2006年10月23日

LTCM破綻から学ぶアクティブ運用の留意点

先日紹介した「マンガ LTCM」は、目的や手法こそ違えど、企業年金や公的年金の資産運用においても示唆に富む内容の連続であった。
LTCM破綻までの顛末を当BLOG管理人がまとめたのが以下のフローチャート。彼らが得意とする裁定理論の世界は、「市場は効率的」「市場参加者は合理的」「原資産価格のボラティリティ(変動性)は常に一定」──などなど様々な前提の元に立脚しており、それら前提条件が崩れると、当然ながら理論は機能しなくなる。LTCMの場合、下記Bがまさに前提条件崩壊の引き金となった。LTCMの手法を真似る投資家が増えたために裁定機会が減少し(下記C)、裁定機会が減少したために他の収益機会(=彼らの投資理論が及び難い分野)に手を出さざるを探さざるを得なくなり(下記D)、未知の分野のリスクが許容範囲以上に膨らんだ(下記E)ところで、通貨危機による100年に1度あるかないかの価格変動(下記F)に見舞われて、万事休す(下記G)

 @運用が絶好調!
    ↓
 A他者の注目を嫌でも集める
    ↓
 B他の市場参加者が運用手法を真似する
    ↓
 C収益を得るチャンス(裁定機会)が減少
    ↓
 D得意分野以外の分野にも手を出さざるを得なくなる
    ↓
 E資産規模の膨張・流動性の低下により許容範囲以上のリスクを抱える
    ↓
 Fそこへロシアの通貨危機
    ↓
 Gあぼーん (+д+)ウワー



結局、いくら画期的な勝ちパターンを確立したところで、資産規模がデカくなったり運用手法を真似されたりすると、途端に運用効率は落ち、理論は陳腐化してしまう。これはヘッジファンドに限った話ではなく、年金運用や個人投資にも言える。つまり、ヘッジファンドを含めたアクティブ戦略で長期にわたり収益を得ようと思ったら、

 目立たず・騒がず・ひっそりと

──つまり、資産規模はそこそこに抑え、運用手法等は秘密厳守。これに尽きる。ただし、年金などの巨大な機関投資家は隠密行動しようにもどうしても目立ってしまうため、自ずと銘柄選択以外の手法(ポートフォリオ運用・パッシブ運用etc)の比率を高めざるを得ない。そうした事情を考慮せずに「わが国の年金基金は銘柄選定能力ゼロ」と一刀両断する大前研一氏には、かつてのLTCMのような天才特有の独善性を感じる。銘柄選択の判断が正しいからといって、必ずしも市場に勝てるとは限らないのだよ、大前君。


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<関連エントリ>
The企業年金BLOG(2006/10/22): 「マンガ LTCM」



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posted by tonny_管理人 at 21:51 | Comment(0) | TrackBack(1)
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