厚生労働省は2010年度の税制改正に向け、毎年提出してきた確定拠出年金(日本版401k)の規制緩和要望を見送る見通しだ。企業年金の積立金に課税する特別法人税の凍結措置を10年度末に解除するのに合わせ、企業年金の税体系を抜本的に見直す。
(2009/6/7 日経朝刊 3面)
昨年12月に公表された与党税制改正大綱に盛り込まれたことから俄然注目を集めた確定拠出年金(DC)の拠出限度額引上げおよびマッチング拠出導入。本年3月には「企業年金制度等の整備を図るための確定拠出年金法等の一部を改正する法律案」が提出されるなど制度改正へ向けて一気に加速するかと思われたが、その流れに歯止めがかかったとしているのが上記の記事。またもやDC業界関係者の嘆きが聞こえてくるようで、当BLOG管理人にとっては実に心地良い(笑)。
そもそも、2004年以来遅々として進まなかったDCの税制優遇拡大が急遽検討されたのは、昨今の株価低迷を受けての景気対策としての側面が大きく、今般のDCの改正内容も突貫工事ゆえの疑問が多い。とりわけ、現在議論されているマッチング拠出は本来のマッチング拠出とは違い、企業型DC加入者のみが対象となっている。これは、高給サラリーマンほど税制優遇の恩恵を享受する差別的な仕組みであり、金持ち優遇との謗りは免れまい。特定階層のみを利するような公平性を欠いた税制優遇に理念はない。ともあれ、企業年金の税体系を抜本的に見直す観点から、今回の措置を当BLOG管理人は大いに評価する。未曾有の経済危機が叫ばれる環境下だからこそ、企業年金百年の計を見越した議論が求められよう。
<関連エントリ>
The企業年金BLOG(2009/3/21): マッチング拠出の支持率はたった6割弱!?
The企業年金BLOG(2009/2/10): マッチング拠出など砂上の楼閣!?
