2006年09月29日

給付費からみる中退共と企年連の運用スタンスの違い

(独)勤労者退職金共済機構はこのたび中小企業退職金共済(中退共)の2005年度の事業決算および資産運用状況を公開、運用利回りは8.34%と過去最高を記録したことがわかった。05年度の年金運用は軒並み好調が伝えられているが、中退共もそのご多分に漏れず株高の恩恵に与った次第。

ところで中退共の運用利回り8.34%という数値、企業年金連合会(企年連)の22.70%や国民年金基金連合会の20.78%、さらに年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の14.37%と比べると、やや見劣りするように感じる。05年度の中退共の資産構成割合をみると、国内債券が全体の79%を占めている。同時期の企年連の国内債券比率が35.1%、GPIFの国内債券比率(市場運用分のみ)が48.36%であったことを考慮すると、中退共の資産運用は公的年金よりも保守的だと言える。では何故かくも保守的にならざるを得ないのだろうか? そこで、中退共の業務報告書および企年連の業務報告書から、それぞれの給付費および資産額の推移を比較してみた。

20060929benefit

中退共が支払う給付費(一時払・分割払の総額)は、年間3〜4千億円にのぼる。これは総資産の10%に相当する規模である。巨額のキャッシュアウトに備える必要があるため、国内債券など換金性・安全性に勝る資産の比率を高めざるを得ないという中退共の"お家の事情"が垣間見える。
一方企年連は、中退共に比べると給付費が少なく総資産が多いため、総資産に占める給付費の割合は2〜3%に過ぎない。そのため、国内株式・外国株式など換金性に劣るものの収益性が高い資産へのオーバーウエイトが可能となる。いわゆる「リスク許容度が高い」ってやつね。なお企年連の給付費が中退共よりも少ないのは、中退共は一時金支給が中心なのに対し、企年連は年金支給(分割払)が中心だからである。

とはいえ、企年連の受給者数・給付費は現在急速に増加中であり、今後も給付費の増加が続くようであれば、いずれは(中退共のように)国内債券比率を高める方向へと方針転換するかもしれない。そういう意味では、決算が好調だったからといって通算企業年金の予定利率の引上げといった大盤振る舞いをしている余裕はない筈だが・・・(汗)。


<関連エントリ>
The企業年金BLOG(2006/7/24): 久々に目にした「積立余剰」「給付増額」という単語



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posted by tonny_管理人 at 12:56 | Comment(0) | TrackBack(0)
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