会社が運用・給付変動の新年金制度 16年度にも (日本経済新聞 電子版)
企業が運用し、運用成績次第で加入者が受け取る年金額が変わる第3の企業年金制度の内容が9日、固まった。企業が20年に1度程度の運用損失に備えて特別な掛け金を出すように義務付ける一方、リーマン・ショックのような経済危機などで年金財政が想定外に大幅悪化した場合には給付額を減らす。リスクを労使で分け合う仕組みだ。将来の公的年金の目減りが避けられないなか、選択肢を増やして企業年金を維持しやすくする。
(2015/12/10 日経朝刊 1面)
本年6月公表の
日本再興戦略改訂2015に盛り込まれたことを受けて、9月16日の
第16回社会保障審議会企業年金部会で急遽検討・了承され、首尾よく2016年4月から施行可能とあいなった新ハイブリッド型年金制度
(リスク分担型DB)。新しモノ好きの日経新聞なんぞは
「第3の企業年金」だのと
発泡酒の飲み過ぎとしか思えない見出しで煽っているが、所詮は
給付建て(確定給付型:DB)と掛金建て(確定拠出型:DC)の混合あるいは組合せに過ぎない。ハイブリッド型年金制度は、DBとDCの利点を組合せて一つの制度にしようとするものであるが、DBとDCを組合せたからといって、双方の
デメリット「だけ」が消失するわけではないことに留意が必要である。
さて、来年度(2016年度)より実施可能となる
リスク分担型DBだが、法令上はDBにおける給付設計の一形態として制定されるが、運用実績に連動して給付が増減する点や(下図参照)、
退職給付債務(PBO)の認識が不要となる点では、DCに近い性質を有していると言える。
よって、本制度を導入するか否かの価値判断は、この制度を
「DBとして見るか」あるいは
「DCとして見るか」によって異なってくる。当BLOG管理人の独断と偏見でまとめると、以下の通り。
◆DBとしてみた場合・・・ ・
退職給付債務(PBO)の認識が不要なDB
・給付が変動する
退職給付信託◆DCとしてみた場合・・・ ・個人勘定を持たないDC
・
投資教育が不要なDC
・中途退職しても
一時金が貰えるDC
・運用商品数に制約が課されないDC ※
改正DC法案が可決・成立した場合
こうして見ると、
リスク分担型DBは、
DBのデメリットよりもDCのデメリットが数多く解消される制度であることがわかる。今春に国会提出された
改正DC法案では、
ポータビリティの拡充策として
「DCからDBへの移行解禁」も盛り込まれており、ひょっとすると、既存DBからの移行よりも既存DCからの移行による導入が相次ぐかもしれない。
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posted by tonny_管理人 at 19:42
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