2009年11月30日

進展ゼロなのに1面掲載ですかそうですか

確定拠出年金 企業型 個人も掛け金 (NIKKEI-NET)
厚生労働省は企業年金の一つである確定拠出年金制度を拡充する方針を固めた。企業が掛け金を出す「企業型確定拠出年金」に個人も掛け金を拠出できるようにするほか、積立期間の上限を現行の60歳から65歳に引き上げる。中小企業を中心に利用されている適格退職年金制度は2012年3月末に廃止になる予定で、その受け皿としても使い勝手をよくする狙い。早ければ来年の通常国会に関連法案を提出する。
(2009/11/30 日経朝刊 1面)

朝刊の1面を飾るほどだから、マッチング拠出の法案が国会を通過でもしたのかと思いきや、さに非ず。内容は、単に「方針を固めた」「税制改正要望に織り込んだ」という伝聞・憶測だけ。議論がちっとも進展していないのに、よくもまあこんな中身の無い記事を1面に掲載したものだ(汗)。よっぽどネタ枯れだったのか?
繰り返すが、現在議論されているマッチング拠出本来のマッチング拠出とは違い、企業型DC加入者のみが対象であり、国民のごく一部(主に高給サラリーマン)しか税制優遇の恩恵を享受できない。特定階層のみを利するような不公平な税制優遇を求める前に、自動移換者を大量に生み出す構造的欠陥をまず是正するのが先決だろうに。自動移換者が正規移換者とほぼ同数なんて杜撰な制度が、国民の老後所得保障に真に寄与するとは到底思えない。

正規移換と自動移換の対比(国民年金基金連合会)
  正規移換と自動移換の対比


<関連エントリ>
The企業年金BLOG(2009/6/9): 頭を冷やす良い機会かと
The企業年金BLOG(2009/3/21): マッチング拠出の支持率はたった6割弱!?
The企業年金BLOG(2009/2/10): マッチング拠出など砂上の楼閣!?



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2009年11月23日

1級DCプランナー資格更新研修を受講

本日は、1級DCプランナーの資格更新研修を受講してきた。DCプランナーはFP資格などと同様「更新制」を採っており、2年に1度、研修会もしくは通信教育を受講しなければならない。当BLOG管理人は、前者の研修会をセレクトした次第。
さて研修会の内容だが、法令(役所の担当課長)、資産運用(某運用会社)および事例紹介(某企業年金基金)という構成で、各々に感想を書いて提出するというややお手軽なものであった(全体でA4用紙2枚分)。なお、会の最後に名刺交換会と称するイベントがあったものの、会場の参加者からは交流しようとする意志が些かも感じられず、交換会と称するには微妙すぎる空気が場を支配していたため、当BLOG管理人もすごすごと退散した次第(汗)。



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2009年11月21日

「公的年金と財源の経済学」

君子豹変す!? 財政学者が社会保険方式の必要性を説く

公的年金と財源の経済学公的年金と財源の経済学
上村 敏之

日本経済新聞出版社 2009-03
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税制・財政における精緻な実証分析で知られる若手財政学者による公的年金論。「どうせまた財政学者による自己満シミュレーションの羅列だろ!?」と思いきや、さに非ず。中身は、著者お得意の実証分析だけでなく、年金制度の基本原理を丁寧に検証した良質な一冊に仕上がっている。とりわけ、主に政治哲学のアプローチを用いて公的年金の必要性を論じている第2章「なぜ公的年金が必要なのか」は白眉。また、税方式と社会保険方式との比較検討では、ワークフェア(勤労福祉)の観点から社会保険方式を支持するとともに、公的年金における情報提供の重要性を提唱するなど、従来の財政学者・経済学者には見られなかった深い考察を見せている。著者は1・2年前まではバリバリの実証分析至上主義者だっただけに、何が著者を(良い意味で)豹変させたのかが気になるところだが(汗)、ともあれ、公的年金の分析に関心のある向きにとっては示唆溢れる一冊である。

※著者の上村氏のサイトはこちら



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2009年11月17日

事業仕分け at 企業年金

事業仕分け 第1弾終了 廃止・見送りと「埋蔵金」で1.3兆円超 (NIKKEI-NET)
政府の行政刷新会議(議長・鳩山由紀夫首相)の作業グループは17日、2010年度予算の概算要求の無駄を洗い出す「事業仕分け」の第1弾の作業を終えた。廃止や予算縮減などを求めた事業の削減総額は4千億円規模となった。国が財源を拠出する独立行政法人や公益法人の基金、特別会計の積立金などいわゆる「霞が関埋蔵金」からの国庫返納要求は4千億円規模に上り、財政に与える効果は合わせて1兆3千億円を超えた。

民主党政権の予算削減の目玉である、行政刷新会議の「事業仕分け」。今月11日より第1弾が開始されているところだが、本日は、なんと企業年金関連の補助金も俎上に載せられたのをご存知だろうか。

