2011年06月30日

適年の基準利率、最後の改定

財務省は本日6月30日、法人税法施行規則の一部を改正する省令を公布した(財務省令第30号)。これにより、法人税法施行規則附則第5条第4項で規定する適格退職年金(適年)の基準利率(下限予定利率)は、予定通り1.1%に変更された。施行は6月30日からである。
上記の省令改正は、例年ならば年度末(3月末)までに行われるのが通例だが、今年は政局混乱の余波を受けてか、例年より3ヶ月遅れの公布となった。基準利率改定の遅延といえば、3年前の2008年も暫定税率問題の余波を受けて公布が1月遅れたことがある。

なお、適年の基準利率は、それまで年5.5%(法令上は「年5.0%以上」だったが、国税庁の行政指導により一律5.5%で固定されていた)とされていた予定利率が1997年に自由化されて以降毎年改定されていたが、適年が来年3月で廃止(正確には税制優遇の停止)となることから、基準利率の改定は今回が最後となる。


<参考資料>
◆平成23年6月30日財務省令第30号「法人税法施行規則の一部を改正する省令」
 ・冒   頭(Web官報より抜粋、p.187) (pdfファイル)
 ・該当部分(Web官報より抜粋、p.188下段) (pdfファイル)
 ・附   則(Web官報より抜粋、p.248) (pdfファイル)
企業年金制度における各利率の設定基準(日本年金数理人会) (pdfファイル)

<関連エントリ>
The企業年金BLOG(2011/6/29): 消えゆく適格退職年金の名残を惜しむ
The企業年金BLOG(2011/3/30): 2011年度の企業年金の予定利率
The企業年金BLOG(2008/5/7): 適年の基準利率がようやく改定
The企業年金BLOG(2007/3/16): 企業年金の予定利率の算出根拠とは



 ←気が向いたら是非クリック願います

posted by tonny_管理人 at 23:30 | Comment(0) | TrackBack(0)
| データで見る企業年金 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年06月29日

消えゆく適格退職年金の名残を惜しむ

廃止(正確には税制優遇の停止)までいよいよ残り1年を切った適格退職年金(適年)。移行対応をまだ済ませていない企業が残存している一方、業界内では適年の存在感が徐々に廃れつつあるのもまた事実。今回は、そんな滅び行くものへのオマージュをしたためてみる。


◆企業年金の受託概況(平成23年3月末現在)
信託協会生命保険協会JA共済連の三業態における給付建て企業年金の受託概況は毎年5月下旬に公表されているが、適格退職年金の概況が掲載されるのは今年が最後である。4年前には38,885件あったものが本年3月時点では僅か8,051件にまで減少している様は、見る者の哀愁を誘う。。。

◆アクチュアリー試験 平成23年度資格試験情報 (日本アクチュアリー会)
アクチュアリー試験は理系の最難関資格とされているが、2次試験は数学というよりも法令・通達および実務を問う内容が中心である。2次試験は「生保」「損保」「年金」のいずれかのコースの選択制となっているが、年金コースの科目「年金1」では、従来は適格退職年金に関する法令・通達等が出題範囲に盛り込まれていた。
ところが、このたび公表された今年度(平成23年度)の試験要綱を見ると、何と「年金1」の出題範囲から適格退職年金に関する項目が消えていることが判明した。受験生にとっては福音かもしれないが、一抹の寂しさは残る。。。

◆適格退職年金の基準利率
適格退職年金の予定利率(基準利率)の下限は「直近1年間に発行された10年国債の応募者利回りの平均」とされており、毎年3月下旬に財務省令の改正により提示されてきたが、今年に限っては改正省令が未だ発出されていない(注:下記追記を参照)あと1年で廃止となるから財政計算はもはや不要ということだろうか。。。

─────────────────────────

【2011.6.30追記】
上記の適格退職年金の基準利率ですが、本エントリを書いた翌日(6/30)に改正省令が公布・改定されました。
詳細はこちらをご参照願います。




 ←気が向いたら是非クリック願います

posted by tonny_管理人 at 23:57 | Comment(0) | TrackBack(0)
| 管理人の近況・雑感 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年06月28日

「基準」が無理なら「判例」はどうよ!?

