2006年05月07日

企業年金は社会保険方式だと? んなアホな!!

先日取り上げたNTTの企業年金減額訴訟の一件だが、今回は各メディアでも大きく取り上げられている。普段は陽の目を見ない分野だけに、各メディアの見解を一堂に比較できるまたとない機会だが、さっそくトホホな記事があったので晒し上げ↓。

却下の厚労省 「税方式」流れを警戒 (Mainichi-msn)
厚生労働省がNTTの申請を却下したのは「企業年金は公的年金に準じた社会保険方式」と判断しているためだ。「保険料に見合う給付」という原則を崩せば、公的年金税方式化に道を開くとの警戒感からだ。
基礎年金を全額税でまかなう民主党などの案は、現役時に未納でも老後は保障されるが、同省は「契約の概念が弱く減額も容易」とみる。企業年金でも「契約」を軽視すれば公的年金の基盤が揺らぐという危機感を抱く。
(2006/5/2 毎日新聞朝刊 11面)


企業年金は「社会保険方式」だと!?
ハァ!?


公的年金を語る上では、「社会保険方式か税方式か」という議論は重要なファクターである。しかし、企業年金は民間運営による私的年金という性質上、税による徴収という選択肢は当然ながら存在しない。仮に「保険料に見合った給付」を指して社会保険方式と呼んでいるのであれば、正確には「保険料方式」と表現するべきだ。公的年金における「社会保険方式vs税方式」という対立構図を企業年金にそのまま当てはめるのは無理がある。

また本記事は、公的年金における「積立方式か賦課方式か」という議論と混同している恐れもあるため補足しておく。賦課方式とは、その時に必要な年金原資をその時の現役世代の保険料で賄う財政方式である。ただし、これを行うには「掛金の強制徴収」が大前提となるため、賦課方式での運営が可能なのは必然的に公的年金に限られる。私的年金たる企業年金では、将来の年金給付に必要な原資を予め積み立てていくという積立方式を採用せざるを得ない。

今回の記事が、記者の単なる勘違いなのか、それとも何らかの意図を以って書かれたのかは定かではないが、いずれにせよ全国紙の記事(それも署名入り)としては最もお粗末なものの一つであることは確か。世の中に警鐘を鳴らすならば、せめてそれ相応の理論的背景は抑えておきたいものだ。それにしても今回のNTTの企業年金減額の件、各所であらぬ思惑を産んでいる。他にも「厚生年金と共済年金との一元化を封じ込める狙い」といったトホホな議論が横行している(ココとかココとかココとか)あたり、つくづく日本は平和だと思う今日この頃(汗)。皆さん陰謀論が好きなのねぇ。。。


<関連エントリ>
The企業年金BLOG: 企業年金減額、NTTが行政提訴
The企業年金BLOG: NTTの年金減額、厚労省認めず
 
  
NTT企業年金減額訴訟:経済界が注視 企業年金、運用悪化で負担重く

NTTが1日、退職者への企業年金給付削減が認められないのを不服として、国を相手取り行政訴訟に踏み切ったことについて、経済界は裁判の行方を注視している。超低金利の長期化による年金基金の運用利回り低下で、企業の年金給付穴埋め負担は年々増大しているうえ、現役社員とOB受給者との間での年金給付の「世代間格差」も「多くの企業に共通する頭痛の種」(アナリスト)だからだ。
企業年金は税制優遇措置を受けているため、減額など条件変更には、厚生労働省の認可が必要となる。具体的には「受給者の3分の2以上の同意」と、「母体企業の経営悪化」や「掛け金の大幅な上昇」などで年金基金運営に支障が出ることを厚労省は認可の条件にしている。NTTは昨年9月、傘下のNTT東日本と西日本が01年度に最終赤字に転落したことなどを理由にして、退職者への年金減額を厚労省に申請した。OB受給者の約9割からは同意を得ていたが、厚労省は今年2月、「経営に著しい悪化は認められず減額の理由はない」として申請を却下した。
NTTの申請却下は、初めてのケースだったとはいえ、経済界では「運用環境の悪化で、年金給付の穴埋めを強いられる状況が続き、企業の競争力に打撃を及ぼす」との危機感が高まっていた。
昨年6月には日本経団連も「労使で合意した場合は理由を問わず年金減額を容認すべきだ」と政府に要望した。退職者の年金減額を巡っては他の企業でも訴訟が起こっているだけに、NTT訴訟の行方は企業年金制度のあり方に大きな影響を与えそうだ。【工藤昭久】


◇却下の厚労省「税方式」流れを警戒

厚生労働省がNTTの申請を却下したのは「企業年金は公的年金に準じた社会保険方式」と判断しているためだ。「保険料に見合う給付」という原則を崩せば、公的年金税方式化に道を開くとの警戒感からだ。
基礎年金を全額税でまかなう民主党などの案は、現役時に未納でも老後は保障されるが、同省は「契約の概念が弱く減額も容易」とみる。企業年金でも「契約」を軽視すれば公的年金の基盤が揺らぐという危機感を抱く。
ただ、減額申請の却下は過去48例の中で初めてだ。「企業が存続できない」という現実の前に、厚労省も理念をなし崩しにしてきた。このうえ債務超過でないNTTにまで減額申請を認めれば、有力企業の申請が相次ぎ歯止めが利かなくなるという恐れがある。さらに、社会保険方式優位を主張する根拠を失うという焦りも透ける。【吉田啓志】

(2006/5/2 毎日新聞 11面)






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posted by tonny_管理人 at 23:05 | Comment(0) | TrackBack(1)
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