厚生年金基金の代行部分の予定利率については、従来は一律5.5%という固定レートが用いられていたが、1999年10月以降は、厚生年金本体の運用利回り実績に準拠した利率を毎年洗い替えて用いることとされている。正式な数値は例年12月頃に厚労省より告示されるが、その根拠となる厚生年金の実績利回りは今回の決算発表に収録されているため、こちらを速報値に用いる業界人も多い。今回の発表により、2012年1〜12月(暦年ベース)の厚生年金基金の最低責任準備金(代行部分)に付利する利率も▲0.26%と告示される公算が大きい。
なお、厚年基金の最低責任準備金の算定に用いる利率は、上記のとおり厚生年金本体の実績利回りを基に決定されることから、最大1年9ヶ月の乖離(いわゆる「期ズレ」)が生じることが問題視されていたが、2009年度決算からは継続基準の財政検証および掛金計算において「調整金」を計上することにより期ズレを調整することが可能となっている。厚生年金本体の運用利回りおよび年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の修正総合収益率(市場運用分)の推移は以下のとおり。
<年度> <厚年> <GPIF(市場運用分)>
1997年度 4.66% 7.15%
1998年度 4.15% 2.80%
1999年度 3.62% 10.94%
2000年度 3.22% ▲5.16%
2001年度 1.99% ▲2.48%
2002年度 0.21% ▲8.46%
2003年度 4.91% 12.48%
2004年度 2.73% 4.60%
2005年度 6.82% 14.37%
2006年度 3.10% 4.75%
2007年度 ▲3.54% ▲6.41%
2008年度 ▲6.83% ▲10.03%
2009年度 7.54% 9.55%
2010年度 ▲0.26% ▲0.57%
<参考資料>
厚生年金・国民年金の平成22年度収支決算の概要 (厚生労働省)
<関連エントリ>
The企業年金BLOG(2006/12/14): 代行部分の予定利率は5.5%に非ず
The企業年金BLOG(2007/8/15): 公的年金決算から見る代行部分の予定利率の動向
The企業年金BLOG(2009/8/11): 08年度公的年金決算からみる代行部分の予定利率の動向
The企業年金BLOG(2010/8/24): 09年度公的年金決算からみる最低責任準備金の利回り
