2011年01月31日

簡素化と言っても「閉鎖適年」の話だけどね

適格年金、移行を簡素化 厚労省が特別措置 (nikkei.com)
厚生労働省は2012年3月末で制度がなくなる税制適格年金について、特例措置を設ける方針を固めた。別の企業年金制度へ移行を促すため、必要な手続きを簡素化するのが柱。すでに年金を受け取っている人だけで構成する「閉鎖型」と呼ばれる適格年金を対象とする。
(2010/1/20 日経朝刊 5面)

10日ほど前の記事で恐縮だが、日経新聞の経済面に「適年移行が簡素化!」とばかりに大々的に見出しが出ていたが、よーく見れば、適格退職年金全般に対する簡素化ではなく、閉鎖型適格退職年金(通称「閉鎖適年」)に関するものであった。何とも紛らわしい(汗)。
なお、ここでいう閉鎖型とは、加入者(=掛金負担者)がおらず受給者だけで制度が構成されていることを意味する。英語では、新規加入者を一切加入させない「closed plan」や、既加入者についても将来給付を一切発生させない「frozen plan」など、閉鎖の度合いによって表記が微妙に異なる。2010年9月末時点で3,133件(受給者数:約4.52万人)もの閉鎖適年が存在するらしい(→出典)。

さて本題に入るが、閉鎖適年もまた適格退職年金の一種であり、このまま放置しておくと2012年4月以降は税制優遇が廃止され、所得税の減免措置が無くなる恐れがある。しかし、閉鎖適年を確定給付企業年金など新たな制度に移行しようにも、移行の取り組みが遅れているのが現状である(労使合意を取ろうにも、受給者はいわゆる"労"ではないからねえ・・・)。今回の記事は、閉鎖適年の移行に際して、様々な申請事務手続等を省略あるいは簡素化する措置を打ち出した──というものである。
ところで、記事では「厚労省は月内にも意見募集を始め、3月末までに省令などを改正」とあったため、当BLOGではパブリックコメントが出てから本件をじっくり吟味しようと目論んでいたが、残念ながら、本日(1/31)現在ではパブリックコメントは出ていない模様である。記事だけでは簡素化措置の全容が不明だっただけに、引き続き情報収集に努めたい。

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【2011.2.16追記】
2月14日付けでパブリックコメントの募集が開始されました(3/16締切)。




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2011年01月26日

「東京都社会保険労務士会会報」

東京都社会保険労務士会会報東京都社会保険労務士会 会報

東京都社会保険労務士会
(月刊)

前回のエントリで全国社会保険労務士会連合会「月刊社労士」を取り上げたからには、東京都会の会報についても言及しておかねばなるまい。こちらはかねてよりA4横書きの装丁であるほか、内容も硬軟織り混ぜた構成となっており、読み易さと完成度の高さでは連合会の会報を遥かに上回っていた。今般の「月刊社労士」のリニューアルも、本誌を多分に意識している様がうかがえる。
なお、本誌の目次等は東京都会のWebサイトからも閲覧できるようだが、こちらの更新は滞っている模様(汗)。

<関連エントリ>
The企業年金BLOG(2011/1/24): 「月刊社会保険労務士」が「月刊社労士」にリニューアル



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2011年01月24日

「月刊社会保険労務士」が「月刊社労士」にリニューアル

月刊社労士月刊社労士

全国社会保険労務士会連合会
(月刊)

全国社会保険労務士会連合会の機関誌である「月刊社会保険労務士」が、本年1月号から「月刊社労士」にタイトルを改めたほか、装丁もB5縦書きからA4横書きへと大幅改定された。全国会の会報といえば、これまでは「つまらない」「メリハリがない」「読みにくい」というのが専らの評価で、当BLOG管理人も一瞥したら即座にゴミ箱に捨てるのが毎月の恒例であった。広報誌としての評判は東京都会の会報に大きく水をあけられていたが、今月号を読んだ限りでは、読み易さはかなり向上しているように感じた。さてこれからの巻き返しがなるかどうか、今後に注目したい。

