2010年11月05日

野口悠紀雄氏の年金破綻論、しめて23打数2安打(.087)

春先に当BLOGでも取り上げた野口悠紀雄氏のしょーもない年金破綻論だが、いつの間にか連載が終了していたことに今更ながら気がついた(現在は「野口悠紀雄 人口減少の経済学」を連載中)。この一連の年金破綻論、本来は「野口悠紀雄 未曾有の経済危機を読む」という経済全般を取り扱ったコラムだったが、途中からなぜか公的年金制度批判を展開し始め、終わってみれば、全88回中23回(第65回および第67〜88回)を公的年金が占めるという力の入れようであった。

その中で、当BLOG管理人が傾聴に値すると判断した記事が2本あった。一つは、第76回「年金破綻を回避する3つの方策──支給開始年齢引き上げ、年金課税強化、在職老齢年金廃止」、もう一つは、第85回「官僚と政治家のご都合主義が生んだ、公平原則に反する在職老齢年金」である。いずれも、公的年金財政の再建のためには給付減額は避けられないが、実施するなら在職老齢年金ではなく年金課税で対処するのが望ましいとする内容である。租税の公平性・中立性にも言及するなど、本来の財政学者としての知見が垣間見える秀作である。この2本だけは是非ともお読みいただきたい。

しかし、はっきり言って上記以外の記事は読むだけ時間の無駄(汗)。このしょーもなさについては以前にも述べたので繰り返したくないが、端的に言えば「数字遊び」と「事後批判」に終始していて読むに堪えない。賃金上昇率や運用利回りの前提条件に関する指摘は、例えるなら「チーム打率.150、チーム防御率8.00なら巨人は最下位」という程度でしかない。また、予定利率5.5%の水準や財政方式(積立方式or賦課方式)云々にしても、制度が創設あるいは改定された当時の経緯や議論を無視して現在の常識のみで断定している。余談だが、かつて企業年金の予定利率が5.5%以上とされた背景には、予定利率を低く設定すると掛金が高くなるため、損金が過大算入されて税収が減ることを懸念した当時の大蔵省・国税庁の意向も当然に反映されている。5.5%とは、1960年代においてはそれくらい保守的な金利水準だったわけだが、そうした経緯等を一切考慮していないというのは、一般人ならともかく、学者でしかも元大蔵官僚としては致命的であろう。
せっかく23本もの年金記事を書いてくれた野口氏だが、打撃成績に換算すると、23打数2安打、しめて打率.087の出来であったと当BLOG管理人は推計する。野口氏には、本業の経済学・財政学の領域で骨太な議論を新連載にて展開いただきたいものだ。

<関連エントリ>
The企業年金BLOG(2010/4/24): 保守的であることと現実的であることは別問題






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posted by tonny_管理人 at 18:25 | Comment(0) | TrackBack(0)
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