
アメリカでは、公的年金の水準が日本に比べると著しく低いため、その分企業年金の老後生活に占める役割は相対的に大きい。しかし企業のコスト削減により、従来の給付建て(確定給付型)年金制度は姿を消しつつあり、代わって401kが主流となりつつある。
そもそも401kとは経営者への税制優遇措置であり、厳密には年金制度ではない。しかし1981年に給与所得に対しても税制優遇が認められたことから俄然注目を集め、米国株の高騰と相まって普及し始めた。導入時のキャッチコピーに良く用いられるのが 「自分の未来を自分の手で設計する」「労働者に力や権限を与える」といった耳障りの良い台詞。最近日本でも目にする機会が多いですなあ(笑)。
しかし上記のドキュメンタリーによると、結局資産を上手く増やしているのはごく一部の高学歴・高収入の富裕層で、中産階級以下は資産運用もままならず老後の不安に怯えているとのこと。日本ではかねてより「アメリカの投資教育は進んでいる」「アメリカ人は401kでハッピーリタイヤメント」などと喧伝されてきたが、なあに、実情は日本と大して変わらないではないか。日本と違って先進的な投資教育を施されてきたはずのアメリカ人(それも大学教授)がなおも続ける。「誰もが金融のエキスパートになるなんて無理(crazy idea)だ」。
おまけに、@企業に401k制度があっても(加入できる従業員の)3割は加入しない、A掛金を限度額いっぱいまで拠出しているのは全体の1割に満たない、B転職者の半数は401kの資金を途中で引出してしまう──などなど、老後資金不足に拍車をかける要因には事欠かない(汗)。日本では中途引出し禁止を緩和しろとの声が強いが、老後資金の確保という観点からみると、実は有益な規制なのではないか。
個人的な感想としては、401kは老後の資金準備の手段としては最適な制度であるものの、既存の退職金制度の代用品になるかというと、ちと齟齬があるように思う。


