今般の内容はAIJ被害基金における決算の特例措置および予定利率引下げ・給付減額にかかるものであり、後者は当然ながら有識者会議報告での議論を反映した改正となっている。なお、有識者会議では最低責任準備金のあり方についても議論されていたが、こちらは法令改正を伴うことから、社会保障審議会等での議論を経ての改正となる模様である。パブコメで提示された改正内容のうち、主要なものの概要は以下の通り。
1.AIJ投資顧問への投資残高の平成23年度決算における取扱い
(1)決算提出期限(9月末)までに確定しない場合: 現金を除き全損計上
投資残高が確定した年度の決算において収入として計上
(2)決算提出期限(9月末)までに確定した場合: 確定額を計上
決算手続き上特段の理由がある場合は、上記(1)と同様の処理も可
(平成23年度決算は全損、24年度決算で収入計上)
2.AIJ投資顧問への投資による損失額への掛金対応
(1)AIJの損失額に係る積立不足の償却期間を、最大20年から最大30年に延長
(2)特別掛金の段階引上げ償却では、引上げ期間を最大5年から最大10年に延長
3.有識者会議を受けた財政運営基準等の一部見直しについて
(1)予定利率の引下げを促進する措置
予定利率引下げによる積立不足の償却期間を、最大20年から最大30年に延長
(2)給付減額の手続の明確化・簡素化
@減額理由である「母体企業の経営悪化」および「掛金負担困難」を後者に一本化
A受給者減額時に希望者に対して支給する一時金について、複数の選択肢を設け
ることを認める。また、減額の対象を同意者のみとする場合は、当該一時金の
措置を講じないこととする。
B減額の選択肢を追加する規約変更であって、かつ、変更前後の総給付現価およ
び各加入者・受給者の最低積立基準額が下がらない場合、給付減額として取り
扱わないことを明示する。
<参考資料>
確定給付企業年金法施行規則及び関連通知並びに厚生年金基金関連通知の一部改正に関する御意見募集について (e-Gov)
<関連エントリ>
The企業年金BLOG(2012/7/18): 厚生年金基金の資産運用規制見直しに係るパブリックコメント募集開始
The企業年金BLOG(2012/6/30): 有識者会議が打止めとなったわけだが