OB年金、大量退職重く 減額申請増える公算 (nikkei.com)
退職者の年金を減額する企業が増えている。企業によるOB年金の減額申請は、NTTの減額申請が厚生労働省に却下されたのをきっかけにほぼ止まっていた。認可を判断する厚労省は「経営が著しく悪化していること」を承認基準とするが、黒字企業でもリストラを前提に減額を認める場合がある。企業の業績悪化などを背景に今後も減額申請は増える見込みだ。
(2011/6/24 日経朝刊 4面)

企業年金の給付減額の基準が不透明だとするいつもの日経の記事。今回は、淺沼組(1852)に加えて文化シャッター(5930)の事例を取り上げているが、相変わらず直近の決算の黒字だけを問題視して、過去数年間の業況悪化を無視する論理展開には疑問を覚える。この点については当BLOGでも以前に触れたので、ここでは繰り返さない。
百歩譲って、給付減額に係る基準の不透明さを問題提起したいのであれば、黒字にも関わらず給付減額が認められなかった事例としてNTT(9432)を引き合いに出すべきではない。NTTは記事中の他2社に比べると経営状態が良好過ぎるため、結果的に黒字企業は給付減額が認められなくてもやむを得まいとの印象を読者に与えてしまうからである。最高裁まで争われた事例がNTTしかないとはいえ、これは記事の構成に問題がある。

さて、当BLOG管理人にとってはどうでもいい話だが、それでも企業年金関係者の間には「給付減額について基準を示してくれ」という根強いニーズがあるのは確か。とはいえ、減額基準の明示が更なる給付減額を喚起するであろうことは想像に難くないことから、厚生労働省サイドとしては慎重な態度をとらざるを得まい。そこで、基準が無理ならせめて「判例」を開示するというのは如何だろうか。開示対象も、全面開示は無理にしても、少なくとも当事者(企業・従業員・受給者etc)には判断経緯を開示する必要があるだろう。給付減額事例の事後開示は、「事前規制から事後チェックへ」という規制緩和の流れにも沿ったものであるし、何より厚労省には社会保険審査会で培ったノウハウがある。あながち素っ頓狂な話ではないと思うのだが。。。

<参考>
◆NTT(9432)の2011年3月期決算短信はこちら
◆淺沼組(1852)の2011年3月期決算短信はこちら
◆文化シャッター(5930)の2011年3月期決算短信はこちら

<関連エントリ>
The企業年金BLOG(2010/10/13): 黒字といっても「質」は異なるのだが



 ←気が向いたら是非クリック願います

posted by tonny_管理人 at 23:58 | Comment(0) | TrackBack(0)
| 年金ニュース | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年06月22日

特別法人税の凍結延長が決定(3年ぶり6回目)

特別法人税(退職年金等積立金に対する法人税)の課税停止措置の延長規定が盛り込まれた租税特別措置法案(現下の厳しい経済情勢および雇用情勢に対応して税制の整備を図るための所得税法等の一部を改正する法律案)が今月10日に閣議決定・国会提出されたことは先日解説したとおりだが、本日6月22日、同法案が参議院にて可決・成立したことから、特別法人税の課税停止措置は2014年3月31日まで延長されることが確定した。なお、これまでの課税停止の延長措置の経緯は以下のとおりであり、今回めでたく(?)3年ぶり6回目の延長とあいなった(汗)。

◆特別法人税の課税の状況
 1957年4月1日〜1999年3月31日 課税
 1999年4月1日〜2001年3月31日 課税停止開始(2年間)
 2001年4月1日〜2003年3月31日 課税停止延長(2年間)
 2003年4月1日〜2005年3月31日 課税停止延長(2年間)
 2005年4月1日〜2008年3月31日 課税停止延長(3年間)
 2008年4月1日〜2011年3月31日 課税停止延長(3年間)
 2011年4月1日〜2014年3月31日 課税停止延長(3年間)
 ←new!


<関連エントリ>
The企業年金BLOG(2011/6/15): 特別法人税の課税停止措置、延長へ動き出す
The企業年金BLOG(2011/4/2): 特別法人税の課税停止の延長は6月まで?
The企業年金BLOG(2010/12/17): おやおや凍結延長ですか
The企業年金BLOG(2010/6/28): 特別法人税に関するQ&A



 ←気が向いたら是非クリック願います

posted by tonny_管理人 at 23:57 | Comment(0) | TrackBack(0)
| 制度・レポート解説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年06月21日

退職給付に係る国際会計基準(IAS19)の改訂

今月16日付で、退職給付に係る国際会計基準(IAS19)の最終基準(Final)が公表されたとの事。内容については正直どうでもいいのだが、久々に英語の練習がてら翻訳にチャレンジしてみる。出典は、国際会計基準審議会(IASB)のプレスリリース。


