2009年04月06日

「なぜGMは転落したのか」

労働組合の際限なき要求と経営陣の妥協が招いた顛末記 GMは蛇足

なぜGMは転落したのかなぜGMは転落したのか―アメリカ年金制度の罠
Roger Lowenstein 鬼澤 忍

日本経済新聞出版社 2009-02
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昨今経営危機が叫ばれているGM(ゼネラル・モーターズ)が主題のごときタイトルだが、GMに関する記述は本書全体の3分の1程度で、残りは米国の公務員年金に関する記述である。
全般的には、企業年金の給付を巡っての、労働組合の際限なき要求と経営陣の妥協が招いた顛末を綴った内容。年金給付の引上げは、原資を直ちに必要とする賃上げとは違い、原資の積立てを将来に先送りしたまま約束だけは容易にできてしまう。そのため、労働組合および経営陣双方の体面保持と点数稼ぎのために企業年金給付が労使交渉の具として利用されて来た経緯を本書は詳細に綴っている。そしてこの傾向は、株主の存在が辛うじて歯止めとなるGMなどの民間企業よりも、そうした規律が無い(労組が主要な票田であるため議会のチェックも働かない)公務員・自治体年金の方が遙かに深刻であることを本書は示唆している。

なお、2009年4月5日付日経朝刊の森戸英幸上智大教授による書評では、あたかも「エリサ法(年金受給権保護のための法律)が企業年金を駄目にした」かの如く評していたが、本書におけるエリサ法に関する言及はごく僅かである。危機の原因は制度や法制ではなく労使交渉に依るところが大きく、その点では森戸教授のコメントはミスリードも甚だしい。


<関連エントリ>
The企業年金BLOG(2009/2/7): 「エリサ法の政治史」






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posted by tonny_管理人 at 12:38 | Comment(4) | TrackBack(17)
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