企業会計基準委員会は4日、債券の保有区分の変更を認める会計基準を正式決定した。決算期ごとの時価評価が義務付けられている「売買目的」や「その他」の区分から、時価が大幅に下がった場合にだけ評価減する「満期保有」への振り替えが可能になる。2008年10―12月期の四半期決算から適用できる。欧米では先行して同様の会計処理を認めている。
保有区分を変更する際は、その時点の時価で貸借対照表に計上する。当初は「売買目的」で保有していた債券も、長期保有すると事前に意思決定している場合に限り、10月1日までさかのぼって「満期保有」に振り替えることができる。決議では14人の委員のうち2人が「恣意的な会計処理につながる」などとして反対した。
同様の会計処理は欧州企業が多く利用する国際会計基準でも認められている。すでに08年7―9月期の業績開示で欧州の金融機関が相次いで保有区分を変更した。
(2008/12/5 日経朝刊 7面)
「透明性の確保」「国際基準との調和」を旗印に時価会計をこれでもかと推進してきた企業会計基準委員会(ASBJ)だが、今度は、同じ「国際基準との調和」という論理を用いて、時価会計の一部緩和に踏み切りましたとさ(苦笑)。嗚呼、なんという変節漢。
なお、翌日の日経ではその経緯が一部報じられていた↓
「時価会計」緩和に疑問の声 企業の実体見えにくく
欧米に追随、苦肉の策 透明性の確保課題に
(前略)批判が多い中で、会計基準委があえて時価会計を一部見直したのは、海外の動向を無視できなかったからだ。欧州各国が採用する国際会計基準。同基準を作成する国際会計基準審議会(IASB)に対して、欧州連合(EU)は会計基準の見直しを要請した。米国基準では保有区分の変更が認められており、欧州の金融機関が米国に比べ不利にならないようにするためだ。EU側は見直しに応じないなら、国際基準の一部を採用しないとまで迫ったという。IASBの山田辰己理事は「脅しに近いものを受けた」と振り返る。基準見直しを受け、2008年7-9月期業績でドイツ銀行など大手金融機関が相次いで評価損計上を見送った。こうした流れを受けて「日本が欧米に比べ不利になる」「海外と足並みをそろえるべきだ」との意見が勢いを増し、会計基準委も変更せざるを得なかった。(後略)
(2008/12/6 日経朝刊 14面) ※太字強調は当BLOG管理人による
・・・つまり、ASBJは海外事例の踏襲しか出来ないヘタレ軍団ということが明るみとなったわけだ(汗)。しかも、欧米の都合次第で如何様にも改竄される国際会計基準(IAS)を未だに鵜呑みにしている始末。まあ、ASBJの舶来礼賛志向は、厚生年金基金の代行部分の会計処理を巡る議論で既に耳にしていたが、こんな連中が専門家の名の下に会計基準の決定権を握っているのだから、何とも救いようがない。これでは、同基準を用いて債券を簿価評価しようと画策したと言われている年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)のことを笑えまいて(汗)。
本件について、他の会計の専門家はどう考えているのか是非とも見解を伺いたいものだ。
※参考資料
「債券の保有目的区分の変更に関する当面の取扱い」の公表(ASBJ)
<関連エントリ>
The企業年金BLOG(2005/11/25): 満期保有目的債券の簿価評価
The企業年金BLOG(2005/12/31): 代行部分の会計処理をめぐる論争