IASB introduces improvements to the accounting for post-employment benefits (IFRS.org / IASB)
The International Accounting Standards Board (IASB) announced today the completion of its project to improve the accounting for pensions and other post-employment benefits by issuing an amended version of IAS 19 Employee Benefits.
国際会計基準審議会(IASB)は、本日、IAS19「従業員給付」の改訂版の公表を以って、年金およびその他退職後給付に係る会計基準改定プロジェクトを完了したと発表した。

The amendments make important improvements by:
今般の改訂は、以下において重要な改善をもたらす:

・ eliminating an option to defer the recognition of gains and losses, known as the ‘corridor method’, improving comparability and faithfulness of presentation.
・ 収益および損失を遅延認識する選択肢(回廊方式など)を廃止し、情報開示の比較可能性および忠実性を高める。

・ streamlining the presentation of changes in assets and liabilities arising from defined benefit plans, including requiring remeasurements to be presented in other comprehensive income (OCI), thereby separating those changes from changes that many perceive to be the result of an entity’s day-to-day operations.
・ その他包括利益(OCI)を通した利益の再測定を含め、給付建て(DB)制度に係る資産および債務の変動の開示を合理化する。これにより、年金制度に係る損益変動と、企業の日々の事業活動に係る損益変動を区分する。

・ enhancing the disclosure requirements for defined benefit plans, providing better information about the characteristics of defined benefit plans and the risks that entities are exposed to through participation in those plans.
・ DB制度の特性およびDB制度を導入している企業が直面するリスクについてより質の高い情報を提供するため、DB制度の情報開示事項を強化する。

The amendments will provide investors and other users of financial statements with a much clearer picture of an entity’s obligations resulting from the provision of defined benefit plans and how those obligations will affect its financial position, financial performance and cash flow.
本改訂は、DB制度の導入により生ずる企業の債務およびそれらが企業の財政状況、財務実績およびキャッシュフローにどのような影響を与えるかについて、より鮮明な実態を投資家や他の財務諸表ユーザーに提供するだろう。

【中略】

The amended version of IAS 19 comes into effect for financial years beginning on or after 1 January 2013. Earlier application is permitted.
IAS19の改訂版は、2013年1月1日以後に始まる会計年度から適用される。早期適用も可。
 
(2011/6/16 IFRS Foundation / IASB) ※翻訳は当BLOG管理人による




 ←気が向いたら是非クリック願います

posted by tonny_管理人 at 22:40 | Comment(0) | TrackBack(0)
| 海外年金ニュース | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年06月15日

特別法人税の課税停止措置、延長へ動き出す

租税特別措置法案を閣議決定 衆院で審議入りへ (nikkei.com)
政府は10日の閣議で、2011年度税制改正法案のうち、6月末で期限切れとなる租税特別措置などを切り離した法案を決定した。直ちに国会に提出し、午後の衆院本会議で審議入りする。民主、自民、公明の3党が企業や国民生活の混乱を避けるため、22日までの会期中に成立させることで合意していた。与党は来週中の成立を目指す。
(2010/6/10 日経朝刊)

平成23年度税制改正大綱に盛り込まれた特別法人税(退職年金等積立金に対する法人税)の課税停止措置の2014年3月までの延長については、いわゆるつなぎ法案(国民生活等の混乱を回避するための租税特別措置法等の一部を改正する法律案)が可決・成立したことにより、暫定的に2011年6月30日まで延長されていることは先日解説したとおりである。
上記のニュースで報じられている租税特別措置法案(現下の厳しい経済情勢および雇用情勢に対応して税制の整備を図るための所得税法等の一部を改正する法律案)には、特別法人税の課税停止を規定している租税特別措置法(第68条の4)の改定も盛り込まれており、本法案が可決・成立すれば 2014年3月末までの特別法人税の課税停止が確定することとなる。

<参考資料>
適用期限が平成23年6月30日まで延長された租税特別措置 (財務省Webサイト)
租税現下の厳しい経済情勢および雇用情勢に対応して税制の整備を図るための所得税法等の一部を改正する法律案 (財務省Webサイト)
同法律案のうち特別法人税に係る条文 (財務省Webサイト)

<関連エントリ>
The企業年金BLOG(2011/4/2): 特別法人税の課税停止の延長は6月まで?
The企業年金BLOG(2010/12/17): おやおや凍結延長ですか
The企業年金BLOG(2010/6/28): 特別法人税に関するQ&A



 ←気が向いたら是非クリック願います

posted by tonny_管理人 at 23:56 | Comment(0) | TrackBack(0)
| 年金ニュース | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする