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煽動的なタイトルに騙されてはいけない(最近多いねえ、この手の仰々しい題名)。中身は企業年金の加入員・受給者に向けた真っ当な解説書で、入門書としての分かり易さはかなりのもの。
本書の魅力は何と言っても部外者(公認会計士)ならではの歯に衣着せぬ本音トーク。まず前文からしてぶっ飛んでいる。
この本により、企業年金の給付減額から逃れることはできませんが、企業年金の仕組みと現状を理解することで給付減額にあきらめがつくかもしれません。企業年金に対して漠然とした不安や不信感を抱いているよりも、事情を理解して年金を減らされたけど仕方がないと考えたほうが楽しい毎日を過ごせることだけは間違いありません。
(以上、本書まえがきより抜粋)
こんな台詞、仕事ではとてもじゃないが言えねえ!
その他にも「代議員会の形骸ぶり」「相場の後追いになりがちな資産運用」といった業界の実情を本音ベースで構わずぶっちゃけており、業界人ならば顔をしかめつつもウンウンと頷ずかざるを得まい。全般的に給付削減や掛金引上げといった「後ろ向き」なトピックてんこ盛りにも関わらずワクワクしながら読み進められるのは、この種の書籍では異色である。知識をただ羅列しただけで悦に入ってるようでは、書籍としてもコンサルタントとしてもまだまだ半人前ということか(大いに反省)。
強いて本書に苦言を呈するならば、やはりタイトルの羊頭狗肉さか。コイツやコイツみたいに危機やら不安やらを煽らないと本って売れないものなのだろうか?

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