2010年07月31日

積立不足額と新聞の注目度との相関は・・・!?

上場企業の年金積み立て不足、3月期末、運用改善で3年ぶり減少 (nikkei.com)
足元は再び悪化懸念も
上場企業の年金積み立て不足が2010年3月期末、3年ぶりに減少した。積み立て不足は合計8兆8455億円と09年3月期末に比べ33%減った。前期は日経平均株価が37%上昇するなど国内外の株価回復で年金基金の資産運用が改善した。ただ足元では株安・円高が進んでおり、年金財政が再び悪化する懸念が強まっている。
(2010/7/22 日経朝刊 13面)

そりゃ退職給付会計は時価評価が原則なのだから、運用環境が良ければ積立不足は減るし、逆に運用環境が悪ければ積立不足は増えるのは至極当たり前の事象。一喜一憂するほどの事ではない。しかし、退職給付会計に関する日本経済新聞の報道姿勢には疑問が多い。同トピックにおける直近5年間の報道記事を見れば一目瞭然↓

 ・2010年7月22日 (朝刊13面)「3月期末、運用改善で3年ぶり減少」
 ・2009年7月15日 (朝刊1面)「企業年金 積み立て不足13兆円」
 ・2008年8月27日 (朝刊1面)「年金積み立て不足額3.6倍 5年ぶり増」
 ・2007年9月19日 (朝刊17面)「企業の年金積み立て改善」
 ・2006年9月8日 (朝刊17面)「年金積み立て不足 7割減」


ご覧の通り、運用環境が良好な時はベタ記事扱いで、昨年および一昨年のような悪い数値が出たときに限って一面で大々的に取り扱っている。まさに「積立不足額」と「新聞で何面に来るか」は逆相関の関係にある。単に数値の大小で一喜一憂する様は、とても日本を代表する経済専門紙の所業には非ず。こんなトンマな記事でも、日経の一面だというだけで真に受ける輩は多いだけに、尚のこと始末が悪い。


<関連エントリ>
The企業年金BLOG(2008/8/27): ネガティブな内容でなければ一面は飾れない!?



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2010年07月20日

「続・新企業年金教室(全27回)」

あの「やさしい企業年金教室」の続編 書籍化望む!!

続・新企業年金教室(全27回)続・新企業年金教室 【全27回】
畑 聡

『企業福祉情報(現:福利厚生情報)』(日本生命)
2002.6[2002-3号]〜 2007.4[2007-2号]

年金数理・年金財政を日本一分かり易く解説している名著「やさし企業年金教室」だが、実は続編が存在することをご存じだろうか。
日本生命が法人顧客向けに刊行している『企業福祉情報』(2009年より『福利厚生情報』にリニューアル)で2002年から07年にかけて連載されていた(前作も元は同誌の連載記事)のが、この「続・新企業年金教室」。前作同様、会話形式による親しみ易い語り口と明快な図解による分かり易い解説は折り紙つき。なお前作とは違い、解説する対象が確定給付企業年金確定拠出年金キャッシュバランスプランなど新しい制度および給付設計が主体となっているほか、登場人物も僅かに出世・異動・成長しているところに、前作からの歳月の流れを垣間見ることができる。

できれば、本編も前作同様書籍化して欲しいところだが、ただでさえ出版不況な上に、企業年金を取り巻く厳しい情勢がそれを許さないであろう(汗)。同じく日本生命が刊行している『年金制度設計ハンドブック』と合わせて読めば、アクチュアリー2次試験(年金コース)の企業年金分野の対策はほぼ万全なのに・・・両者の長所を併せ持った書籍・参考書の編纂を切に望む。


<関連エントリ>
The企業年金BLOG(2006/6/16): 「やさしい企業年金教室」
The企業年金BLOG(2006/1/16): 「年金制度設計ハンドブック」



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2010年07月15日

政令指定法人 ─ 第4の担い手

わが国を代表する企業年金制度である厚生年金基金および確定給付企業年金では、給付の支給や掛金計算などの業務を「信託会社、信託業務を営む金融機関、生命保険会社、農業協同組合連合会、企業年金連合会その他の法人に委託することができる」とされている(厚生年金保険法第130条第5項確定給付企業年金法第93条)。ここでいう「その他の法人」に当たるのが、今回解説する政令指定法人である。
政令指定法人とは、企業年金に関する業務のうち記録管理・数理計算など資産運用以外の業務を受託できる法人のことである。かつては、企業年金業務を受託できたのは信託・生保適格退職年金JA全共連(現:JA共済連)も受託可能)だけであった。しかし、規制緩和の流れからか、厚生年金基金においては1987年より政令指定法人制度が導入され、厚生労働大臣の指定を受ければ信託・生保以外の企業でも厚生年金基金業務を受託することが可能となった経緯がある。なお、翌1988年からは厚生年金基金連合会(現:企業年金連合会)への業務委託(加入者数800名未満の小規模基金を対象とした「共同事務処理事業」)が、2002年からはJA共済連への業務委託がそれぞれ解禁され、これらの規定は確定給付企業年金にもほぼそのまま受け継がれている。

