2015年04月30日

厚生年金基金の実質的廃止措置の施行から早1年

厚生年金基金制度の実質的廃止措置を盛り込んだ改正厚生年金保険法(正式名称:公的年金制度の健全性及び信頼性の確保のための厚生年金保険法等の一部を改正する法律)が2014年4月に施行されて早1年。その間、厚生年金基金はどのような選択(存続or廃止or他制度への移行)を行ってきたのだろうか? 改正法施行後の厚生年金基金の解散・代行返上の状況については、実は、厚生労働省ホームページでひっそりと公表(月次更新)されている。

まず、厚生年金基金の解散・代行返上数は、以下の通り。
◆解散・代行返上の状況(2014年度)
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2014年度に解散した基金数は74件で、うち特例解散措置を利用した基金は28件と全体の4割弱に留まった。ここ数年間の資産運用環境の好転を受けて基金財政が回復し、特例解散措置の利用条件である「代行割れ」状態を脱した基金が増加したことが要因と考えられる。

次に、解散方針または代行返上方針の決定状況は、以下の通り。
◆解散または代行返上の方針内諾済基金数(2014年度)
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施行当初(2014年4月)の段階では、解散も代行返上も選択しない「方針未定」の基金が半数を占めていたが、時間の経過とともに方針を決定する基金が増加し、2015年3月末時点では、解散方針が280件(全体の63%)、代行返上が103件(同23%)、未定が61件(14%)となっている。

改正法の施行当初は、殆どの基金が解散・清算を選択するものと目されていたが、ここにきて、代行返上を選択する基金が増加していることは特筆に値する。代行返上は全ての加入事業所が揃って確定給付企業年金(DB)へ移行することを前提としており、総合設立基金ではハードルが高いとされている。また、解散を選択した基金には、確定拠出年金への移行」を選択した基金や、「清算後にDBを新規設立」する基金も一定程度含まれている。単に制度を廃止するよりも、他制度への移行による生き残りを模索している基金関係者は思いのほか多い。
こうした基金関係者の動きを、「自身の雇用(既得権益)を守るための私利私欲」とみるか「中小企業の老後所得保障を守るための使命感」とみるかは、人によって様々だろう。当BLOG管理人は、例え動機が不純であったとしても、また運用環境の好転という追い風に便乗したものであったとしても、その行為が結果的に社会に便益をもたらすのであれば、それはそれで意義があるのではないかと考える。


※参考資料
厚生年金基金の解散・代行返上の状況(厚生労働省) (pdfファイル)

<関連エントリ>
The企業年金BLOG(2014/3/26): 政省令・告示・通知がようやく出たわけだが
The企業年金BLOG(2013/11/6): 歴史ある制度を葬るなら万全を期するべし!
The企業年金BLOG(2013/6/19): 厚生年金基金の改正法案が可決したわけだが



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posted by tonny_管理人 at 23:58 | Comment(0) | TrackBack(0)
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