2011年01月13日

数理計算すら不可能なものを「具体案」とは呼ばない

記者の目:手つかずの民主党年金改革案=吉田啓志(政治部) (毎日jp)
◇白紙に戻し、超党派協議始めよ
(抜粋)しかし政権獲得後、政府・民主党は公約を放置し、「抜本改革を予定しているから」と、低年金対策、官民格差解消など早急に取り組むべき課題に一切手をつけていない。民主党案が具体化しない最大の理由は、実現性が極めて乏しい点にある。(中略)「他党と胸襟を開いて議論できる場を作る」。10日、菅首相は政府・与党社会保障改革検討本部の会合で、消費税増税を念頭に、税と社会保障に関する与野党協議の必要性を訴えた。それでも、野党は民主党の年金改革案が撤回されない限り乗れないだろう。メンツから自らの案にこだわって現行制度の欠陥を放置するなら、国民の年金不信は高まる一方だ。
(2010/12/24 毎日新聞)
新年金制度の公約撤回示唆 厚労相「協議が難しい」 (asahi.com)
菅直人首相が呼びかけている社会保障と税制の一体改革に関する与野党協議をめぐり、細川律夫厚生労働相は5日の閣議後会見で「新しい年金というマニフェストにこだわれば、協議そのものが難しい。マニフェストを前提とせずに話し合いを始めたらいい」と述べた。民主党がマニフェストで掲げる新年金制度の撤回を示唆したものだ。
(2011/1/5 朝日新聞)

年金をはじめ社会保障政策については、良く「超党派で議論すべし」と喧伝される。しかし、現在の民主党政権の姿勢からは、民主党のマニフェストや年金改革案の拙さを隠蔽するために与野党協議を逃げ口上にしている印象を強く感じる。いわば共犯に持ち込もうというものである。当BLOG管理人としては、野党に協議の場に乗ってもらうためには、ここは政府・与党の方からきちんとした具体案を出すのが筋ではないかと考える。

なお、ここでいう「きちんとした具体案」とは、当然ながら民主党のマニフェスト国家戦略室「新年金制度に関する検討会 中間まとめ」のような大雑把なものではない。具体案とは、企業年金のコンサルティングでいえば、明日には数理計算が可能なレベルまで制度概要を固めたものである。もっとも、企業年金の制度改定では、制度概要を固めただけでは十分ではなく、数理計算を行った上で具体的な掛金水準なり給付水準を示さないと協議すらままならない。そして、協議は超党派(労使)で行われるのが常である。
どうも今までの公的年金議論は、論者の主張や政策論ばかりが取り沙汰され、年金制度の実務的詳細に関する議論が蔑ろにされてきた節がある。たかが細部と侮るなかれ、制度の細部への知識と洞察こそが制度の実現可能性・持続可能性を高めると言っても過言ではない。公的年金制度の危機が叫ばれて早20年、論点はもはや出尽くした感がある。超党派による協議が実現するのであれば、政策論の繰り返しではなく具体論を論じていくべきである。


<関連エントリ>
The企業年金BLOG(2010/11/22): 「新年金制度に関する検討会 中間まとめ」のパブコメ結果の公表
The企業年金BLOG(2010/5/17): 5回目にしてようやく「実務家」のお出ましか



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posted by tonny_管理人 at 01:20 | Comment(0) | TrackBack(0)
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