2010年06月14日

NTT企業年金減額訴訟が結審したわけだが

NTTのOB年金減額認めず 最高裁が上告棄却 (nikkei.com)
企業の慎重姿勢、拍車も
NTTグループが申請した退職者の年金減額を厚生労働省が承認しなかったのは不当だとして、グループ67社が不承認処分の取り消しを求めた訴訟の上告審で、最高裁第3小法廷(田原睦夫裁判長)は9日までに、NTT側の上告を退ける決定をした。NTT側敗訴の一、二審判決が確定した。今回の決定を受け、産業界でOBの年金減額に慎重な姿勢が一段と広がる可能性もある。
(2010/6/10 日経朝刊 4面)

2006年に提訴されたNTTの確定給付企業年金における給付減額訴訟だが、足掛け4年を経て、このたび最高裁でも上告棄却となり、NTT側の敗訴がほぼ確定した模様。まあ、行政側の手続きが現行法規に沿っている以上は、妥当な判断であろう。当BLOG管理人はこの手の話題には疎いので、真っ当な論評は森戸教授Dr.Kubo氏の論説を参照して貰いたい。

当BLOG管理人の見解を改めて述べると、企業年金の給付減額については企業側にも受給者側にもどちらにも与するつもりはない。むしろ当事者同士で勝手にやれ労使間の合意に委ねるのが原則とすら考えている。しかし、厚生年金基金確定給付企業年金および確定拠出年金(企業型)など税制優遇を受けている制度については、一定の公的制約下に置かれても致し方ないとも考える。今回のNTTはまさに後者。「従業員の老後所得保障」の大義名分のもと税金を減免して貰いながら本来の目的を果たさないというのは、補助金の不正受給と同じである。厚生年金基金および確定給付企業年金において給付減額の要件が厳格なのは、受給権保護も然ることながら、税制優遇の不正利用を防ぐためでもある。よって、「一民間企業の労使合意に行政がいちいち介入するな」ともの申すのなら、税制優遇とは無縁な自社年金でやれという結論に帰する。自社年金はそれこそ労使合意で自由な制度設計・運営が可能であり、行政からも余計な介入はされない(はず)。

一方で、わが国の税制優遇措置は「制度の普及・拡大」を目的に設置されるものの、一旦設置されると既得権益化してしまい、以後の返上あるいは廃止が非常に困難なものとなりがちである。制度の普及・拡大だけが目的なら、税制優遇を恒久的にするのではなく、例えば設置から一定期間内の有限措置にするか、またはかつてのマル優みたいに将来的な廃止を前提とした設計が必要ではないだろうか。1962年の適格退職年金の創設から早48年、わが国の企業年金制度は「税制優遇するが規制付き」か「規制しないけど税制優遇なし」かの選択を迫る時期に来ているのかもしれない。いずれにせよ、規制と税制優遇はトレード・オフ。「ローリスク・ハイリターン」などというフリーランチが存在しないのと同様、「ロー規制・ハイ税制優遇」が成立する由は皆無(汗)。


<関連エントリ>
The企業年金BLOG(2007/10/24): 規制が嫌なら税制優遇を返上すればぁ?
The企業年金BLOG(2006/5/6): 企業年金減額、NTTが行政提訴
The企業年金BLOG(2006/2/23): NTTの年金減額、厚労省認めず






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posted by tonny_管理人 at 23:56 | Comment(3) | TrackBack(0)
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この記事へのコメント
「標準月額報酬額」についてお尋ねします。
「年金加入記録」の通知を貰いましたがNTTから退職時に貰った標準月額報酬とまるきり違っていることが分かりました。調べて訂正してもらうにはどうしたらいいでしょうか?
次に減額年金(3%)を受給しておりますが
何年かで回復の規定はありませんか?
以上教えてください。 NTTOBより
Posted by 宮内 豊 at 2011年02月25日 19:33
> 宮内様
「年金加入記録」とは、日本年金機構から送付されたものでしょうか?
であれば、まずは年金事務所に出向いて申し立てをなさるのが宜しいかと存じます。

◆年金記録確認第三者委員会への申立ての手順
http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/hyouka/nenkindaisansha/sikumi.html


また、「減額年金」とは、NTT年金基金から支給される年金の事でしょうか?
であれば、まずはNTT基金に規定類を請求してみては如何でしょうか。

以上、宜しくお願い致します。
Posted by tonny_管理人 at 2011年02月28日 23:13
会社退職者の年金減額の件で伺いたい。
Posted by 田畑義毅 at 2011年06月08日 04:15
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