2009年12月28日

2010年の最低責任準備金の予定利率

厚生労働省は12月28日、厚生年金基金の最低責任準備金の算定に用いる2010年の利率をマイナス6.83%と告示した(厚生労働省告示第513号)。最低責任準備金に付与する利率は、厚生年金本体の実績に基づき設定されることとなっており、今回の利率は、2008年度における年金特別会計の厚生年金勘定にかかる積立金の運用実績に基づき定められたもの。なお、特例解散における最低責任準備金の分割納付に用いる利率も同日付で告示されたが、さすがにマイナス利率を用いるわけにはいかず、0%と告示された(厚生労働省告示第512号)。

厚生年金基金の代行部分の予定利率については、1999年9月までは一律5.5%という固定利率だったものの、1999年10月以降は、厚生年金本体の運用実績に準拠した変動利率を用いている。2010年の利率がマイナス6.83%となるであろうことは当BLOGでも既に報告済みであるため繰り返さない。もっとも、現在では期ズレ解消措置が講じられているため、本告示の重要性はかつてほどではないが(汗)。
最後に、99年10月以降の利率の推移は以下のとおりである。

 <暦年>  <利率>
 1999年   4.66% ※10〜12月のみ
 2000年   4.15%
 2001年   3.62%
 2002年   3.22%
 2003年   1.99%
 2004年   0.21%
 2005年   4.91%
 2006年   2.73%
 2007年   6.82%
 2008年   3.10%
 2009年 ▲3.54%
 2010年 ▲6.83%



<関連エントリ>
The企業年金BLOG(2009/8/11): 08年度公的年金決算からみる代行部分の予定利率の動向
The企業年金BLOG(2009/10/1): 10月1日は「転がし計算の日」に決まってるだろ
The企業年金BLOG(2006/12/14): 代行部分の予定利率は5.5%に非ず



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2009年12月17日

気になる動き 2009年12月

当BLOGで解説するまでもないが、気になる動きを幾つか列挙したい。


企業型確定拠出年金制度運営ハンドブック (企業年金連合会)
  ・概要 (pdfファイル)
  ・報告書 (pdfファイル)
2009年2月に企業年金連合会政策委員会確定拠出年金小委員会の下に設置された「企業型確定拠出年金の今後のあり方に関する検討会」(座長:山口修横浜国立大学教授)の報告書。事業主の役割を明確化したとの触れ込みだが、当BLOG管理人には、本報告書を逐次解説するだけの好奇心と情熱は今のところ無い(汗)。


◆ナショナルミニマム研究会 (厚生労働省)
  ・第1回
  ・第2回
今月11日に突如設置された政策統括官付きの研究会。委員の顔ぶれが社会保障関係者の関心を集めているが、残念ながら議事は非公開との事。生活保護は企業年金とは直接的な関わりは無いものの、公的年金を含めた所得保障のあり方を論ずる上では、その動向は無視できない。とはいえ、当BLOGで解説するにはやや荷が重い(汗)。



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2009年12月14日

国際機関の調査とて鵜呑みは禁物

去る10月14日、外資系コンサルのマーサーとオーストラリアのメルボルン金融研究センター(MCFS)が、先進11ヶ国の年金制度を評価した「Melbourne Mercer Global Pension Index」を作成・公表した。何でも、世界各国の公的・私的年金制度を、適正性(adequacy)、持続性(sustainability)および規範性(integrity)の観点から評価しているとの触れ込みだが、内実は、OECDのデータを利用しただけの二次利用の延長に過ぎない代物のようだ。
以前もコメントしたが、OECDの「Pension at a Glance」「Private Pensions Outlook」は、世界各国の年金制度の横断比較を試みる意欲的なレポートではあるが、OECDのデータの大雑把さは専門家からかねてより指摘されているところ(日本のトピックを参照すればお分かりいただける筈)。今回のインデックスでは、日本は先進11ヶ国中最下位とのことだが、そりゃあ、OECDの基準による所得代替率は低めで、少子高齢化が世界一進展してて、おまけに政府債務も莫大ときたら、高評価を得ろという方が無理な注文というもの(汗)。どうしても世界一の称号を得たいのであれば、話は簡単である。「年金年額を1,000万円に増額」「引退時給与(分母)の引下げて所得代替率を引上げる」「支給開始年齢を90歳に引上げ」「私的年金への掛金拠出を全額非課税にする」─などを適宜実施すれば良い(汗)。さらに、「政府債務の踏み倒し」「高齢者を減らす(!)」なども加えれば完璧か(大汗)。つまり、国際的なインデックスとやらの本質はこんなもんである。繰り返しになるが、制度も歴史風土も異なる各国の制度を統一的な基準で評価するには、慎重に挑む必要がある。鵜呑みは禁物。

余談だが、本インデックスについてはニッセイ基礎研究所(NLI)および野村総合研究所(NRI)がそれぞれ取り上げている。普段は保険・年金分野において深い洞察を売りにしているNLIが無批判な肯定姿勢に終始しているのに対し、新し物好きで舶来礼賛主義なはずのNRIがやや慎重な姿勢を示していたのは、何とも意外であった(汗)。


※参考資料
Melbourne Mercer Global Pension Index
各国年金制度の評価インデックスに思う(ニッセイ基礎研究所)
世界の年金制度の良し悪しを評価するしくみ(野村総合研究所)

<関連エントリ>
The企業年金BLOG(2009/6/25): OECDの公的年金所得代替率に関する留意点



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2009年12月08日

「経済統計の活用と論点」第3版

実用度の高い経済統計の"百科事典"

