2011年08月31日

「IFRS保険契約」

保険の会計基準・監督基準に特化した一冊

IFRS保険契約IFRS保険契約
有限責任監査法人トーマツ
金融インダストリーグループ 編

清文社 2011-08
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IFRS(国際財務報告基準)のコンバージェンス(収斂)・アドプション(適用)を控え、IFRSに関する書籍は雨後のタケノコの如く巷に氾濫しているが、こと保険の会計基準に特化した書籍は現在のところ本書だけ。米国会計基準(US-GAAP)との比較など会計に関する記述が充実しているのは勿論だが、本書はさらに健全性規制(ソルベンシーU)についても、過去の経緯から国際動向までつぶさに盛り込んでいる。保険会計および保険監督に関するトピックをサラっと調べるのに重宝する一冊。






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2011年08月16日

公的年金決算からみる代行返上・離婚分割の動向(2010年度)

前回に引き続き、2010年度公的年金決算から企業年金(主に厚生年金基金)の動向を見ることとする。

厚生年金・国民年金の平成22年度収支決算の概要(厚生労働省) (pdfファイル)

上記資料の6ページおよび7ページには、年金特別会計(厚生年金勘定)の収支状況が掲載されている。歳入科目の中に「解散厚生年金基金等徴収金」とあるが、これは代行返上(過去返上)を行った厚生年金基金から徴収した最低責任準備金であり、いわゆる代行返上資産額のことを指す。返上金額および過去返上基金数の推移は以下のとおりである。2010年度は、過去返上基金数は8基金と増加したものの、返上額は93億円と前年度より大幅に減少している。これは、過去返上を行った8基金中7基金が、総資産に占める代行部分の比率が小さい(かつ資産規模も小さめな)単独連合型基金であるためと思われる。

  <年度>   <返上額>  <過去返上基金数>
 2003年度  3兆5364億円      203
 2004年度  5兆3855億円      438
 2005年度  3兆4568億円      121
 2006年度     6800億円       21
 2007年度     5552億円       20
 2008年度     3486億円        4
 2009年度     1905億円        6
 2010年度       93億円        8



また、離婚時の年金分割に伴う離婚分割移換金の動きを表す「厚生年金基金等徴収金」は46億円と、前年比4億円のマイナスとなっている。こちらも推移を以下にまとめてみた。

  <年度>  <厚生年金基金等徴収金>
 2007年度     0.17億円
 2008年度     30億円
 2009年度     50億円
 2010年度     46億円



<関連エントリ>
The企業年金BLOG(2007/8/13): 公的年金決算から見る代行返上の動向
The企業年金BLOG(2009/8/13): 08年度公的年金決算からみる代行返上・離婚分割の動向
The企業年金BLOG(2010/8/25): 09年度公的年金決算からみる代行返上・離婚分割の動向



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2011年08月15日

2010年度公的年金決算からみる最低責任準備金の利回り

今月10日に発表された公的年金の2010年度収支決算によると、厚生年金本体(年金特別会計:厚生年金勘定)の運用利回りは▲0.26%2年ぶりにマイナスに転じた。
厚生年金基金の代行部分の予定利率については、従来は一律5.5%という固定レートが用いられていたが、1999年10月以降は、厚生年金本体の運用利回り実績に準拠した利率を毎年洗い替えて用いることとされている。正式な数値は例年12月頃に厚労省より告示されるが、その根拠となる厚生年金の実績利回りは今回の決算発表に収録されているため、こちらを速報値に用いる業界人も多い。今回の発表により、2012年1〜12月(暦年ベース)の厚生年金基金の最低責任準備金(代行部分)に付利する利率も▲0.26%と告示される公算が大きい。
なお、厚年基金の最低責任準備金の算定に用いる利率は、上記のとおり厚生年金本体の実績利回りを基に決定されることから、最大1年9ヶ月の乖離(いわゆる「期ズレ」)が生じることが問題視されていたが、2009年度決算からは継続基準の財政検証および掛金計算において「調整金」を計上することにより期ズレを調整することが可能となっている。厚生年金本体の運用利回りおよび年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の修正総合収益率(市場運用分)の推移は以下のとおり。