過去に政令指定法人の指定を受けたことのある法人は、以下の通りである。主に銀行系および証券系のシステム子会社の名前が目立つ。80年代後半から90年代前半にかけて多くの企業が指定を受けたものの、その後はバブル崩壊による業務撤退や母体企業の統廃合の煽りを受けて指定法人数は減少の一途を辿り、2009年時点で現存している政令指定法人はわずか9社(タワーズ・ペリンとワトソン・ワイアットの合併を考慮すれば8社)となっている。その存在は今やまさに精霊(政令)の如き希少価値か(汗)。


 ◆政令指定法人一覧(2009年時点)
     <政令指定法人名>        <指定年月日>
   1 大和システムサービス          1987/5/20
   2 さくら情報システム            1987/5/20
  ※3 ワトソンワイアット             1987/5/20
   4 第一勧銀コンピュータサービス     1988/6/1
   5 セントラルシステムズ          1988/6/1
   6 富士銀コンピューターサービス     1988/6/1
   7 日本総合研究所             1988/10/1
   8 興銀システム開発            1988/10/1
   9 山一情報システム            1988/10/1
  10 日興システムセンター          1988/10/1
  11 東洋情報システム            1988/10/1
  12 昭和コンピュータシステム        1989/4/1
 ※13 大和総研                  1989/9/25
  14 富士総合研究所             1990/1/16
  15 長銀情報システム            1990/10/1
  16 たくぎんコンピューター         1990/10/1
 ※17 マーサージャパン            1991/6/1
  18 第一勧銀情報システム         1993/4/1
  19 あさひ銀総合システム          1995/4/1
  20 山一証券経済研究所           1996/10/1
  21 野村総合研究所              1997/4/1
  22 日興フィナンシャル・インテリジェンス 1997/11/1
 ※23 タワーズ・ペリン              2000/2/17
 ※24 IICパートナーズ             2000/2/17
 ※25 ジャパン・ペンション・ナビゲーター   2001/9/1
 ※26 オリックス                  2002/8/1
 ※27 みずほ総合研究所            2002/10/1
 ※28 ヒューイットアソシエイツ         2003/7/1

 (注)※は現在も指定を受けている法人。


<参考資料:政令指定法人の指定要件>
厚生年金基金令第29条
厚生年金基金規則第32条の5以降
確定給付企業年金施行令第67条
確定給付企業年金施行規則第105条以降

<関連エントリ>
The企業年金BLOG(2010/7/12): もはやネタも尽きたか!?
The企業年金BLOG(2009/7/3): ネタが現実に!?



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2010年07月12日

もはやネタも尽きたか!?

米エーオン、ヒューイット・アソシエイツ買収ヘ (bloomberg.co.jp)
世界最大の保険ブローカー、米エーオンは、人材コンサルタント会社の米ヒューイット・アソシエイツを現金と株式交換を通じて49億ドル(約4340億円)で買収することで合意した。従業員給与や福利厚生の助言業務の拡大を図る。
(2010/7/12 bloomberg.co.jp)

記事にあるヒューイット・アソシエイツといえば、人事・組織コンサルだけでなく企業年金の制度設計や資産運用のコンサルティングも手がけており、年金業界でもそこそこ名の知れた存在だが、このたび、再保険・リスクマネジメントのコンサルファームとして知られるエーオンに買収されたとの事。
そういえば、ちょうど1年前の今頃はタワーズ・ペリンとワトソン・ワイアットの合併が報じられたが(2010年1月に合併しタワーズ・ワトソンに改組)、当BLOG管理人はこの2社とは何の縁もない上に、「タワーズ・ワトソン」「ペリン・ワイアット」のように小ネタには使い難い名称だったことから、今回の合併によるダメージは皆無であった。決してネタ枯れではない(汗)。

なおヒューイット・アソシエイツは、企業年金に関する業務のうち記録管理・数理計算など資産運用以外の業務を受託できる「政令指定法人」である。政令指定法人の詳細は、またの機会に解説することとしたい(と、1年前にも同じ事を書いたまま放置していたので、今度こそ書く)


<関連エントリ>
The企業年金BLOG(2010/7/15): 政令指定法人 ─ 第4の担い手
The企業年金BLOG(2009/7/3): ネタが現実に!?



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2010年07月07日

「どうなっている? どうする! 退職金・企業年金」

手作り感に富む資料集

どうなっている? どうする! 退職金・企業年金どうなっている? どうする! 退職金・企業年金

全国労働基準関係団体連合会 2010-03

今年3月にひっそりと刊行された、知る人ぞ知る一冊。「わかりやすい企業年金」「労働組合のための退職金・企業年金制度移行対応ハンドブック」などの良書を知る身にとってはやや見劣りする内容だが、およそ企業年金と馴染みがあるとは思えない団体が独力で手掛けたわりには、企業年金および退職金制度の現状がコンパクトにまとめられており、いかにもWordファイルをそのままプリントアウトしたかのようなチープな装丁と相まって抗し難い魅力を放っている。セミナー資料作成時のたたき台に最適。



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