厚生労働省は2012年3月末で制度がなくなる税制適格年金について、特例措置を設ける方針を固めた。別の企業年金制度へ移行を促すため、必要な手続きを簡素化するのが柱。すでに年金を受け取っている人だけで構成する「閉鎖型」と呼ばれる適格年金を対象とする。
(2010/1/20 日経朝刊 5面)
10日ほど前の記事で恐縮だが、日経新聞の経済面に「適年移行が簡素化!」とばかりに大々的に見出しが出ていたが、よーく見れば、適格退職年金全般に対する簡素化ではなく、閉鎖型適格退職年金(通称「閉鎖適年」)に関するものであった。何とも紛らわしい(汗)。
なお、ここでいう閉鎖型とは、加入者(=掛金負担者)がおらず受給者だけで制度が構成されていることを意味する。英語では、新規加入者を一切加入させない「closed plan」や、既加入者についても将来給付を一切発生させない「frozen plan」など、閉鎖の度合いによって表記が微妙に異なる。2010年9月末時点で3,133件(受給者数:約4.52万人)もの閉鎖適年が存在するらしい(→出典)。
さて本題に入るが、閉鎖適年もまた適格退職年金の一種であり、このまま放置しておくと2012年4月以降は税制優遇が廃止され、所得税の減免措置が無くなる恐れがある。しかし、閉鎖適年を確定給付企業年金など新たな制度に移行しようにも、移行の取り組みが遅れているのが現状である(労使合意を取ろうにも、受給者はいわゆる"労"ではないからねえ・・・)。今回の記事は、閉鎖適年の移行に際して、様々な申請事務手続等を省略あるいは簡素化する措置を打ち出した──というものである。
ところで、記事では「厚労省は月内にも意見募集を始め、3月末までに省令などを改正」とあったため、当BLOGではパブリックコメントが出てから本件をじっくり吟味しようと目論んでいたが、残念ながら、本日(1/31)現在ではパブリックコメントは出ていない模様である。記事だけでは簡素化措置の全容が不明だっただけに、引き続き情報収集に努めたい。
─────────────────────────
【2011.2.16追記】
2月14日付けでパブリックコメントの募集が開始されました(3/16締切)。
