2006年02月13日

今更「常識のウソ」と言われても・・・

【社会保障ミステリー】 「年金破綻」常識のウソ
「少子化が止まらない」→「年金制度の担い手が減る」→「制度は破綻する」。ちまたにあふれる論法だが、本当だろうか。
(2006/2/6 日経夕刊 12面)

普段は社会の木鐸(もはや死語)として年金制度の欠陥をあげつらう指摘してくれる日経新聞だが、なぜか10回に1回は物分かりの良い記事を書いたりするからアラ不思議。今回の記事はまさにその10回に1回ってやつ。執筆したのは名著「年金これだけ心得帖」の著者でもある山口聡編集委員。先の2004年改正における議論では、法案成立後に公表された合計特殊出生率が1.29と前提条件(1.39)を早くも下回るなど「厚労省の推計は信用ならん」との批判も大きかった。しかしコラム氏は続ける。
実は厚労省は出生率が回復せず、長期的に1.1となる場合も推計している。この場合、保険料が今の計画のままだと、年金は最終的に20%以上のカットになる。確かに削減幅は拡大する。それでも8割近くはもらえるのだから、いわゆる破綻とは異なる。

至極ごもっともである。同様の指摘は以前のエントリ(2004年公的年金改正は画期的な改革だった?)でも触れてるので、そちらを参照されたし。

しかし、普段ならば良質記事マンセーと手放しで賞賛する当BLOG管理人であるが、本件についてはひとつ腹に据えかねる事がある。
本記事のタイトルは「常識のウソ」と題しており、つまり「君たち、ウソに踊らされてはいけないよ♪」と言いたいらしい。だが、かくいう日経新聞もエセ常識を広めた一翼を担ってなかったっけ!? それを今更「常識のウソ」と嘯いて読者を愚民視とは、「どの口がそれを言う!?」というトホホ感しか漂わない。

まあ、本記事で厚労省のお役人が「わかってんじゃん」と喜んでくれて、厚労省の記者クラブでの情報収集が円滑になるのであれば、新聞社としては記事を出す意義があるのだろう。情報入手源とスポンサーには勝てないマスメディアの無節操ぶり苦労が窺える(棒読み)。

※ 関連エントリ:2004年公的年金改正は画期的な改革だった?
  
【社会保障ミステリー】 「年金破綻」常識のウソ 削除されても生き残る

「少子化が止まらない」→「年金制度の担い手が減る」→「制度は破綻する」。ちまたにあふれる論法だが、本当だろうか。
厚生年金や国民年金などの公的年金は、現役世代が負担する保険料が高齢者に払う年金の原資となる。この仕組みでは、現役世代が減ると影響が出る。高齢者に従来と同じ給付額を保証しようとすると、一人当たりの現役世代の負担が重くなる。現役世代が保険料を負担しきれなければ、制度が破綻しかねない。
そこで、現役が負担できる程度に年金の給付額を減らそうということになる。2004年の制度改革では現役世代人口が減ったり、高齢者がより長生きになった分だけ自動的に年金を減らす仕組みが導入された。
厚生年金保険料は現在、会社員の年収の14%強(これを労使折半)。これを18.3%まで徐々に引き上げる計画だ。この条件で厚生労働省が推計すると、約20年後に受給年齢となる人の年金の水準は今より15%減る。「保険料引き上げや給付引き下げがこの程度で済むなら許容範囲」と言う人もいるだろう。
しかし、「役所の推計は信用できない」という声も強い。2004年に1.29だった合計特殊出生率(一人の女性が生涯に生む子供の平均数)が長期的に1.39まで回復することが推計の前提。だが、05年はさらに低下しそうで、今のところ回復の兆しはない。
実は厚労省は出生率が回復せず、長期的に1.1となる場合も推計している。この場合、保険料が今の計画のままだと、年金は最終的に20%以上のカットになる。
確かに削減幅は拡大する。それでも8割近くはもらえるのだから、いわゆる破綻とは異なる。
暗いシナリオが強調されがちな人口減社会だが、日本経済が発展し、現役の所得が増えれば保険料の負担感はやわらぐ。年金の削減率を縮小できるかもしれない。安心して生活できる環境が整えば、子供を生む女性が増える可能性もある。そうすれば年金制度はより安定する。
「公的年金はもうだめ」と短絡的に思い込むよりも、国民や政府、企業が豊かな生活を目指して模索することの方が大切だ。その成果は年金にプラスとなって返ってくる。
(編集委員 山口聡)






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posted by tonny_管理人 at 22:56 | Comment(2) | TrackBack(1)
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この記事へのコメント
トラックバック、有難うございました。
年金ニュース、今後読ませて頂きます。
オーケイコーポレーション
Posted by OKC at 2006年02月15日 07:38
>OKCさま
コメントいただき有難うございます。
確かに社保庁の制度運営も心許ない面がありますが、不安を煽るだけ煽っておきながら後になって「実は・・・」としたり顔でのたまうマスコミはもっと心許ない存在です。そんなの法案審議時に言えっつーの。
Posted by tonny_管理人 at 2006年02月15日 14:42
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Excerpt: もちろん、破綻はしない。優遇しすぎとの議員年金も完全廃止とまではいかず、常識的?な解決となった。今議論されている厚生年金と共済年金の一元化がなされれば、官僚が、自ら痛みをともなう改悪はしずらいし、議員..
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Tracked: 2006-02-14 21:52
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