当BLOGは、冒頭にも掲げている通りオススメ書籍を淡々と紹介することを主たる目的としており、読むに値しないクズ本には一切関わらないことを原則としている(amazonのレビューではボロクソに言及する場合もあるが)。しかし、このたび余りにもお粗末な書籍を手にしてしまい、またそれがわが国の確定拠出年金における投資教育の問題点を具現化したような一冊だったので、今回は敢えてその禁を破ることとする。
問題の書籍は、確定拠出年金(日本版401k)の投資教育に関するもの。本書をめくってまず感じるのは、とにかくまあ威勢というか勢いだけは良い。もっとも、序文から第5章までは、章こそ変われど言ってることはほぼ同じ。要は、わが国の投資教育は問題だらけで、日本の歴史と風土にあった真の投資教育が必要だと喝破している。その割には、「日本版アメリカンドリームの実現を!」とか「日本の投資教育の原点はアメリカの西部開拓史にあり!」などなど、「欧米か!」と突っ込みたくなるような舶来礼賛志向が目立つ。日本の歴史や風土はどこへ行ったコラ(汗)。
とはいえ、わが国の確定拠出年金の投資教育は様々な課題に直面しているのは事実。著者の嘆きは続く、
「机上の理論や欧米の模倣ではなく、現実に根ざした知識が必要」
「国のガイドラインにさえ従っていれば良いというものではない」
「"説明"ではなく"教育"を!」
──指摘そのものは至極ご尤もである。さて、ここまで物申すほどの御仁だ。証券業界での長きに渡る経験を活かした、さぞかし画期的な投資教育スキームが提示されるのかと思いきや・・・
しかしその期待は微塵にも打ち砕かれた。第6章以降では経済・金融・会計制度に関する解説が一通り為されているのだが、これが何ともお粗末。ひたすら用語説明の羅列・羅列・羅列で、制度の背景や趣旨といった骨格への言及はごく僅か。構成も、き●ざいのテキスト等どっかで一度は見たことのあるものばかり。これって著者が皮肉っていた「マニュアル化された説明会資料」の最たるものではないか。これのどこが「新しい投資教育」なのかと問いたい、問い詰めたい、小一時間問い詰めたい(汗)。さんざん前振りしておきながらコレかよ・・・桜塚やっくんだったら「ガッカリだよ!」と突っ込むこと必至。
巻末では「(我々の唱える)投資教育こそが国家の成立基盤を確かなものにする」と偉そうに締めているが、あんな予備校テキストの劣化コピーを「新しい投資教育でござい」と誇示されても説得力ゼロ。皮肉にも、本書の存在自体が日本の投資教育のレベルの低さを如実に物語ってしまっている。この著者のような業界のベテランですらこの程度の切り口しか提示できないとは、確かに日本の投資教育には大きな問題点があるのかもしれない。もしかしたら著者はそれを訴えんがために、敢えて自ら汚れ役を演じたのだろうか・・・?(んなアホな)
2006/11/11
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