2010年03月08日

掛金拠出期間と年金受給期間の関係

前回のエントリでは、公的年金など終身年金の年金受給期間を「平均余命−年金支給開始年齢」と想定し、平均余命と年金支給開始年齢の関係について私見を述べた。今回は、掛金拠出期間(加入時から年金支給開始時まで)との関係性を加えて論じてみたい。

世代間扶養を旨とする賦課方式の公的年金制度において、制度設計上もっとも重要な要素の一つは、現役期間(掛金拠出期間)と引退期間(年金受給期間)とのバランスではなかろうか。そこで、前回同様、厚生年金保険の過去の平均的な掛金拠出期間および年金受給期間の推移を以下に列挙してみた。
年金受給期間については前回述べたので特に繰り返さない。掛金拠出期間で注目すべきは、支給開始年齢が順次引上げられている一方で、高学歴化の進展により加入時(就労開始時期)年齢も時代とともに上昇している点にある。そのため、掛金拠出期間はおおむね40年で変動は見られない。他方、年金受給期間は順調に伸びている。掛金拠出期間に占める年金受給期間の占める割合(負担割合)をみると、1955年の0.215から2008年は0.332と約1.5倍に増えており、年金受給期間の占める割合が着実に増加していることがわかる。

<厚生年金保険における掛金拠出期間と年金受給期間の関係>
20100308掛金拠出期間と年金受給期間.jpg


当BLOG管理人は、掛金拠出期間と年金受給期間の適正な比率はせいぜい2:1が限度だと考える(負担割合にすると0.5まで)。これを超えて年金支給期間の割合が肥大化すると、負担と給付のバランスが歪なものとなり、賦課方式であろうと積立方式であろうと年金制度の破綻を招きかねない。昨年破綻を迎えて話題となったGM(General Motors)の企業年金は、1950年の制度創設移行相次ぐ給付増額を重ね、1973年には「30年でおさらば年金(30 and out)」と称する早期引退給付を導入するに至った。早期引退すなわち支給開始年齢の早期化は、年金財政に「掛金拠出期間の短期化」「年金受給期間の長期化」というダブルパンチを喰らわす。掛金収入や運用収益が無尽蔵に見込めるならまだしも、そうした環境が一変すると、途端に年金制度は脆弱なものとなる(汗)。こうした観点からも、支給開始年齢の引上げによる現役期間の延長は重要だと考える。もっとも、支給開始年齢の決定は引退(定年)年齢との関連性が大きいため、雇用政策とのリンクが欠かせないことは言うまでもない。


<関連エントリ>
The企業年金BLOG(2010/3/5): 平均余命と年金支給開始年齢の関係
The企業年金BLOG(2009/12/5): OECDが提唱する日本の年金改革(総論)



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posted by tonny_管理人 at 23:57 | Comment(0) | TrackBack(0)
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