行政刷新会議 仕分け結果の詳報(11月17日) (47news)
【企業年金等普及促進費】
企業年金連合会などが年金給付に必要な事務を行う際に厚労省が支給する補助金や、国民年金に上乗せして給付される付加年金の国庫負担分など。10年度予算では22億円を要求。「予算の算定根拠があいまい」などとして、3分の1程度削減するよう求めた。

上記にあるとおり、この企業年金等普及促進費には、企業年金連合会および国民年金基金連合会が実施する年金給付事業への事務費補助等も含まれている。なお、企業年金連合会は予算・決算状況がそこそこ開示されているものの、国民年金基金連合会はその点情報開示が甘いと言わざるを得ない。どうせ予算削減するなら、ディスクローズが乏しい方を大幅削減するというのはどうだろうか(汗)。


─────────────────────────

【2009.11.18追記】
行政刷新会議のWebサイトにも詳細がupされた模様。
施策・事業概要 (pdfファイル)
評価コメント (pdfファイル)




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2009年11月08日

「生保年金数理U」

歴史的・実務的解説は示唆に富むも、試験対策には今ひとつ

生保年金数理〈2〉理論・実務編生保年金数理〈2〉理論・実務編
黒田 耕嗣 編
塩谷 實、小野 正昭、斧田 浩二 共著

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大学教授と実務家のチーム(いずれも日大アクチュアリーコースで教鞭を執っている)による、生命保険数理および年金数理の解説書の第2巻。本書では、生保数理の後半および年金数理を取り扱っている。アクチュアリー試験対策を意識しているとの触れ込みだったが、指定教科書とは表記が微妙に異なっており(特に年金数理)、また解説もお世辞にも分かり易いとは言えない。第1巻に比べると演習問題が劇的に減少しており、試験対策書としてはイマイチ。
一方、試験とは縁遠い「死亡法則」「企業年金制度の選択」「国際アクチュアリー記号」などの歴史的・実務的トピックは読み応えバッチリ。 示唆に富む記述が多く、むしろ試験合格後にこそじっくり目を通したい。


※第1巻はコチラ↓

生保年金数理〈1〉理論編生保年金数理〈1〉理論編

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2009年11月02日

積立方式の難しさを物語るOECDのレポート

年金資産490兆円目減り OECD30カ国 (NIKKEI-NET)
【パリ=古谷茂久】経済協力開発機構(OECD)は26日、加盟30カ国の年金資産の時価総額について、2008年中に5兆4千億ドル(約490兆円)減ったとの試算を発表した。昨年秋からの金融危機が響き、株式や債券などの運用資産が目減りした。今年1〜6月期には約1兆5千億ドル増えたが「08年の損失を取り返すには時間がかかる」と分析している。
(2009/10/27 日経朝刊 7面)

去る10月26日に公表されたOECDのPension Markets in Focus (Issue 6)によると、OECD加盟30カ国の私的年金資産の総額は、2008年の1年間だけで5.4兆ドル目減りしたものの、09年上半期で1.5兆ドル以上回復したというもの。報道媒体によって「2008年の減少」と「2009年の回復」のどちらを見出しにするかが分かれているが、内容的には双方とも間違いではない。ちなみにレポート原文(2ページ)は後者を見出しに掲げている。

 ・年金490兆円喪失の試算 OECD (読売新聞)
 ・OECD:加盟国の年金資産、09年上期に回復 (Bloomberg.co.jp)
 ・OECD加盟国の年金基金、09年上半期に08年の損失の一部取り戻す (ロイター)

なお、日経の記事では「日本は加盟国の中では中位程度の実績」との記述があったものの、原文を参照した限りでは、日本の運用成績が中位程度だったとする記述は皆無であった(日本の資産構成割合、海外投資割合、企業の年金債務に関するデータは記載あり)。まあ、OECDのペーパーは上位と下位のみをピックアップする比較形式が一般的なので、「未掲載=中位」と捉えることはあながち的外れとは言えない。
それにしても、短期的な運用成績に一喜一憂すべきでないことは承知しつつも、やはり積立方式はボラティリティ(変動性)が大きいことは否めない。公的年金を積立方式に移行せよとの論者は(昨今トーンが低くなったとはいえ)後を絶たないが、事前積立方式である企業年金の実務に携わる立場から言わせて貰うと、積立方式は公的年金には不向きであると考える。よく「賦課方式は人口動態の変動に弱く、積立方式は金融市場の変動に弱い」と言われるが、そもそも経済成長は人口構成の影響を免れないのではないか。

<関連エントリ>
The企業年金BLOG(2009/12/5): OECDが提唱する日本の年金改革(総論)
The企業年金BLOG(2009/6/25): OECDの公的年金所得代替率に関する留意点
The企業年金BLOG(2008/12/5): 公的年金にまつわる10の神話



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posted by tonny_管理人 at 23:05 | Comment(2) | TrackBack(0)
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