2010年08月31日

アカラックス「生命保険数学入門」

たまたまネットを探索していたら、「生命保険数学入門」というpdfファイル集が掲載されているWebサイトを発見した。作者は、現役の生保アクチュアリーにして、保険コンサルティング企業「アカラックス」を運営する坂本嘉輝氏。作成は今春から始まったようで、現時点(2010/8/31)では「金利計算」「死亡率」「保険料計算」まで完成している。生保数理の参考書といえば二見本(『生命保険数学』)山内本(『生命保険数学の基礎』)が定番だが、本書はこれら既存の参考書とはまた違った切り口から解説しており、生保数理の理解向上に大いに役立つこと必至。興味のある向きは今のうちにチェキラされたし。

◆「生命保険数学入門」はこちら
◆著者が運営しているWebサイト「アクチュアリーの練習帳」はこちら
◆著者の運営会社「アカラックス」のWebサイトはこちら






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2010年08月30日

もちろん手数料も公的水準並みだよな!?

フィデリティ投信、「国民自助年金制度」に関する提言発表 (REUTERS)
[東京 26日 ロイター] フィデリティ投信は、「国民自助年金制度」の創設に関する提言を発表した。今後は政府や関係省庁などへ「国民自助年金制度」の考え方を提唱していく、としている。
現在日本には、公的年金を除き、全ての国民を対象とした年金制度は存在しておらず、同社では、公的年金を補完する役割を担い、かつ個人の自助精神を公的に支援する全国民を対象とした制度──「国民自助年金制度」の創設を訴えている。
(2010/5/26 REUTERS)

やや古い記事で恐縮だが、投資顧問業の大手であるフィデリティ投信が5月に発表したこの構想。「個人年金を普及・発展させるべし」との論は保険業界サイドからは繰り返し喧伝されてきたものの、投資顧問業界から同様の主張が為されるのは珍しい。また、概念図(p.1)に目を通すと、「国民自助年金制度」を国民年金(1階)と厚生年金(2階)の間に無理矢理挟み込んだ構図が強引というか斬新過ぎて不覚にもワロタ。さしずめ、1.5階建てのロフト年金といったところか(笑)。

20100526fidelity_nenkin_koso.jpg


しかしこの構想、「個人の自助精神を後押しする」だの「公的年金を補完する役割を担う」だのと公共性を勇ましくアピールしている割には、肝心の資産形成に係る手数料に関する言及が皆無なのが致命的。これでは、自社の手数料ビジネスの機会を増やしたいだけとしか世間は見てくれない。真っ当な主張も随所に見られるだけに、やや残念であった。この手の提言で我田引水さや牽強付会さを払拭するためには、「まずは自社の確定拠出年金ファンドの信託報酬のバカ高さを何とかしろ!」「もちろん手数料も公的水準並みだよな?(ニヤリ)」という反論に正面から対抗できるだけの理論武装が求められよう。



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2010年08月28日

日本法令の就業規則セミナーを受講

本日は、日本法令主催の就業規則セミナーを受講した。当BLOG管理人は、業務上は就業規則の作成等には一切関与していないが、10年来の付き合いのある社労士(今回の講師でもある)からお声掛けをいただいたため、興味本位がてら参加した次第。
ところがいざ聴講してみると、就業規則の世界の面白さ・奥深さに思わず聞き入ってしまった。内容も、就業規則の診断手法を解説するだけでなく、診断結果を効果的に発表して次の仕事に繋げるためのプレゼン手法にも言及しているところが実践的であった。個人的には、就業規則だけでなく企業年金の年金規約のチェックにも役立つ内容であると感じた。これを機に当BLOG管理人も就業規則や賃金体系等の設計について勉強し、ゆくゆくは年金コンサルタントのみならず人事・労務コンサルタントも・・・と言いたいところだが、企業年金情報のアップデートだけで手一杯な現状を考慮すると、分不相応な野望だなコリャ(汗)。

◆今回の講師である岩ア氏・中西氏の事務所のWebサイトはこちら



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2010年08月25日

09年度公的年金決算からみる代行返上・離婚分割の動向

前回に引き続き、2009年度公的年金決算から企業年金(主に厚生年金基金)の動向を見ることとする。

厚生年金・国民年金の平成21年度収支決算の概要(厚生労働省) (pdfファイル)

上記資料の6ページおよび7ページには、年金特別会計(厚生年金勘定)の収支状況が掲載されている。歳入科目の中に「解散厚生年金基金等徴収金」とあるが、これは代行返上(過去返上)を行った厚生年金基金から徴収した最低責任準備金であり、いわゆる代行返上資産額のことを指す。返上金額および過去返上基金数の推移は以下のとおりである。

 <年度>  <返上額>  <過去返上基金数>
 2003年  3兆5364億円      203
 2004年  5兆3855億円      438
 2005年  3兆4568億円      121
 2006年     6800億円       21
 2007年     5552億円       20
 2008年     3486億円        4
 2009年     1905億円        6



また、離婚時の年金分割に伴う離婚分割移換金の動きを表す「厚生年金基金等徴収金」は50億円と、前年比20億円のプラスとなっている。こちらもの推移を以下にまとめてみた。離婚分割が増加していることを示しているのだろうか・・・?

 <年度>  <厚生年金基金等徴収金>
 2007年   0.17億円
 2008年   30億円
 2009年   50億円




<関連エントリ>
The企業年金BLOG(2007/8/13): 公的年金決算から見る代行返上の動向
The企業年金BLOG(2009/8/13): 08年度公的年金決算からみる代行返上・離婚分割の動向



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2010年08月24日

09年度公的年金決算からみる最低責任準備金の利回り

今月10日に発表された公的年金の2009年度収支決算によると、厚生年金本体(年金特別会計:厚生年金勘定)の運用利回りは7.54%3年ぶりにプラスに転じた。
厚生年金基金の代行部分の予定利率については、従来は一律5.5%という固定レートが用いられていたが、1999年10月以降は、厚生年金本体の運用利回り実績に準拠した利率を毎年洗い替えて用いることとされている。正式な数値は例年12月頃に厚労省より告示されるが、その根拠となる厚生年金の実績利回りは今回の決算発表に収録されているため、こちらを速報値に用いる業界人も多い。今回の発表により、2011年1〜12月(暦年ベース)の厚生年金基金の最低責任準備金(代行部分)に付利する利率も7.54%と告示される公算が大きい。厚生年金本体の運用利回りおよび年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の修正総合収益率(市場運用分)の推移は以下のとおり。

 <年度>  <厚年>  <GPIF(市場運用分)>
 1997年   4.66%   7.15%
 1998年   4.15%   2.80%
 1999年   3.62%  10.94%
 2000年   3.22%  ▲5.16%
 2001年   1.99%  ▲2.48%
 2002年   0.21%  ▲8.46%
 2003年   4.91%  12.48%
 2004年   2.73%   4.60%
 2005年   6.82%  14.37%
 2006年   3.10%   4.75%
 2007年 ▲3.54%  ▲6.41%
 2008年 ▲6.83% ▲10.03%
 2009年   7.54%   9.55%


なお、厚年基金の最低責任準備金の算定に用いる利率は、上記のとおり厚生年金本体の実績利回りを基に決定されることから、最大1年9ヶ月の乖離(いわゆる「期ズレ」)が生じることが問題視されていたが、2009年度決算より、継続基準の財政検証および掛金計算において「調整金」を計上することによる調整が可能となっている。
余談だが、厚生年金・国民年金の決算状況は、従来は旧社会保険庁より公表されていたが、社保庁の解体等を受けてか、今回から厚生労働省からのリリースとなっている。


厚生年金・国民年金の平成21年度収支決算の概要(厚生労働省)

<関連エントリ>
The企業年金BLOG(2006/12/14): 代行部分の予定利率は5.5%に非ず
The企業年金BLOG(2007/8/15): 公的年金決算から見る代行部分の予定利率の動向
The企業年金BLOG(2009/8/11): 08年度公的年金決算からみる代行部分の予定利率の動向



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