2014年12月04日

「説得力ある提言」のために必要なものとは

すべての国民が使える「確定拠出年金制度」を求める民間有識者会議
【新たな個人型確定拠出年金の導入に関する提言】(2014/12/1)
(中略)現役世代の資産形成を様々な立場から支援する個人の集まりである、“すべての国民が使える「確定拠出年金制度」を求める民間有識者会議”はこの制度を「より多くの人が使える、よりわかりやすい制度」へと改善し、どのような職業やライフスタイルを選択しても、長期的に、継続的に資産形成を行うことを可能とするべく、下記の通りの制度改正を提言します。(後略)

主に資産運用業界・投資信託業界の有識者で構成される「すべての国民が使える『確定拠出年金制度』を求める民間有識者会議」による確定拠出年金(DC)制度への提言。これまでのDCに係る政策提言といえば、
 ・とにかく拠出限度額引上げ(or撤廃)を主張する税制優遇クレクレ系
 ・401(k)など外国の制度を至上とする舶来礼賛「欧米か!?」系
 ・投資教育・投資アドバイスの充実で手数料稼ぎを狙う我田引水・牽強付会系

──のいずれかばかりで、耳目に堪えないものが殆どであった。

さて今回の提言だが、詳細はリンク先を見てもらうとして、興味深いのは、この手の話題で良く要望される「拠出限度額の引上げ」「中途引出し要件の緩和」等には目もくれていない点。当BLOG管理人がとりわけ興味を抱いたのは、提言の3番目。
3) わかりやすく、かつ制度への参加意欲を引き上げるため、拠出額を所得控除の対象とする非課税制度は廃止し、政府が個人の拠出額に上乗せ拠出する制度(政府マッチング拠出と呼ぶ)を新たに創設する。具体的には、政府は、個人の拠出額の15%にあたる額を上乗せして拠出するが、現状の個人型確定拠出年金ならびに企業型確定拠出年金の個人拠出分に認められている、拠出額を所得控除対象とすることを停止する。

確かに、掛金の所得控除は拠出余力が大きい富裕層ほど税制優遇の恩恵を受けるというパラドックスを抱えるため、常に「高所得者優遇」という批判が付きまとう。今回の提言は、高所得者優遇批判に対する一つの回答と言えよう。
この他にも、「全国民を加入対象とする」「拠出限度額を全国民一律とする」など、旧来の類似の提言に比べると、業界エゴととられないための配慮が格別になされているように感じる。

しかし、それだけに、提言6点目の「有価証券による運用に対してのみ適用する」という主張には、強い違和感を覚える。こんなこと書いてしまうと、
 なんだ、所詮は運用手数料目当てか (´Д` )

ととられてしまい、他の提言もろとも矮小化されるのが関の山だろうに(汗)。
「あえて預貯金で置いておく」のも立派な資産運用であり、その選択肢を奪うべきではないと当BLOG管理人は思うのだが・・・

この手の提言は、ともすると我田引水、牽強付会ととられがちだ。そうした恣意性を廃し、単なる陳情から一皮剥けた説得力のある提言を行うためには、エゴイズムを排除した「目線の高さ」が必要である。今般の民間有識者会議のメンバーの面々は、資産運用分野においては紛れもなく有識者なのだろうが、この辺の感覚と言うか、資産運用に対する有識者(殿上人)と一般人(下界)との認識のズレをきちんと踏まえないと、せっかくの提言に耳を傾けてもらえないのではないか。とはいえ、旧来の業界人による提言に比べると、格段に格調高いものとなっているのは事実。今後に期待したい。

余談だが、上記の提言を無批判に賞賛するヘッポコFPどもの数の多さをFacebookやTwitter等で見るにつけ、わが国の資産運用業界・FP業界の成熟化は道半ばであることをまざまざと感じた次第(汗)。


<関連エントリ>
The企業年金BLOG(2011/8/4): 年金確保支援法が成立 ─ 拡がる企業型年金と個人型年金の格差
The企業年金BLOG(2010/10/2): 2年目で早くも寂れつつある「確定拠出年金の日」
The企業年金BLOG(2010/6/3): マッチング拠出よりも個人型DCへの拠出解禁を!
The企業年金BLOG(2009/6/9): 頭を冷やす良い機会かと
The企業年金BLOG(2007/12/15): 単なる「金持ち優遇税制」要望は通用しない




 ←気が向いたら是非クリック願います

posted by tonny_管理人 at 02:34 | Comment(0) | TrackBack(0)
| 管理人の近況・雑感 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする