2009年12月14日

国際機関の調査とて鵜呑みは禁物

去る10月14日、外資系コンサルのマーサーとオーストラリアのメルボルン金融研究センター(MCFS)が、先進11ヶ国の年金制度を評価した「Melbourne Mercer Global Pension Index」を作成・公表した。何でも、世界各国の公的・私的年金制度を、適正性(adequacy)、持続性(sustainability)および規範性(integrity)の観点から評価しているとの触れ込みだが、内実は、OECDのデータを利用しただけの二次利用の延長に過ぎない代物のようだ。
以前もコメントしたが、OECDの「Pension at a Glance」「Private Pensions Outlook」は、世界各国の年金制度の横断比較を試みる意欲的なレポートではあるが、OECDのデータの大雑把さは専門家からかねてより指摘されているところ(日本のトピックを参照すればお分かりいただける筈)。今回のインデックスでは、日本は先進11ヶ国中最下位とのことだが、そりゃあ、OECDの基準による所得代替率は低めで、少子高齢化が世界一進展してて、おまけに政府債務も莫大ときたら、高評価を得ろという方が無理な注文というもの(汗)。どうしても世界一の称号を得たいのであれば、話は簡単である。「年金年額を1,000万円に増額」「引退時給与(分母)の引下げて所得代替率を引上げる」「支給開始年齢を90歳に引上げ」「私的年金への掛金拠出を全額非課税にする」─などを適宜実施すれば良い(汗)。さらに、「政府債務の踏み倒し」「高齢者を減らす(!)」なども加えれば完璧か(大汗)。つまり、国際的なインデックスとやらの本質はこんなもんである。繰り返しになるが、制度も歴史風土も異なる各国の制度を統一的な基準で評価するには、慎重に挑む必要がある。鵜呑みは禁物。

余談だが、本インデックスについてはニッセイ基礎研究所(NLI)および野村総合研究所(NRI)がそれぞれ取り上げている。普段は保険・年金分野において深い洞察を売りにしているNLIが無批判な肯定姿勢に終始しているのに対し、新し物好きで舶来礼賛主義なはずのNRIがやや慎重な姿勢を示していたのは、何とも意外であった(汗)。


※参考資料
Melbourne Mercer Global Pension Index
各国年金制度の評価インデックスに思う(ニッセイ基礎研究所)
世界の年金制度の良し悪しを評価するしくみ(野村総合研究所)

<関連エントリ>
The企業年金BLOG(2009/6/25): OECDの公的年金所得代替率に関する留意点






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posted by tonny_管理人 at 23:23 | Comment(0) | TrackBack(0)
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