ちなみに、旧「月刊社会保険労務士」の装丁はこんな感じ↓
 monthly-shakaihokenroumushi.jpg

<関連エントリ>
The企業年金BLOG(2011/1/26): 「東京都社会保険労務士会会報」



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2011年01月18日

「年金を選択する ― 参加インセンティブから考える」

「制度への参加」を唱えた新たな年金議論 各論と結論のチグハグさが唯一の瑕(きず)

年金を選択する ― 参加インセンティブから考える年金を選択する ― 参加インセンティブから考える
駒村 康平 (編著)

慶應義塾大学出版会 2009-05
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全労済協会の調査研究活動「参加インセンティブから考える公的年金制度のあり方研究会」での研究成果をまとめた一冊。従来の年金議論の主要トピックである「基礎年金と生活保護の関係」「世代間の公平性」「就業形態の多様化への対応」等に加え、「情報通知」「制度への参加」という新たな切り口を提供している。とりわけ後者は、年金制度の加入者の参加意識・当時者意識を促す点では積極的労働市場政策の流れを汲んでおり、良い意味で労働団体ならではのオリジナリティを打ち出している。この他にも「私的年金の充実」など、各論では先鋭的な議論が交わされている。

ところが、結論になると、唐突に民主党の年金改革案を持ち出してこれを支持するという不可解な展開を見せている。巻頭にて「税方式は年金空洞化の特効薬に非ず」(p.6)「年金制度を事前積立化あるいは個人勘定化すれば世代間の公平が確保されるという単純な構図は成立しない」(p.27)などと一刀両断しているにも関わらず、この各論と結論のチグハグさは理解に苦しむところ。おそらく連合あたりの意向が多分に入り込んでいるのだろうが、委員会の研究者達は、この不整合をどう考えているのだろうか。。。

なお、本書刊行後、本研究会主査を務めた駒村康平教授が厚生労働省顧問に就任したほか、委員2名(中嶋氏山田氏)が厚生労働省の年金調査員に任命されるなど、本研究会に携わった者が相次いで年金政策の中枢に据えられている。そのせいか、一部では本書を「民主党政権化における年金政策の『よげんの書』」と呼んでいるとかいないとか・・・(汗)



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2011年01月13日

数理計算すら不可能なものを「具体案」とは呼ばない

記者の目:手つかずの民主党年金改革案=吉田啓志(政治部) (毎日jp)
◇白紙に戻し、超党派協議始めよ
(抜粋)しかし政権獲得後、政府・民主党は公約を放置し、「抜本改革を予定しているから」と、低年金対策、官民格差解消など早急に取り組むべき課題に一切手をつけていない。民主党案が具体化しない最大の理由は、実現性が極めて乏しい点にある。(中略)「他党と胸襟を開いて議論できる場を作る」。10日、菅首相は政府・与党社会保障改革検討本部の会合で、消費税増税を念頭に、税と社会保障に関する与野党協議の必要性を訴えた。それでも、野党は民主党の年金改革案が撤回されない限り乗れないだろう。メンツから自らの案にこだわって現行制度の欠陥を放置するなら、国民の年金不信は高まる一方だ。
(2010/12/24 毎日新聞)

新年金制度の公約撤回示唆 厚労相「協議が難しい」 (asahi.com)
菅直人首相が呼びかけている社会保障と税制の一体改革に関する与野党協議をめぐり、細川律夫厚生労働相は5日の閣議後会見で「新しい年金というマニフェストにこだわれば、協議そのものが難しい。マニフェストを前提とせずに話し合いを始めたらいい」と述べた。民主党がマニフェストで掲げる新年金制度の撤回を示唆したものだ。
(2011/1/5 朝日新聞)

