2011年01月18日

「年金を選択する ― 参加インセンティブから考える」

「制度への参加」を唱えた新たな年金議論 各論と結論のチグハグさが唯一の瑕(きず)

年金を選択する ― 参加インセンティブから考える年金を選択する ― 参加インセンティブから考える
駒村 康平 (編著)

慶應義塾大学出版会 2009-05
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全労済協会の調査研究活動「参加インセンティブから考える公的年金制度のあり方研究会」での研究成果をまとめた一冊。従来の年金議論の主要トピックである「基礎年金と生活保護の関係」「世代間の公平性」「就業形態の多様化への対応」等に加え、「情報通知」「制度への参加」という新たな切り口を提供している。とりわけ後者は、年金制度の加入者の参加意識・当時者意識を促す点では積極的労働市場政策の流れを汲んでおり、良い意味で労働団体ならではのオリジナリティを打ち出している。この他にも「私的年金の充実」など、各論では先鋭的な議論が交わされている。

ところが、結論になると、唐突に民主党の年金改革案を持ち出してこれを支持するという不可解な展開を見せている。巻頭にて「税方式は年金空洞化の特効薬に非ず」(p.6)「年金制度を事前積立化あるいは個人勘定化すれば世代間の公平が確保されるという単純な構図は成立しない」(p.27)などと一刀両断しているにも関わらず、この各論と結論のチグハグさは理解に苦しむところ。おそらく連合あたりの意向が多分に入り込んでいるのだろうが、委員会の研究者達は、この不整合をどう考えているのだろうか。。。

なお、本書刊行後、本研究会主査を務めた駒村康平教授が厚生労働省顧問に就任したほか、委員2名(中嶋氏山田氏)が厚生労働省の年金調査員に任命されるなど、本研究会に携わった者が相次いで年金政策の中枢に据えられている。そのせいか、一部では本書を「民主党政権化における年金政策の『よげんの書』」と呼んでいるとかいないとか・・・(汗)






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posted by tonny_管理人 at 06:39 | Comment(2) | TrackBack(0)
| 書評:公的年金 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
刊行当時に購入したのを覚えています。

私も、各論部分については多いに感銘を受け、「民主党さんの年金政策立案に関与される方々には、是非、こうした視点も十分に考えて欲しい。」と思ったものです。

とはいえ、頁が進んで、結論当たりになってくると、「ありゃ、最初の方の各論はどこへ・・・。やっぱり、民主党さんの年金政策立案に関与される方々は読まない方が良いかも。」とか思いますた。

全労済協会さんの出捐団体さんをみると、連合さんの意向に近い団体なのだろうなとは思いますし、そこでの議論の結論が連合さんのそれと親和性を持つのは、ある意味で納得は出来るのですが。

元来、駒村先生の著作等には、賛同出来る部分があり基本的な方向性も、私の個人的心情に近いのです。
が、駒村先生の民主党さんの年金改革案に対する論考に関しては、若干の違和感を感じていて、(この違和感は、民主党案に対する駒村先生の直近の所見を経て、かなり強くなったりもしていますが、)政治の場での年金制度論の今後の展開を注視しています。(ホンマに大丈夫かいな・・・。
Posted by 素人の浅知恵 at 2011年01月18日 10:52
> 素人の浅知恵さま
ご無沙汰しております。
貴殿が抱いている違和感、私も大いに賛同するところです。近年の駒村センセは場所(講演・対談)によって主張をコロコロ変えるきらいがあり、「ひょっとして単なる目立ちたがり屋なのか!?」「第二のT山センセ路線か!?」との疑念を払拭できずにおります・・・(汗)。
Posted by tonny_管理人 at 2011年01月24日 21:18
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