2012年07月31日

企業年金の財政運営ルール見直しに係るパブリックコメント募集開始

そういえば、先日パブコメ募集が開始された、厚生年金基金の資産運用規制の見直しに続き、今度は厚生年金基金および確定給付企業年金の財政運営ルールの見直しに係るパブコメ募集が7月27日より開始された模様。
今般の内容はAIJ被害基金における決算の特例措置および予定利率引下げ・給付減額にかかるものであり、後者は当然ながら有識者会議報告での議論を反映した改正となっている。なお、有識者会議では最低責任準備金のあり方についても議論されていたが、こちらは法令改正を伴うことから、社会保障審議会等での議論を経ての改正となる模様である。パブコメで提示された改正内容のうち、主要なものの概要は以下の通り。


1.AIJ投資顧問への投資残高の平成23年度決算における取扱い
(1)決算提出期限(9月末)までに確定しない場合: 現金を除き全損計上
   投資残高が確定した年度の決算において収入として計上
(2)決算提出期限(9月末)までに確定した場合: 確定額を計上
   決算手続き上特段の理由がある場合は、上記(1)と同様の処理も可
  (平成23年度決算は全損、24年度決算で収入計上)

2.AIJ投資顧問への投資による損失額への掛金対応
(1)AIJの損失額に係る積立不足の償却期間を、最大20年から最大30年に延長
(2)特別掛金の段階引上げ償却では、引上げ期間を最大5年から最大10年に延長

3.有識者会議を受けた財政運営基準等の一部見直しについて
(1)予定利率の引下げを促進する措置
  予定利率引下げによる積立不足の償却期間を、最大20年から最大30年に延長
(2)給付減額の手続の明確化・簡素化
  @減額理由である「母体企業の経営悪化」および「掛金負担困難」を後者に一本化
  A受給者減額時に希望者に対して支給する一時金について、複数の選択肢を設け
   ることを認める。また、減額の対象を同意者のみとする場合は、当該一時金の
   措置を講じないこととする。
  B減額の選択肢を追加する規約変更であって、かつ、変更前後の総給付現価およ
   び各加入者・受給者の最低積立基準額が下がらない場合、給付減額として取り
   扱わないことを明示する。


<参考資料>
確定給付企業年金法施行規則及び関連通知並びに厚生年金基金関連通知の一部改正に関する御意見募集について (e-Gov)

<関連エントリ>
The企業年金BLOG(2012/7/18): 厚生年金基金の資産運用規制見直しに係るパブリックコメント募集開始
The企業年金BLOG(2012/6/30): 有識者会議が打止めとなったわけだが






 ←気が向いたら是非クリック願います

posted by tonny_管理人 at 23:51 | Comment(0) | TrackBack(0)
| 制度・レポート解説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年07月18日

厚生年金基金の資産運用規制見直しに係るパブリックコメント募集開始

そういえば、先日報告書が公表された「厚生年金基金等に関する資産運用・財政運営に関する有識者会議」での議論を踏まえ、厚生年金基金の資産運用規制の見直しに係るパブリックコメントが、7月13日より開始された模様。
資産運用規制における注目点といえば、先般のAIJ事件の発覚を受けて「1運用受託機関当たり●●%」といった上限が設けられるか否かにあったが、改正案を見た限りでは、「集中投資に関する方針」の策定が義務付けられているものの合理的理由があれば例外も認められるなど、現行の実務慣行におおむね配慮した内容となっている模様。パブコメで提示された改正内容のうち、主要なものの概要は以下の通り。


1.政策的資産構成割合
 政策アセット・ミクス(政策的資産構成割合)の策定義務化(現在は努力義務)
2.運用の基本方針
(1)運用基本方針の届出義務化(現在は届出不要)
(2)「集中投資に関する基本方針」の策定義務化
(3)オルタナティブ投資を行う場合の留意事項
  ・投資目的および投資割合等を運用基本方針に明記
  ・運用受託機関の選任にあたっての留意事項の明記
  ・運用商品の選定にあたっての確認事項の明記
3.運用の委託
(1)運用受託機関の選任におけるヒアリング対象の追加
(2)運用受託機関の評価における定量評価および定性評価項目の追加
4.運用コンサルタント等の利用
(1)運用コンサルタントは、金融商品取引法上の投資助言・代理業の登録者に限定
(2)運用コンサルタントと運用受託機関との契約関係の有無の確認義務化
5.研修等
 管理運用業務に携わる者の資産運用に係る研修の受講義務化
6.理事等の禁止行為
 基金役職員に対する、国家公務員倫理規程に準拠した倫理規程の制定義務化
7.資産運用委員会
(1)資産運用委員会の構成員への、金融・経済に関する学識経験者等の追加
(2)資産運用委員会の議事の「記録・保存」「代議員会への報告」「加入員等への周知」
  の義務化
8.その他
(1)「運用受託機関の選任・評価」「役職員の研修受講状況」等の代議員会への報告
  義務化
(2)「資産運用委員会の議事」の加入員および事業主への情報開示義務化


<参考資料>
『厚生年金基金規則及び「厚生年金基金の資産運用関係者の役割及び責任に関するガイドラインについて(通知)」等の一部改正について』に関する御意見募集について (e-Gov)

<関連エントリ>
The企業年金BLOG(2012/6/30): 有識者会議が打止めとなったわけだが



 ←気が向いたら是非クリック願います

posted by tonny_管理人 at 00:15 | Comment(0) | TrackBack(0)
| 制度・レポート解説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする