2011年12月22日

事業主が存在しない閉鎖適年の税制優遇措置の継続

先のエントリ閉鎖適年について触れたので、今月10日に閣議決定された「平成24年度税制改正大綱」についても触れておこう。
厚生労働省からの税制改正要望では、企業年金に関連する事項として、(1)事業主が存在しない等の理由によって企業年金等に移行できない適格退職年金に関する税制優遇措置の継続、(2)公的年金等所得の所得区分上の見直し(「年金所得」の創設)、(3)年金受給者の税負担(老年者控除の復活)の3点について改正要望に挙げられていたが、今般の税制改正大綱において取り上げられたのは(1)のみとなった。
具体的には、平成24年3月31日をもって廃止される適格退職年金に関して、いわゆる閉鎖型適格退職年金(受給者のみで構成される適格退職年金)のうち、事業主が存在しないものおよび厚生年金保険未適用事業所の事業主が締結している契約について、現行の適格退職年金に係る税制上の優遇措置(公的年金等控除の適用etc)を継続適用することとされた。この措置が適用されるポイントは、以下の2点である。

1.事業主が存在しないこと(or厚生年金保険未適用事業所であること)
適格退職年金の解約・廃止は事業主の意思により任意に可能だが、逆に言えば、事業主が存在しない制度は解約しようがないことを意味する。また、適年移行の受け皿である確定給付企業年金厚生年金基金などは厚生年金保険の適用事業所でなければ設立・加入が不可能であるため、未適用事業所には移行先の選択肢が存在しない(公的年金たる厚生年金保険に加入しない企業は、企業年金の税制優遇を享受できないことを意味する)。

2.閉鎖型(受給者しかいない)制度であること
今般の特例措置が閉鎖型制度のみに適用されるのは、受給者保護の観点も然ることながら、本措置を永続的なものにしないためでもある。年金受給者は、年金支給期間が満了すれば自ずと制度の対象外となるため、いずれは年金受給者がゼロ=制度終了となる。ここでいう年金支給期間の満了とは、確定年金であれば支給期間を終えたとき、終身年金であれば受給者が死亡したときを意味する。なお、適格退職年金は終身年金よりも有期年金・確定年金の割合が高いことを申し添えておく。


<参考資料>
平成24年度税制改正大綱 (内閣府:税制調査会)
平成24年度厚生労働省税制改正要望について (厚生労働省)

<関連エントリ>
The企業年金BLOG(2011/2/22): 簡素化といっても「受託保証型確定給付企業年金」の話だけどね
The企業年金BLOG(2011/1/31): 簡素化と言っても「閉鎖適年」の話だけどね



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2011年12月21日

2011年9月末時点の適格退職年金は3,424件

今週に入り、厚生労働省ホームページ内の適格退職年金制度の動向コーナーがひっそりと更新され、適格退職年金は2011年9月末時点で契約件数3,424件、加入者数52万人であることが公表された。2011年3月末時点では契約件数8,051件、加入者数126万人だったことから、この半年間で契約件数・加入者数ともに半分以上減少した計算となる。なお、上記とは別に、閉鎖適年も2011年9月末時点で3,227件(受給者数:約3.36万人)存在している。
最後に、適年移行が始まった2002年以降の適年の推移は、以下のとおりである。

  <年月> <件数> <減少数>
  2002.3  73,582   ──
  2003.3  66,741 (▲6,841) 
  2004.3  59,162 (▲7,579) 
  2005.3  52,761 (▲6,401) 
  2006.3  45,090 (▲7,671) 
  2007.3  38,885 (▲6,205) 
  2008.3  32,826 (▲6,059) 
  2009.3  25,441 (▲7,385) 
  2010.3  17,184 (▲8,257) 
  2011.3   8,051 (▲9,133)
  2011.9   3,424 (▲4,627) ※半期ベース
  (注)遡及修正されているため、公表時の数値とは必ずしも一致しない。



<参考資料>
適格退職年金制度の動向 (厚生労働省)
適格退職年金契約関係 (国税庁)
適格退職年金移行支援 (企業年金連合会)

<関連エントリ>
The企業年金BLOG(2011/5/25): 企業年金の受託概況(2011年3月末)
The企業年金BLOG(2011/1/31): 簡素化と言っても「閉鎖適年」の話だけどね



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2011年12月20日

2012年の最低責任準備金の利回り

厚生労働省は12月20日、厚生年金基金の最低責任準備金の算定に用いる2012年の利率をマイナス0.26%と告示した(厚生労働省告示第455号)。最低責任準備金に付与する利率は、厚生年金本体の実績に基づき設定されることとなっており、今回の利率は、2010年度における年金特別会計の厚生年金勘定にかかる積立金の運用実績に基づき定められたもの。なお、特例解散における最低責任準備金の分割納付に用いる利率も同日付で0%と告示された(厚生労働省告示第456号)。

厚生年金基金の代行部分の予定利率については、1999年9月までは一律5.5%という固定利率だったものの、1999年10月以降は、厚生年金本体の運用実績に準拠した変動利率を用いている。2012年の利率がマイナス0.26%となるであろうことは当BLOGでも既に報告済みである。このとき、厚年基金の最低責任準備金の算定に用いる利率と厚生年金本体の実績利回りには最大1年9ヶ月の乖離(いわゆる「期ズレ」)が生じることが問題視されていたが、2009年度決算からは継続基準の財政検証および掛金計算において「調整金」を計上することにより期ズレを調整することが可能となっているため、本告示の重要性はかつてほどではない。
最後に、1999年10月以降の付利利率の推移は以下のとおりである。


 <暦年>  <利率>
 1999年   4.66% ※10〜12月のみ
 2000年   4.15%
 2001年   3.62%
 2002年   3.22%
 2003年   1.99%
 2004年   0.21%
 2005年   4.91%
 2006年   2.73%
 2007年   6.82%
 2008年   3.10%
 2009年 ▲3.54%
 2010年 ▲6.83%
 2011年   7.54%
 2012年 ▲0.26%



<関連エントリ>
The企業年金BLOG(2011/8/15): 公的年金決算からみる最低責任準備金の利回り(2010年度)
The企業年金BLOG(2009/10/1): 10月1日は「転がし計算の日」に決まってるだろ
The企業年金BLOG(2006/12/14): 代行部分の予定利率は5.5%に非ず



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