2012年01月31日

DBの財政運営ルール改正に伴う省令の公布

本日(1月31日)、確定給付企業年金法施行規則の一部を改正する省令が公布された。これは、昨年7月14日および10月6日にパブリックコメントで意見募集された財政運営ルールの改正に関するものである。省令に規定されている主な内容は以下の通り。

 1.過去勤務債務の償却方法の見直し(段階的引上げ償却の追加)
 2.脱退一時金における一時金換算率の要件緩和
 3.選択一時金における一時金換算率の要件緩和
 4.非継続基準の見直し
  ・最低積立基準額の積立要件を、5年かけて90%から100%に引上げる
  ・回復計画による方法は5年の経過措置を設けて廃止
  ・数理上資産額の使用を止め、時価ベースの純資産額に再び一本化

 5.掛金引上げ猶予措置
  ・掛金引上げを要する場合でも、平成25年4月1日まで掛金引上げを猶予可
   (ただし猶予後の掛金引上げを規約に定めることが条件)

 6.申請書類の簡素化等

なお、上記省令の公布を受けて、厚生年金基金および確定給付企業年金の財政運営ルールの改正等に係る関連通知も本日付で発出される予定であったが、翌日に持ち越しとなった模様(汗)。


<参考資料>
確定給付企業年金法施行規則の一部を改正する省令
 (平成24年1月31日厚生労働省令第13号)

<関連エントリ>
The企業年金BLOG(2011/11/16): 財政運営基準等改正に係る追加パブコメの結果公表
The企業年金BLOG(2011/10/17): 財政運営基準等改正に係る追加のパブコメ募集
The企業年金BLOG(2011/7/14): 財政運営基準の改正に係るパブリックコメント募集開始






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2012年01月18日

「年金の基礎知識」2011〜2012年度版

資産運用・確定拠出年金・海外事情を得意とする年金資料集

年金の基礎知識(野村)年金の基礎知識 2011〜2012年度版
 (pdfファイル)

野村年金マネジメント研究会 2011-08

証券会社では珍しく企業年金にも力を入れている野村年金マネジメント研究会の手による年金資料集。公的年金および企業年金の制度・資産運用等に関するトピックが一問一答形式で解説されている。証券会社が刊行しただけあって、得意分野である資産運用や確定拠出年金のトピックが充実しているのは勿論だが、著名なアクチュアリー、コンサルタントおよび元官僚なども動員しているだけあって海外の年金事情も網羅している。今版では、ページ数が前版の197ページから240ページへと増加するなど、質量ともに飛躍を遂げている。
それにしても、平素は確定拠出年金万歳(マンセー)を唱えるしか能のない会社のくせに、何故にかくも高品質な資料集を著せるのか。個人的には年金業界の七不思議と言っても過言ではない(汗)。

※野村年金マネジメント研究会のサイトはこちら(会員制)

<関連エントリ>
The企業年金BLOG(2009/8/7): 「年金の基礎知識」2009〜2010年度版



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2012年01月16日

アクチュアリー数学シリーズ3「年金数理」

試験科目だけではない、学問としての年金数理の可能性

アクチュアリー数学シリーズ3「年金数理」年金数理 (アクチュアリー数学シリーズ)
田中 周二、 小野 正昭、 斧田 浩二

日本評論社 2011-12
売り上げランキング : 21,572
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大学教授と実務家のチームによる、試験対策と学術的アプローチの両立を目指した「アクチュアリー数学シリーズ」の第3弾。本書は、公的・企業年金制度の概要を解説した第T部、年金数理そのものを解説した第U部、そして、年金数理の新たな領域を扱った第V部の三部構成をとっているが。本書は何といっても各章末のコラム(BOX)および第V部が白眉であり、これだけでも星5つに値する。
コラムでは、およそ試験対策書とは思えない良質かつ骨太な年金論が展開されている。とりわけ「BOX1:厚生年金や国民年金はなぜ社会保険の仕組みをとっているのか?」「BOX7:年金財政の将来見通しにおける前提は甘いか?」は必読。また、第V部「年金数理の展開」では、年金数理および人口論の見地から分析した公的年金議論や、伝統的年金数理と金融経済学とのコラボレーションなど、試験科目としてだけではない新たな学術領域としての年金数理の可能性に触れることができる。

肝心の試験対策書としては、数式の表記が指定教科書とは微妙に異なるなど使い難い面はあるものの、類書に比べると演習問題がふんだんに収録されているなど、同じ著者グループによる前著「生保年金数理U」の反省が活かされていると言えよう。


<関連エントリ>
The企業年金BLOG(2011/4/14): 「年金アクチュアリーのための金融経済学ガイド」
The企業年金BLOG(2010/5/5): 「アクチュアリー数学入門」
The企業年金BLOG(2009/11/8): 「生保年金数理U」



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