精度が更に高まるようであれば、企業年金業界にとっては、実証分析の進展のみならず、従来のリスク資産割合に代わる新たな投資効率の尺度が誕生する契機になるやもしれない。ともあれ、今後の動向を見守りたい。



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