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朝日新聞で長年にわたり社会保障を担当してきた名物記者による年金論。現在の公的年金は少子・高齢化とデフレ経済という難題を抱えているものの、破綻とは程遠い状態であり十分実用に耐えうる制度であることを、年金改革の歴史的経緯や現行制度への反対意見を踏まえつつ懇切丁寧に解説している。「いずれ年金は破綻する」「抜本改革すれば今よりずっと良くなる」と今まで漠然と考えていた向きにとっては、目から鱗が落ちよう。また、三神万里子氏による4コマ漫画&挿絵は、本文を読まずともイラストに目を通すだけで年金問題の本質がうかがえる秀逸さ。新聞記者とイラストがコラボした年金本というと「年金これだけ心得帖」(山口聡著)という名著があったが、上質さでは本書も双璧を成しており、早くも2011年の年金本ベスト1と言っても過言ではない。
なお個人的には、抜本改革を連呼する政治家・経済学者にこそ、現行制度で出来ること・出来ないことを把握するためにも本書を手にして欲しいところ。もっとも、抜本改革を叫ぶ輩に限って、現行制度をろくに知ろうともせず改革自体(あるいは自己顕示)を目的にしていることは、本書の「まえがき」のエピソードに出てくる大学教授の例を出すまでもない(汗)。
余談だが、上記の大学教授の著作について、当BLOG管理人はてっきりコチラ(文庫版はコチラ)だとばかり思ってたが、Amazonのコメント欄に寄せられた情報ではコチラ(文庫版はコチラ)が正しいとの事。
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