2015年12月31日

そういえばBLOG開設10周年だった

2005年11月、経済シンクタンクに出向中だった時に暇に飽かせて開設したこのBLOGも、気づけば早10年が経過した次第。

当時は、企業年金に関する情報がweb上には殆ど無かった時代。ごく少数の有益なサイトへのリンク集&備忘録が当初の目的だった当BLOGだが、気がつけば、企業年金をめぐるトンチンカンな報道に対する反論と毒を撒き散らす場となってしまったのはご愛嬌(汗)。

当BLOG開設からの10年間を振り返ると、企業年金を取り巻く情勢は、運用益過去最大→リーマンショック→AIJ事件→厚生年金基金縮小→アベノミクスで運用益回復、とジェットコースターばりの変動だった。また、当BLOG管理人自身も出向・転職など10年前には予想だにしなかった展開を経ている。

近年は本業が多忙を極めており、またリアルでの執筆・講演の機会も増えたことから更新も滞りがちな当BLOGだが、引き続きご愛顧のほど宜しくお願い申し上げます。






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2015年12月23日

「リスク分担型DB」に関する独断と偏見

会社が運用・給付変動の新年金制度 16年度にも  (日本経済新聞 電子版)
企業が運用し、運用成績次第で加入者が受け取る年金額が変わる第3の企業年金制度の内容が9日、固まった。企業が20年に1度程度の運用損失に備えて特別な掛け金を出すように義務付ける一方、リーマン・ショックのような経済危機などで年金財政が想定外に大幅悪化した場合には給付額を減らす。リスクを労使で分け合う仕組みだ。将来の公的年金の目減りが避けられないなか、選択肢を増やして企業年金を維持しやすくする。
(2015/12/10 日経朝刊 1面)

本年6月公表の日本再興戦略改訂2015に盛り込まれたことを受けて、9月16日の第16回社会保障審議会企業年金部会で急遽検討・了承され、首尾よく2016年4月から施行可能とあいなった新ハイブリッド型年金制度(リスク分担型DB)。新しモノ好きの日経新聞なんぞは「第3の企業年金」だのと発泡酒の飲み過ぎとしか思えない見出しで煽っているが、所詮は給付建て(確定給付型:DB)と掛金建て(確定拠出型:DC)の混合あるいは組合せに過ぎない。ハイブリッド型年金制度は、DBとDCの利点を組合せて一つの制度にしようとするものであるが、DBとDCを組合せたからといって、双方のデメリット「だけ」が消失するわけではないことに留意が必要である。

さて、来年度(2016年度)より実施可能となるリスク分担型DBだが、法令上はDBにおける給付設計の一形態として制定されるが、運用実績に連動して給付が増減する点や(下図参照)、退職給付債務(PBO)の認識が不要となる点では、DCに近い性質を有していると言える。
20151223hybrid2.jpg


よって、本制度を導入するか否かの価値判断は、この制度を「DBとして見るか」あるいは「DCとして見るか」によって異なってくる。当BLOG管理人の独断と偏見でまとめると、以下の通り。

◆DBとしてみた場合・・・
 ・退職給付債務(PBO)の認識が不要なDB
 ・給付が変動する退職給付信託
◆DCとしてみた場合・・・
 ・個人勘定を持たないDC
 ・投資教育が不要なDC
 ・中途退職しても一時金が貰えるDC
 ・運用商品数に制約が課されないDC ※改正DC法案が可決・成立した場合

こうして見ると、リスク分担型DBは、DBのデメリットよりもDCのデメリットが数多く解消される制度であることがわかる。今春に国会提出された改正DC法案では、ポータビリティの拡充策として「DCからDBへの移行解禁」も盛り込まれており、ひょっとすると、既存DBからの移行よりも既存DCからの移行による導入が相次ぐかもしれない。



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