さて、今般の個人型DCの大幅拡充で算盤を弾いているのは、何も金融機関だけではない。金融機関向けの書籍・テキストを専門としている出版社もまた、金融機関向けの個人型DCに関する通信教育講座を相次いで立ち上げている。
そこで、先月からIdeCo担当となり多忙を極めているヘタレな当BLOG管理人が、今年の秋から年末にかけて開講が相次いでいる個人型DCの通信教育講座を4点ご紹介しよう。
◆個人型確定拠出年金の提案セールスに強くなる講座(近代セールス社)
![]() | 個人型確定拠出年金の提案セールスに強くなる講座 近代セールス社 2ヵ月 5,400円(税込) 3ヵ月 7,020円(税込) |
老後資金づくりにおける確定拠出年金の重要性を踏まえた上で、確定拠出年金の仕組みを解説しているこの講座。中でも、税制優遇措置の重要性について1章まるまる割いているのは、なかなかの着眼点である。また、自営業者、公務員、専業主婦など、ターゲット別にポイントやトーク例を取り上げているのは、金融機関の職員にとっては実践的である。個人型DCの通信教育テキストとしては最高峰といっても過言ではない。文句なしに星5つ!
(★★★★★)
◆すぐわかる! iDeCo(個人型確定拠出年金)Q&A講座(きんざい)
![]() | すぐわかる! iDeCo(個人型確定拠出年金)Q&A講座 きんざい 2ヵ月 10,800円(税込) |
金融機関向け専門出版社では最大手の金融財政事情研究会(きんざい)による通信教育講座。同社刊行の「DCプランナー教本」を彷彿とさせるQ&A形式に加えて2色刷りと、読み易さ・とっつき易さに配慮したレイアウトとなっている。しかし、読み物としては秀逸だが、通信教育のテキストとなるとQ&A形式はなかなか頭に入ってこないのがネック。また、今回紹介する通信講座の中では月単価が最高値というのも、マイナス金利の現状に喘ぐ金融機関としては採用すべきか迷うところ。
(★★★★☆)
◆改正確定拠出年金法対応〜iDeCo(イデコ)〜 個人型DC早わかり講座(銀行研修社)
![]() | 改正確定拠出年金法対応〜iDeCo(イデコ)〜 個人型DC早わかり講座 銀行研修社 2ヵ月 9,800円(税込) 3ヵ月 10,880円(税込) |
こちらも金融機関向け専門出版社では老舗の部類に入る銀行研修社の通信教育講座。老舗だけあって、テキストのレイアウトも老舗を思わせるレトロなテイストを醸し出しているのはご愛敬か(汗)。内容については、2分冊のうち2冊目の「投資知識と個人型年金の提案」はそれなりに実践的な内容となっているが、残念ながら1冊目の「確定拠出年金の基礎知識」が無味乾燥かつ退屈な内容に堕している。推察するに、実務を知らない(or金融機関にいたが実務にさほど携わっていない)大学教授に書かせてしまったのが最大の敗因と思われる。
(★★★☆☆)
◆ここだけは押さえておきたい よくわかる確定拠出年金コース(ビジネス教育出版社)
![]() | ここだけは押さえておきたい よくわかる確定拠出年金コース ビジネス教育出版社 2ヵ月 5,650円(税込) 3ヵ月 7,350円(税込) |
「年金制度における確定拠出年金の位置づけや改正のポイントを徹底理解!」という触れ込みに偽りなく、わが国の年金制度を取り巻く環境や、公的年金、私的年金、確定拠出年金の制度解説は充実している。ただし、資産運用・金融商品に関する記述は一切ない。一般向けの解説書ならそれでも良いかもしれないが、金融機関の職員をターゲットとした通信教育テキストとしては、顧客への推進・提案事例に関する解説が皆無というのは、ある意味致命的かもしれない。読み易い文体とレイアウトなだけに、購読層を意識した構成にすべきだった。
(★★☆☆☆)

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