 <年度>   <厚年> <GPIF(市場運用分)>
 1997年度   4.66%   7.15%
 1998年度   4.15%   2.80%
 1999年度   3.62%  10.94%
 2000年度   3.22%  ▲5.16%
 2001年度   1.99%  ▲2.48%
 2002年度   0.21%  ▲8.46%
 2003年度   4.91%  12.48%
 2004年度   2.73%   4.60%
 2005年度   6.82%  14.37%
 2006年度   3.10%   4.75%
 2007年度 ▲3.54%  ▲6.41%
 2008年度 ▲6.83% ▲10.03%
 2009年度   7.54%   9.55%
 2010年度 ▲0.26%  ▲0.57%



<参考資料>
厚生年金・国民年金の平成22年度収支決算の概要 (厚生労働省)

<関連エントリ>
The企業年金BLOG(2006/12/14): 代行部分の予定利率は5.5%に非ず
The企業年金BLOG(2007/8/15): 公的年金決算から見る代行部分の予定利率の動向
The企業年金BLOG(2009/8/11): 08年度公的年金決算からみる代行部分の予定利率の動向
The企業年金BLOG(2010/8/24): 09年度公的年金決算からみる最低責任準備金の利回り



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2011年08月04日

年金確保支援法が成立 ─ 拡がる企業型年金と個人型年金の格差

年金確保支援法が成立 国民年金の追納期間延長 (nikkei.com)
国民年金の未納保険料を追納できる期間を現行の2年から10年に延長する年金確保支援法が4日の衆院本会議で成立した。保険料未納で無年金や低年金になってしまう人を3年間の時限措置で救済する。企業型確定拠出年金の拡充策も盛り込み、2012年1月から従業員個人が掛け金を拠出できるようにする。
(2011/8/4 NIKKEI.COM)

企業年金関係者にとって、年金支援確保法(国民年金及び企業年金等による高齢期における所得の確保を支援するための国民年金法等の一部を改正する法律)と聞いて真っ先に頭に思い浮べるのは、確定拠出年金(DC)におけるマッチング拠出の導入であろう。マッチング拠出は、当初は「企業年金制度等の整備を図るための確定拠出年金法等の一部を改正する法律案」(2007年3月6日提出)に盛り込まれたものの、肝心の法案審議がなかなか進展せず数年が経過し、昨年にはとうとう年金確保支援法(2010年3月5日提出)として他の改正事項と一緒くたにされて提出されるなど、波乱の経緯を辿ってきたところ。
当BLOG管理人は、日本におけるマッチング拠出の導入にはかねてより疑問を呈してきた。最大の問題は、企業型DC加入者のみが対象であり個人型DC加入者が半ば冷遇されている点にある。同じDCなのに、企業型と個人型でここまで格差を付ける合理的な理由があるのか!? という割り切れなさは残るが、飯のタネの拡大に余念がないヘッポコ運管や単細胞FPには馬の耳に念仏か(汗)。

なお、年金確保支援法には、上記以外にも企業年金に関する様々な制度改正が手当てされている(このため当BLOG管理人も最近は多忙を極めており、BLOG更新の余裕がない)。詳細は追って触れることとしたい。


<関連エントリ>
The企業年金BLOG(2010/6/3): マッチング拠出よりも個人型DCへの拠出解禁を!
The企業年金BLOG(2009/11/30): 進展ゼロなのに1面掲載ですかそうですか
The企業年金BLOG(2009/6/9): 頭を冷やす良い機会かと
The企業年金BLOG(2009/3/21): マッチング拠出の支持率はたった6割弱!?
The企業年金BLOG(2009/2/10): マッチング拠出など砂上の楼閣!?
The企業年金BLOG(2007/12/15): 単なる「金持ち優遇税制」要望は通用しない
The企業年金BLOG(2007/1/11): 「中途引出し緩和」より「ポータビリティの充実」を



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