2013年06月19日

厚生年金基金の改正法案が可決したわけだが

ここ数年すっかり更新ペースが落ちている当BLOGだが、本件については言及せぬわけにはいくまい。

財政悪化の基金廃止 改正厚生年金保険法が成立 (日本経済新聞 電子版)
企業年金の一種である厚生年金基金の制度を見直す改正厚生年金保険法が19日午前の参院本会議で、自民、公明、民主各党などの賛成多数で可決、成立した。財政状況が悪化した基金に解散を促すのが柱。AIJ投資顧問による年金消失事件をきっかけに表面化した厚年基金の財政難問題に対応する。
(2013/6/19 NIKKEI.COM)

サラリーマン人生の殆どを厚生年金基金関連の業務に費やしてきた当BLOG管理人にとって、本法案の可決・成立は、環境の変化に適合できなかった者への諦観の念と、去り行く者への惜別の念がない交ぜとなった奇妙な感慨を胸中にもたらしている。

今更振り返っても詮無きことだが、バブル崩壊後の経済社会環境の変化に対する厚生年金基金の制度改正対応は、その時々の景況に足を引っ張られたこともあり、総じて実施のタイミングを欠いていた感がある。1990年代は資産運用における規制緩和(資産構成割合の自由化など)が急速に推し進められたものの、その一方で、資産運用さえ効率化すれば掛金増額しなくても財政が好転するという妄想を関係者に蔓延させ、掛金引上げという苦い良薬から目を背けさせたのではないだろうか。
また、2002年には、厚生年金基金のプラスアルファ部分に係る水準の引下げ(3割→1割)が実施された。これは、2000年以降の3年連続マイナス運用利回りに見舞われた激変期において、給付減額の余地を増やし財政健全化を図ることを目的とした措置であり、当時は「厚労省にしては随分と思い切ったものだ」と関係者の注目を集めたが、代行割れに対するいわば緩衝材(バッファー)の役目を果たしていたプラスアルファが薄くなった結果、後に代行割れを多数発生させる遠因となったものと当BLOG管理人は考える。

しかし、厚生年金基金が残したのは負の遺産ばかりではない。「年金資産の時価評価」「非継続基準の財政検証の導入」「受託者責任の明確化」など、確定給付企業年金にもれなく踏襲されているこれらの措置は、厚生年金基金が先進的に導入したものである。この他にも、厚生年金基金は時代の変遷とともにさまざまな制度改正を経ており、約半世紀にわたる厚生年金基金の歴史は、すなわちわが国企業年金の試行錯誤と進化の歴史であると言っても過言ではない。

ともあれ、今般の法案成立を受けて、厚生年金基金はわが国の企業年金の表舞台から姿を消すことが規定路線となった。しかし、厚生年金基金が完全に消滅したとしても、厚生年金基金制度を通じて培われた企業年金運営のインフラやノウハウは、他の制度等でこれからも活用され、また更に洗練されていくことであろう。


<関連エントリ>
The企業年金BLOG(2012/6/30): 有識者会議が打止めとなったわけだが



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posted by tonny_管理人 at 23:55 | Comment(0) | TrackBack(0)
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