2007年02月16日

日本の将来推計人口は恣意的?客観的?

経済予測というもの 官はどう作る
推計人口 外れ続きにも"言い分"
実績よりもいつも高めの予測となり、新しい推計を出すたびに下方修正を繰り返してきた重要な政府予測がある。日本の人口の将来像を見通すため、厚生労働省の国立社会保障・人口問題研究所がほぼ5年ごとに発表する将来推計人口だ。
(2007/2/9 日経朝刊 5面)

国立社会保障・人口問題研究所が発表する「日本の将来推計人口」といえば、「ここ数十年外れっぱなし」だの「政府の都合で歪められている甘い推計」だのといった悪評紛々だが、人口推計特有の事情にまで言及した公正な記事はこれまで皆無であった。上記の日経の記事では、「むしろ推計に手心を加える余地が無さ過ぎる」「ここ数十年予測が外れっぱなしなのは客観性を重視した結果」などなど、これまで専門家の間でしか知られていなかった事情もきちんと踏まえており、珍しく興味深い記事であった。

「推計モデルの癖を踏まえるべし」という記事の主張は至極ごもっともなのだが、それにしても、上記のような物分かりの良い記事をたまに書いたかと思えば、一方では「当たったためしがない」とケチョンケチョンにこきおろしたり、マスメディアの報道姿勢は人口推計以上に恣意的なようで・・・(汗)。
 
  
経済予測というもの 官はどう作る

推計人口 外れ続きにも"言い分"


実績よりもいつも高めの予測となり、新しい推計を出すたびに下方修正を繰り返してきた重要な政府予測がある。日本の人口の将来像を見通すため、厚生労働省の国立社会保障・人口問題研究所がほぼ5年ごとに発表する将来推計人口だ。

■3年先も下振れ

2002年に示した推計では、05年の合計特殊出生率(1人の女性が生涯に産む子どもの平均数)を1.31とみて人口を計算したが、実際の値は1.26だった。たった3年先の予測すら0.05も下振れしてしまった。
2050年時点の出生率を比べると、1992年の推計では1.80。97年には1.61、02年には1.39に下がった。これほど一方向に修正を繰り返す公的予測は珍しい。
昨年12月の最新推計では、2055年に高齢者が日本の総人口の41%を占め、高齢者1人を現役世代1.3人で支えるとし、世界でも前例のない超少子高齢社会の到来を描いた。人口問題研の人口動向研究部長の金子隆一(50)には海外研究者から「驚くべき結果だ」との電子メールが続々届いたが、国内では「まだ甘くみているのでは」との声がくすぶる。
「政府の都合でゆがめられてきた甘い推計」という疑いが付きまとうのは、公的年金の保険料や給付を決める重要な基礎データであるためだ。
出生率の予測が下がれば保険料の引き上げや給付の減額に直結する。国民の批判を避けたい政府や厚労省が手心を加え、あえて高めの数字を示しているというわけだ。
だが厚労省の推計法は海外で広く使われ、国際標準と呼べるものだ。予測が外れ続けた原因は、むしろ「推計に手心を加える余地がなさ過ぎる」点にあるといえる。
将来推計人口は総務省の5年ごとの国勢調査が基になっている。足元の結婚や出産、死亡などの傾向を調べ、楽観シナリオ(高位推計)、悲観シナリオ(低位推計)、最も現実的なシナリオ(中位推計)の3つに分けて人口を見通す。
問題は「過去4−5年の傾向が将来も続く」ことが予測の大前提になっている点だ。日本の少子化はここ20年、ほぼ一貫して加速してきた。こうした局面では予測は常に実態に比べて高めに外れ続ける。同じような現象は、欧州で少子化が進んだ時期にも起きた。

■説明は不十分

少子化の加速などを推計モデルに組み込む方法もあるが、推計者の主観や思惑が入り込みやすくなる。厚労省の予測は客観性を保とうとして、かえって作為的だと疑われている点が皮肉だ。
ただ厚労省は推計のこうした限界を国民に十分説明してきたとはいえない。特に少子化の加速で推計人口が実態を反映していないのが明らかなのに、年金財政の計算に使い続けてきたことには専門家の批判も多い。
少子化に歯止めがかかるまでは、年金財政を計算する際に、予測が外れ続ける人口の中位推計だけではなく、出生率をより低く見込む低位推計を重視すべきだという意見もある。
経済予測にさまざまな限界がある点は公的予測も同じ。もっと問われるべきなのは、これらの推計を政策づくりに活用する際の知恵や工夫が足りない点だ。"外れっぱなし"という推計人口の不名誉な称号も、数字の使い方次第で変わるかもしれない。 =敬称略




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posted by tonny_管理人 at 16:29 | Comment(0) | TrackBack(0)
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