年金をはじめ社会保障政策については、良く「超党派で議論すべし」と喧伝される。しかし、現在の民主党政権の姿勢からは、民主党のマニフェストや年金改革案の拙さを隠蔽するために与野党協議を逃げ口上にしている印象を強く感じる。いわば共犯に持ち込もうというものである。当BLOG管理人としては、野党に協議の場に乗ってもらうためには、ここは政府・与党の方からきちんとした具体案を出すのが筋ではないかと考える。

なお、ここでいう「きちんとした具体案」とは、当然ながら民主党のマニフェスト国家戦略室「新年金制度に関する検討会 中間まとめ」のような大雑把なものではない。具体案とは、企業年金のコンサルティングでいえば、明日には数理計算が可能なレベルまで制度概要を固めたものである。もっとも、企業年金の制度改定では、制度概要を固めただけでは十分ではなく、数理計算を行った上で具体的な掛金水準なり給付水準を示さないと協議すらままならない。そして、協議は超党派(労使)で行われるのが常である。
どうも今までの公的年金議論は、論者の主張や政策論ばかりが取り沙汰され、年金制度の実務的詳細に関する議論が蔑ろにされてきた節がある。たかが細部と侮るなかれ、制度の細部への知識と洞察こそが制度の実現可能性・持続可能性を高めると言っても過言ではない。公的年金制度の危機が叫ばれて早20年、論点はもはや出尽くした感がある。超党派による協議が実現するのであれば、政策論の繰り返しではなく具体論を論じていくべきである。


<関連エントリ>
The企業年金BLOG(2010/11/22): 「新年金制度に関する検討会 中間まとめ」のパブコメ結果の公表
The企業年金BLOG(2010/5/17): 5回目にしてようやく「実務家」のお出ましか



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2011年01月11日

イベント開催告知 2011年新春

年始の慌しさにかまけて、更新を怠っておりました m(__)m
つうことで、新年一発目はイベント告知をば。


2011年1月18日(火)開催
NPO法人 確定拠出年金教育協会
「DCファンド教育アカデミー」
http://www.npo401k.org/seminar.html

2011年1月20日(木)開催
東京商工会議所
「必見! 中小企業の退職金制度」
http://event.tokyo-cci.or.jp/event_detail-28267.html

2011年1月25日(火)開催
商工会議所年金教育センター(主催:TIMコンサルティング)
「知っておきたい、退職者、年金受給者、再雇用者の税金と確定申告!」
http://www.tim-con.com/study1.html#1220-2

2011年1月27日(木)開催
IICパートナーズ
企業年金セミナー「IFRS時代の退職給付マネジメントを考える」
http://www.iicp.co.jp/information/index.html
http://www.iicp.co.jp/seminar/upload_docs/seminar_20110127.pdf

2011年1月30日(日)、2月19日(土)開催
DC協会
「基礎から学べる確定拠出年金セミナー」
http://www.nenkinnet.co.jp/dc/5_semina.html

2011年2月5日(火)開催
DC協会 東日本支部会
「適年廃止後の企業年金を考える」
http://www.nenkinnet.co.jp/dc/5_semina.html

2011年2月9日(水)開催
NPO法人 金融・年金問題教育普及ネットワーク
第17回テーマ別企業年金研究会「労働組合は確定拠出年金にどう対応すべきか」
http://kinyunenkin.jp/07event.htm

2011年2月22日(火)開催
日本生産性本部
「IFRS(国際会計基準)導入と退職金・年金制度の課題セミナー」
http://seminar.jpc-net.jp/detail/esr/seminar005640.html

2011年2月24日(木)開催
IICパートナーズ
「IFRSと日本基準における退職給付会計改正の最新動向と実務対応のポイント」
http://www.iicp.co.jp/information/index.html
http://www.iicp.co.jp/seminar/upload_docs/seminar_20110224.pdf

2011年2月28日(月)開催
日本生産性本部
「退職金・退職年金の不利益変更のポイントセミナー」
http://seminar.jpc-net.jp/detail/esr/seminar005641.html



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