企業年金、次の一手は店じまい! (DIAMOND online)
(前略)筆者は、現在が、DBの企業年金の店じまいに取りかかる絶好のタイミングではないかと考えている。相場が絡むことなので保証は出来ないが、今から作業に取りかかるくらいがちょうどいいのではないか、と思っている。(中略)経営者にとっても、株主にとっても、DBの企業年金は邪魔な存在なのだ。ならば、金融危機の底から株価が回復しつつある今の時期に手を打つことにするのがいいのではないだろうか。これまでもそうだったように、将来はアテにならない。
(2010/4/28「山崎元のマルチスコープ」第128回)
ハイまたも出ました、山崎元氏による企業年金無要論。そりゃあ企業年金を単なる資産運用ファンドか労務コストと捉えるならばそうした見方もなくはないが、現実はそう単純ではない。企業は、企業年金が従業員のインセンティブを高めると考えるならば企業年金を続けるし、そうでなければとっとと制度を解散する、それだけの話。
また、「普通株(企業)に投資する積もりが、投資信託(企業年金)をセット販売されるのでは、投資家は迷惑」との論にしても、投資家として「企業年金は邪魔だ」というスタンスを取るのならば、企業年金の無い企業の銘柄を選択すれば良いだけのこと。投資家には銘柄選択の自由があるのと同様、企業にも企業年金を採用するか否かを選択する自由がある。
<関連エントリ>
The企業年金BLOG(2008/2/7): 山崎元氏の「企業年金無用論」に釣られてみる
正しい投資教育をいつ誰がやるか (DIAMOND online)
(前略)小・中・高それぞれの学校で、算数ないし数学の時間に、おカネを題材にした問題を扱うようにすればいい。人材は、算数・数学の教師が過不足なくピッタリだ。(中略)算数・数学の授業で損得の計算方法を徹底的に学んでおけば、投資家としての判断はできる。教科書、副読本に金融を例にとった問題を必ず載せて、入試でも出題されるようになると、皆勉強するだろう。
(2010/4/26「山崎元のマネー経済の歩き方」第126回)
一方こちらは、投資教育に関する考察。義務教育等における金融教育というと、カリキュラム(何を教えるか)と講師(誰が教えるか)の二点が課題として常につきまとう。カリキュラムも講師も、作り手あるいは担い手によって恣意的な思想が入りかねない危険性を孕んでいる。
これらの課題に対して山崎氏は、カリキュラムは「算数・数学の時間に計算方法を学ばせる」、講師は「数学教師の活用」を提唱している。なるほど、リターン・リスクの計算などは高校数学までの範疇でほぼカバーできる内容だし、計算方法の伝授なら数学教師という専門家が大勢いる。いずれも既存のインフラを有効活用するとともに、資産運用業界からの恣意性を排除できる点が秀逸。この発想には率直に恐れ入った。やはり資産運用分野においては一味違う考察を見せてくれる。
<関連エントリ>
The企業年金BLOG(2006/10/26): 「知っておきたい証券投資の基礎知識」
The企業年金BLOG(2006/6/24): 「年金運用の実際知識」
The企業年金BLOG(2006/6/22): 「ファンドマネジメント」
