2010年04月24日

保守的であることと現実的であることは別問題

厚生年金積立金が枯渇し、年金財政が破綻するこれだけの理由 (DIAMOND online)
厚生年金の将来の財政状況は、「財政検証」として推計されている。その最新版は、2009年の2月に発表されたものだ。厚生年金についての「基本ケース」の結果は、【図表1】に示すとおりである。
(中略)
しかし、この数字は、一定の仮定に基づいて計算されたものである。「今後50年以上の期間にわたって積立金が増え続ける」という結果は、経済的な前提条件に強く依存しているのである。それが満たされなければ、結果は大きく変わる。
(2010/4/17 「野口悠紀雄 未曾有の経済危機を読む」第67回)

野口悠紀雄氏といえば、『「超」整理法』シリーズでもお馴染みの高名な経済学者。氏は年金制度についてもこれまで何度もコメントを寄せているものの、残念ながら的外れなものが多い(汗)。
上記の記事にしても、要約すると「賃金上昇率-0.5%・運用益0%で試算すれば、2030年には積立金が枯渇する」というだけの内容。そんなの前提条件を変えれば何とでも言えるではないか。氏は以前にも「運用利回り4.1%は虚妄」と主張していたが、運用利回りを0%とする仮定もまた現実的だとは到底思えない。まあ、「悲観論は論者を知的に見せる」という格言があるものの、前提条件が保守的であることと現実的かつ精緻であることとは別問題である。
専攻分野においては厳密な論理と事実に基づく論文を書く能力がある学者にして、専門外の分野となるとかくも杜撰なのかと思うと、高名な学者だからといってその言を鵜呑みにする事の危険性を改めて認識した次第(汗)。



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posted by tonny_管理人 at 23:53 | Comment(5) | TrackBack(0)
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この記事へのコメント
”賃金上昇率-0.5%・運用益0%”という経済状況が2030年まで継続するなら、2030年の段階で、この国全体がどうなっているのか?年金以前に、そっちの方が怖い。。。

”賃金上昇率-0.5%・運用益0%”という想定の、実現可能性が限りなく低いことを祈らずにはいられない。(ボソッ
Posted by 素人の浅知恵 at 2010年04月26日 14:13
> 素人の浅知恵さま
ご無沙汰しております。
野口氏は過去にも「公的年金の予定利率5.5%は計算ミス」などと批判していました。5.5%と言っても、制度創設当時(昭和30年代)は公定歩合を下回る保守的な水準だったわけですが、その時代に批判したならともかく、数十年後にしたり顔で述べられても事後批判か後出しジャンケンでしかありません(汗)。
Posted by tonny_管理人 at 2010年04月27日 01:52
> 管理人様
国民年金法も、制定当初の予定利率が5.5%と(厚生年金保険法に併せて)設定されたのですが、「低すぎる。7.5%が妥当。」という意見が、政界からも学界からもあった位です。実際10%近い利率が可能だった時代ですから。

当時の厚生省にとっては、「(当時の目線で)目先の経済指標や関係各界の意見に安易に乗らず、かなり保守的に設定した数字」だった筈です。
Posted by 素人の浅知恵 at 2010年04月27日 16:46
運用利回りが5%、賃金上昇率が2%でも2060年までに積立金が枯渇する計算です。自称専門分野でも杜撰な誰かとは大違いですね(嗤い
http://diamond.jp/articles/-/8071?page=3
Posted by で at 2010年05月22日 10:01
> で 様
えー、こんな前提条件のイマイチあやふやな推計を鵜呑みにする方がむしろ杜撰だと思いますが・・・(汗) まあ、杜撰はお互い様ということで。
Posted by tonny_管理人 at 2010年05月24日 23:14
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