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文体はとっつき難いが、国内のほぼ全ての経済統計を網羅的に解説している、経済統計の百科事典。著者サイドもそうした辞書的な使われ方を意識してか、「概要」「公表元」「公表時期」「留意点」といった項目が指標別に完結するよう工夫されている。また「GDPのゲタ」「SNA統計(内閣府)と家計調査(総務省)とで家計貯蓄率が異なる理由」といった経済統計特有のお馴染みの問題点についてもキチンと言及されている。経済論文の執筆や景気予測に携わる者であれば必携の一冊。
なお今回の第3版では、前版刊行からの統計数値を更新したほか、「マネーサプライからマネーストックへの改訂」などを手当てしている。



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2009年12月05日

OECDが提唱する日本の年金改革(総論)

グリア事務総長会見「財政再建へ中期目標を」 (NIKKEI-NET)
経済協力開発機構(OECD)のグリア事務総長は19日、東京都内で記者会見した。「日銀はデフレと戦うべきだ」と述べ、日本は物価の上昇が確実になるまで超低金利政策を維持すべきだとの認識を示した。一方、追加的な財政出動には否定的な見解を表明。鳩山由紀夫政権に対して「財政再建の中期目標を早急に打ち出すべきだ」と注文した。
(中略)OECDは世界経済見通しの公表に合わせて、日本の経済政策に関する包括的な提言も発表した。子ども手当については再考を促し、むしろ保育所や就学前教育への支出を増やすべきだと訴えた。
(2009/11/20 日経朝刊 5面)

やや古い記事で恐縮だが、先月のOECD事務局長来日&講演に関する報道は、
 ・日本は持続的な経済成長の実現に焦点絞る必要 (Bloomberg.co.jp)
 ・子ども手当:再検討を OECD提言「重点、就学前教育に」 (毎日jp)
 ・子ども手当より「待機児童解消を」 OECDが政策提言 (asahi.com)
──など、報道機関によって見出しがまちまちだが、これらは全て『日本の政策課題達成のために:OECDの貢献』という一冊の報告書が情報源である。本報告書は、実際の内容は、「内需主導の成長戦略」「労働市場」「教育」など9つの分野にわたる包括的な政策提言集だが、この中には公的年金・企業年金に関する提言も含まれている。

報告書の「年金改革」の項(16〜17ページ)では、まず、日本の高齢者層における相対的貧困率が22%とOECD平均(13%)に比べて高いこと、また、公的年金の所得代替率がOECD域内で最低水準にあることなどから、日本の高齢者層における貧困問題は深刻であるとの見解を示しており、その対処策として以下の提言を行っている。各々の提言の詳細については、当BLOGでも順次取り上げることとしたい。

年金に関する主な提言
・高齢者層における貧困率を引き下げるよう公的年金制度を改革する。
・公的年金制度の長期的な持続可能性を、年金給付の切下げや保険料率の引上げでなく、必要であれば退職年齢の引き上げにより確保する。
・政府積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の運用資産配分を、過度なリスクを取らず漸進的に改善する。
・私的年金が現行の低水準から公的年金制度を補完するレベルへ発展することを支援する。
・私的年金の規制体制を改善し、景気循環に対する制度の安定性を高める。
 (出典:『日本の政策課題達成のために:OECDの貢献』16〜17ページ

ところで、ごく一部の論者(ココとかココとか)が未だに提唱している「賦課方式から積立方式への移行」については、OECDの報告書では言及すらしていない(汗)。公的年金の積立方式化・民営化論は、世界銀行の1994年レポートの発表を契機に世界的に話題となり、日本でも90年代後半に『年金改革論―積立方式へ移行せよ』(八田達夫・小口登良)『年金民営化への構想』(小塩隆士)が刊行されるなど議論が花盛りであった。しかし、当の言いだしっぺの世界銀行が2004年レポートで自説を撤回したのを機にすっかり鳴りを潜めてしまい、前述の著者らはかつての持論に触れることすらしないのが現状である(汗)。公的年金の積立方式化など国際的にはもはや論点ですらないという現実を、彼らはどう直視するのだろうか。


<関連エントリ>
The企業年金BLOG(2011/3/26): OECD「Pensions at a Glance」2011年版が公表
The企業年金BLOG(2009/11/2): 積立方式の難しさを物語るOECDのレポート
The企業年金BLOG(2009/6/25): OECDの公的年金所得代替率に関する留意点
The企業年金BLOG(2008/12/5): 公的年金にまつわる10の神話



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2009年12月02日

「生命保険数学の基礎 アクチュアリー数学入門」

生命保険数学のテキスト 歴史的・実務的解説に博識が滲む

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山内 恒人

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保険会社に勤務する傍ら、アクチュアリー講座や大学院等で保険数理の講師を長年にわたり務めてきたアクチュアリーによる講義レジュメの集大成。生保数理のテキストといえば、アクチュアリー試験の指定教科書にもなっている『生命保険数学』(二見隆著)が定番だが、二見本があくまで保険数理の解説に特化しているのに対し、本書は、生命保険契約の定義・分類や計算基数の歴史といった歴史的・実務的解説が充実している。生保数理のテキストとしても、二見本では序盤に位置している「多重脱退」を後に回して「連生保険」「就業不能」と一緒に学ばせるなどの配慮が為されているほか、キャッシュフローの図示や表・数値例を駆使するなど、指定教科書のとっつき難さを絶妙に補う解説が見事。生保の実務に疎いアクチュアリー受験生にとっては、今後は格好の入門書となること必至。惜しむらくは、試験対策書としては演習問題が少なすぎることか。著者が講座等で配布・実施している小テストぐらいは是非掲載して欲しかった。

※本書の詳しい内容はこちら (pdfファイル)



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