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本書のレビューを書こうとしていたら、丁度良いことに、先日見学したRIETI政策シンポジウム「日本の年金制度改革」のパネルディスカッションに著者本人がパネリストとして名を連ねていたので、今回はその様子も踏まえてご報告しよう。
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本書は「1階部分は全額消費税負担で定額給付、2階部分は民営化」という、絵に書いたような税方式論を展開している。経済的効率性に重点をおいた主張は経済学者ならではだが、巷で取り沙汰される「消費税の逆進性」批判に対抗するべく、食料品には低く贅沢品には高い「累進消費税」の導入を提唱するなど、消費税に抵抗を感じる向きにも配慮した姿勢を見せており心憎い。しかし、税方式の優位性を強調するあまりに、自説のデメリットについては過小評価している感がある。
「消費税収や経済成長率だって、人口動態の影響を受けるのでは?」
「税率を上げると低中所得者は貯蓄に走るから効果が薄まるのでは?」
「間接税の高いヨーロッパ諸国は実際成長率が低いわけだが」 etc
など、税方式にも様々な疑問が生じるのだが、本書では「大したことない」と切り捨てるか無視を決め込む(意図的かどうかは知らんが)かで、反論に対処しようとする姿勢が感じられないのが残念なところ。先日のシンポジウムでも「本に書いてある」「とにかく税方式が一番効率的!」との発言が多かった。また、著者のゼミ生の見解を以って「若者も支持してる」とするのは、余りにもあざとい。「改革に妥協を許さない進歩的なオレ様」を夢想しがちな年頃に、抜本改革を唱えるなと言う方が無理な注文だろう。
シンポジウムでは見学者がペーパーでパネリストに質問することができたので、当BLOG管理人も上記の疑問を投げたのだが、多数の質問が殺到したこともあってか、残念ながら私の質問は見事にスルーされた。 _| ̄|○
ともあれ、本書は税方式vs社会保険方式の論点整理に有用な一冊であることは間違いない。もっとも、論点は整理できたとしても両社の溝が埋まるかどうかはまた別問題だが(汗)。著者もまた同じ認識のようで、「両者の議論は出尽くしたからあとは国民の選択に委ねるべき」と締めくくっていた。
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