確定拠出年金「選択制」広がる (nikkei.com)
税や社会保険料 負担減
自分の決めた運用次第で老後の年金額が変わる確定拠出年金制度(日本版401k)が2001年秋に導入されてから、今年は10年目。導入企業の従業員のうち希望者だけが確定拠出型を選択する「選択制」が広がるなど、新しい動きも出ている。最新事情を交えて、個人の確定拠出年金の上手な活用法をまとめた。
(2010/1/23 日経朝刊)
本記事で取り上げられているいわゆる選択制確定拠出年金(選択制DC)は、資産運用環境が良好だった2003〜06年頃に最初のブームが到来した。しかし、
「無税で老後資金を積立できる!」程度のPRならまだ可愛かったものの、
「社会保険料が削減できる!」「所得税・住民税も節税できる!」など
社会保険料削減を過度に強調したPRが行政当局の逆鱗に触れて沈静化した経緯がある。
選択制DCのカラクリについては、
上記の記事に詳しく書かれているので、ここでは繰り返さない。しかし、給与をDC拠出金の分だけ減額するという手法は、当面の社会保険料は確かに減少するものの、それは将来の公的年金受取額の減少を意味する。すなわち、選択制DCの本質は
目先の保険料か将来の年金かという朝三暮四でしかない(健康保険料や税金は負担軽減されると言えなくもないが)。
ところで、実態としては両者とも大差無いにも関わらず、片方のメリットのみ強調するこの手の議論の誘導は、年金をはじめとした社会保障の議論においても散見される。例えばこんな感じ↓
<例1> 社会保険料の事業主負担の帰着問題社会保険料は労使折半を旨としているが、財界からは
「労使折半といっても、源泉はすべて企業の利益」、経済学者からは
「事業主負担はどうせ賃金に転嫁されるんだから、全額従業員負担とすべき!」との主張が良く為される。しかし、仮に100%従業員の賃金に転嫁されるとしても、賃金の出所は企業(事業主)であることを考えれば、この問題の本質は
事業主負担か従業員負担かという朝三暮四でしかない。
<例2> 増税するなら所得税か消費税か「消費税は低所得者に逆進的」という批判に対して、消費税論者からは
「生涯を通じて見れば、消費税と定率所得税の負担は同じ」「だから消費税を引上げるべき!」との主張が良く為される。しかし、両者とも負担が同一なのであれば、消費税でなくても定率所得税の引上げでも代替可能ということになってしまう。消費税と所得税の比較論において重要なのは、負担規模ではなく
その機能面(例:消費税は薄く広く負担、所得税は累進課税が可能)を論じるべきではないか。
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posted by tonny_管理人 at 01:28
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